四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

ヴァニラウェア新作『ユニコーンオーバーロード』体験版を遊ぶ。

 

2019年にPS4でリリースされた『十三機兵防衛圏』というゲームが2022年にSwitchに移植された。かねてから評判の良いゲームだったので発売したらぜひやってみようと思っていたのだが、実際遊んでみると噂通りの非常に尖った印象のゲームであった。十三人の少年少女が機兵と呼ばれるロボットに乗り込んで戦うというのが表向きの物語なのだが、ロボットに指示を出して拠点を防衛しながらダイモスと呼ばれる敵を倒すタワーディフェンスのような崩壊編と、その十三人がなぜロボットに乗って戦うことになったのかを描く追憶編という二つのモードを交互に進めていくことで、徐々に物語の真相に近づいていくことになる。

 

 

崩壊編も敵の大集団から拠点を防衛したり、アイドルのありふれたラブソングをバックに死闘を繰り広げるなど、昔の名作ロボアニメを思わせるような盛り上がる場面が結構あってそれなりに面白かったのだが、この作品の特筆すべき部分はやはり十三人の主人公のストーリーを読み進めていく追憶編だろう。古き良きSFやアニメのオマージュを匂わせる、時代も境遇も全く異なったテイストの違う13のシナリオが複雑怪奇に絡み合う。どのキャラのストーリーを見ていくのか、順番はプレイヤーの任意だが読み進めながら幾度となく予想を覆され、謎が謎を呼ぶ展開に翻弄され続ける。

 

正直なところ時系列が複雑すぎて最後までちゃんとストーリーを把握できていたかどうかは疑問なのだが、一応見たことのあるストーリーを順番で再生するモードもついている。追憶編の全てのシナリオを読み、崩壊編のラストバトルを乗り越えてたどり着いたエンディングはひとしおで、個人的には近年でもっとも素晴らしいゲーム体験のひとつとして記憶されている。

 

その『十三機兵防衛圏』を作ったヴァニラウェアが新作を出すという。去年の9月にニンテンドーダイレクトで発表されていたらしいのだが知ったのは最近だ。アンテナの低さに我ながら呆れてしまうのだが、ヴァニラの新作なら当然遊ぶに決まっている。だが3月8日に発売を控え、セーブデータが製品版に引き継げる体験版が出ていたのでそれを先にやってみることにした。

 

 

そういうわけで『ユニコーンオーバーロード』の体験版をDL。作品の概要をほとんど何も調べなかったのだがSFチックな『十三機兵防衛圏』から一転、今度は剣と魔法のファンタジー世界を部隊にしたSLGらしい。まあ十三機兵も戦闘はSLGだったからそういう意味では入りやすい。

 

ゲームを始めるとのっけからコルニア王国というある大陸の中央に位置する国でクーデターが起こり、女王イレニアは幼い息子を逃がすために自ら剣を執ってクーデターの首謀者であるヴァルモア将軍に戦いを挑むところから始まる。十三機兵でもあった2Dグラフィックによるキャラクターの緻密なアニメーションは健在で非常に安心感がある

 

 

いきなりチュートリアルを兼ねた戦闘マップに放り出されるが、1部隊最大五人で編成された自軍の部隊をどこまで行くか指示を出して、途中で敵に接触したら戦闘に入ってそれぞれのキャラが技を繰り出してバトルする……このシステム、もしかして『伝説のオウガバトル』では? ファンタジー世界を舞台にしたリアルタイムストラテジーということで、もうそういう風にしか見えなくなってくる。令和に蘇った伝説のオウガバトル!! それだけでなんかもうワクワクしてきたぞ。

 

伝説のオウガバトル | SQUARE ENIX

 

いきなりレベル48という女王とその仲間たちを操作し、たぶん終盤はこれくらい無茶苦茶やれるんだろうなという感じで自動でスキルをバリバリ発動させながら敵をなぎ倒してヴァルモア将軍の元へ。だが既に国の大部分は将軍の手に落ちており、イレニアが時間を稼いでいる間に息子でありこの作品の主人公であるアレインは親衛隊のジョセフと共に落ち延びる……というヒロイックファンタジー王道のプロローグ。

 


その後ヴァルモア将軍は自らを皇帝を名のり、コルニア王国改め新生ゼノイラ帝国として大陸全土を侵略し始める。そして10年の歳月が過ぎ、大陸のほぼ全土を手中に収めたヴァルモア将軍改め皇帝ガレリウス。しかしイレニアの息子アレインはまだゼノイラ帝国の手の及んでいない辺境のパレヴィア島で、現地の司祭の娘であるスカーレットや剣士のレックス、ジョセフの友人の娘であるクロエと共にコルニアを取り戻すために力を蓄えていた。

 

 

だがそんなパレヴィア島にもゼノイラの兵隊がやってくる。上陸した兵隊たちがスカーレットに詰め寄り、危ない!ヒロインが乱暴される!と思いきや結構腕っぷしが強く普通に敵兵士を退ける。なんだよ期待させやがって。アレインはジョセフから女王に息子が成人してから渡すように言われていた一角獣の指輪を渡され、ゼノイラを島から追い出すために立ち上がる。それにしてもこのヒロイン、胸がめちゃめちゃ揺れる。

 

まずは近場の街に陣取った敵兵士に戦いを挑む。プロローグでは勝手に戦闘が進んでいったがここで改めて説明が入る。戦闘では各キャラ毎に行動回数が決まっており、攻撃するときにはAPを消費してアクティブスキル、攻撃を受けるときにはPPを消費してパッシブスキルを使う。たとえばアレインは最初からリーンエッジという物理攻撃した後HPが回復するアクティブスキルと、防御力をアップしたうえで敵の攻撃をガードするノーブルガードというパッシブスキルを使える。各キャラに設定された行動速度の順に攻撃と防御を繰り返し、全員のPPが無くなったら戦闘終了というわけだ。まあ最初はリーンエッジ使っている限りはまず死ぬことはなさそうだ。明らかに強い。おまけにスカーレットが回復魔法で援護してくれる。

 

 

続いて勝手に一人で出撃してピンチになったレックスを救出するために老兵ジョセフを出撃させる。ファイヤーエムブレムで言えばいわゆるジェイガン枠(最初からそれなりに強いがろくに成長しない)で序盤のお助けキャラだと思うのだが、最初からレベルが20あるうえにスキルも充実しており非常に強い! ジェイガンと呼ぶのは逆に失礼な気がする。敵を蹴散らしそのまま港町に陣取る敵本隊に攻撃を仕掛けていく。敵のリーダーはホドリックというホプリタイ(重装歩兵)で、さっき女王と一緒に部隊を組んでいたうちの一人。一体何があったのか?

 

 

こちらの部隊は3つあるので、ジョセフの部隊にいた槍使いのクロエはレックスの部隊に組み込み、一人でやれそうなジョセフは単騎に組み直した。レックスは戦闘ではあんまり強くないので頼りにならないが、クロエの槍攻撃は前列貫通して二人まで攻撃できるので強そうだ。周囲の敵を軽くなぎ倒すものの、ホプリタイは物理防御力がとても高いので全然ダメージが通らない。そこでアレインの部隊をぶつけると、スカーレットの魔法攻撃ホーリーライトで大ダメージ。ホプリタイは魔法防御はからっきしなので、魔法系をぶつければ楽勝ということだ。最初のうちは使えるスキルも少ないため、こういう相性のいい相手にぶつけて有利を取っていくのが重要になる。騎馬は歩兵に強く、飛兵は騎馬に強く、槍は騎馬に強く、弓は飛兵に強い、など。この辺は他のSLGでも定番の要素だ。

 

 

ホドリックを倒すと一角獣の指輪の力によって洗脳が解けて味方になった。戦う前は国を取り戻す戦いは単なる私怨では? みたいなことを言っていてあまり乗り気ではなさそうだったアレインだったが、その支配が洗脳によるものだと分かった後は戦いにも俄然乗り気に。そのままの勢いで船に乗って大陸に渡り、ジョセフが大陸各地で準備を進めていた解放軍と合流しゼノイラ帝国に反旗を翻すのだ! とここでゲームの難易度選択。簡単なカジュアル、普通のSLG的な難易度のタクティカル、かなり難しいエキスパートから選べるのだが、初見なのでここはタクティカルで進めていくことにする。システムにまだ慣れていないし、難しすぎるのも簡単過ぎるのも嫌だし。

 

 

そうして大陸に上陸した矢先、船が到着した港町で待ち伏せに遭いホドリックと同じく女王と一緒の部隊にいたルノーという騎士にスカーレットが連れ去られてしまう。今度こそ巨乳幼馴染が乱暴される! 敵の目的が女王の遺児であるアレインではなくスカーレットの方というのもおかしな話だが、そんなことを考えている暇もなく街の周囲を傭兵に取り囲まれてしまう。だがそこに解放軍の一員である騎士のクライブが現れ、かろうじて難を逃れる。解放軍の砦に導かれたものの、一刻も早くスカーレットの救出に向かいたいアレインだったが、解放軍の戦力はまだショボくそのまま行っても返り討ちに遭うだけ。なので各地を開放して戦力を増強していこうという話になり、まずはこの地方を支配している先程の傭兵たちをまず倒すことになった。ここまでは勝手に話が進む。

 

 

解放軍としての最初の戦い。先程のクライブが仲間に入り騎馬が二人に。騎馬は進軍速度が高いうえに歩兵全般に強く頼れる兵種だ。アクティブスキルのアサルトランスは敵を倒すと再度攻撃できる便利なスキル。同時に仲間になったシーフのトラヴィスは回避力が滅法高い、いわゆる回避壁というやつ。持っているパッシブスキルイヴェイドは必中攻撃以外を必ず回避する効果があり、攻撃力は低いもののアクティブスキルのパッシブスティールは敵のPPを奪い取り防御できなくさせる効果がある。うまく使えば強そうだが……。

 

 

今回はお助けキャラには頼らないぞ!と思いジョセフは外した。敵は歩兵ばかりなのでクライブだけでわりと一方的に蹂躙できる。だが槍には弱いため何も考えずに敵と戦っていると突然大ダメージ食らってびっくりする。それに各部隊にはスタミナの値が設定されていて単騎無双は不可能になっているので注意しなければならないようだ。スタミナは休息したり拠点を開放したりすると回復するが、休息中に敵に遭遇すると先制を取られてしまう。マップには橋や街などの設備があり、街で待機すれば徐々に回復していくし橋に陣取ればスタミナ消費無しで戦い続けられるという、まるで長坂の戦いの張飛のような気分になれる。

 

序盤のマップだけあってそれほど苦労することもなくボスのオーバンの眼の前まで到着。このゲームは敵と戦闘しようとすると戦闘結果の予測が出るのだが、砦に陣取っているせいか迂闊に戦いを挑むとこちらの方が被害が大きい。オーバンの兵種であるハスカールはアクティブスキルに防御力ダウンなどが付いているものの、平凡なアタッカーといった感じなのだが、エンドブロウという戦闘の最後に一撃放ってくるパッシブスキルがあるため意外とあなどれな相手だ。

 


だがボス戦を前にブレイブオーダーという兵種毎に設定されたマップ上で使える特殊能力が解禁になり、騎兵の持っているブレイブオーダー・ワイルドラッシュがいわゆるMAP兵器的な範囲攻撃になっていて安全に攻撃できることが分かった。ボスに大して威力は半減してしまうっぽいが、二往復するとボスの部隊は半壊。それから直接戦闘で安全にトドメを刺すことができた。慎重に戦ったせいで制限時間ギリギリになってしまったが。

 

クリアするとオーバンを仲間に。今のところは頭数の一人でも多いほうがいい。その後は戦力増強のために各地を開放していくという目的はあるものの、自由行動になる。これがまさか正真正銘の自由行動だとはこのときはまだ知る由もなかった……。

 

 

続く。