使っていたノートPCがあるとき音を立てて割れた。外装にきつく締められていたネジが飛んだのだ。原因はバッテリーの膨張。現在家電製品等でよく使われているリチウムイオンバッテリーは、充電の繰り返しや高温の環境下での使用で劣化し膨らんでいく。以前押入れに閉まっていたPSPを久しぶりにやろうとしたら、電池がパンパンに膨らんでいてぶっ壊れていたなんてことがあったがそれがノートPCにも起こったのだ。
PCのバッテリーの充電率はこのとき既に20%以上にはならない程度には劣化が進んでいた。ノートPCの使用を初めて十余年。これまで何回か世代交代をしてきたが、こういった事態に直面したことが無かったのでさすがにちょっと驚いてしまった。なんだかキーボードの反応が過敏すぎると思ったら、下から圧迫されていたからだったとこのときようやく気付く。だがPCに隙間が空いてまたスペースに余裕ができたことでキーボードの反応は元に戻ったので、このときはまだこの事態をそれほど深刻には捉えていなかった。
時は過ぎ現在。バッテリーの充電率はたったの1%。それ以上でもそれ以下でもなかった。これ0%になったらどうなるんだろうか? 動かなくなる? それとも発火するのだろうか。リチウムイオンバッテリーの事故としてはよく聞く話である。燃えたり爆発したりするのはともかく、PCは毎日使っているので動かなくなるのは非常に困る。さすがに不安になって調べてみると、ACアダプタを差しているならバッテリーは別に無くても動くらしい。ん? じゃあ持ち運びするならともかく、ノートPCを据え置いて使っているなら別にバッテリーはいらないということか。それじゃあまるで盲腸みたいじゃないか。それなら別に取っちゃってもいいか。このまま放っておいて事故が起こるかどうか不安に思うよりかは、思い切ってやってみることにした。
そういうわけでパンパンに膨らんだバッテリーを摘出した。バッテリーを固定していたネジを外しPC本体を繋いでいたコネクタを外すと、うおっ……びっくりするほどPCがスマートに。これまで割れたままだったPCのカバーもピッタリはまる。問題はこれで本当に電源が入るかだが……問題なく電源が入った。キーボードの反応も元通りになったし、どうしてこんな簡単なことを今までやらなかったんだろうと呆れてしまった。ノートPCはバッテリーがなければ動かない、くだらない思い込みでずいぶん長いこと不便な環境で作業をしていたものだ。まあさすがにバッテリーが無いことでACアダプタを外すと即電源が落ちることになるわけだから、ACアダプタをつけて遊んでいた頃のゲームボーイのように、多少デリケートに扱っていかなければいけないのだが!