四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『search/#サーチ2』鑑賞。

2018年に公開された映画『search/サーチ』を見たときは度肝を抜かれた。家族愛というありふれたテーマだが、二転三転するストーリーとミスリードの数々、何よりその見せ方が独創的だった。すべてPCの画面上で進行させるという画期的なストーリーテリング。それが極めてモダンかつスピーディー、そしてスリリングだったので、多少の粗はどうにでもなるくらい感心したのをよく覚えている。あれから五年経ち、その続編が今ひっそりと公開されていた。

 

ロサンゼルスで母親と共に暮らすジューンは、母親の干渉が鬱陶しく感じる年頃の女の子。だが母親がマッチングアプリで出会った恋人との旅行先であるコロンビアで行方不明になってしまい、自分に出来る方法……すなわちネットやSNSを使って自ら手がかりを探し始めた。まず宿泊先のホテルに確認を取るが言語が違うので分からない。だがそれは翻訳サイトを駆使してクリア。その後は代行業者を雇い監視カメラ映像の確認に行かせ、ライブカメラストリートビューで現地の情報を収集し、行き詰まればスマホの位置情報や料金の支払い情報、果ては母親や母親の彼氏の個人用アカウントのパスワードまで解き明かして記録を調べていく。だがその過程で、母親の恋人の正体や母親自身の隠された過去までもが次々に明らかになっていく。

 

続編と言っても話の繋がりはなく、作品のコンセプトが継承されているだけなのだが、やってることは変わらないのでさすがに衝撃度は落ちる。前作は父親が行方不明になった娘を探すストーリーだったが、今回は娘が行方不明の母親を探すストーリーに。行方不明の娘を探すためとはいえ結構な無茶をやっていた父親には若干引いたのだが、今作の娘が自分のやれる範囲(ネット)で母親を探そうと動くのは年齢も相まって比較的受け入れやすかった。

 

そして前作に輪をかけてとにかくめちゃくちゃ展開が早い。いくらジューンがデジタルネイティブ世代とはいえ、あらゆるネットサービスを使いこなし、キーボードの入力も恐ろしく早い。とにかく画面上の情報量が多いので片時も目を離せないどころか、まずPCやスマホに触ったことが無かったらそもそも何が起こっているのか理解不能な程度の知識を要求されてしまう。齢70になる両親にはとてもこの映画の視聴を勧められない。

 

それにしてもPCとスマホがあるだけでこれだけのことができるのかと驚かされる映画でもある。自分は全然使いこなせていない……今は端末からいくらでも世界に繋がってるんだから、考え方ひとつでなんでもできるんだと思い知らされる。ただネットで得られる情報なんて断片にすぎないのだから、それを鵜呑みにすると痛い目を見てしまうのと、パスワードの流用は個人情報抜かれまくるのでやめた方がいいというのがよく分かる映画でもあった。

 

ちなみに吹き替えで見たのだが、映画の構成上こちらで見るのが正解だろう。ただでさえ画面に表示された英語の字幕が出るのに、セリフの字幕まで表示された日にはとても話についていける気がしない。主人公役は最近売れっ子の声優・種﨑敦美(SPY×FAMILYのアーニャ役など)が担当しており、それをまったく知らずに見たのでそういう意味でも何か得した気分になった。