四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメに頑張って目を通す・3(2023年秋)

詳しいルール等は1の記事を参照。

 

 

ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

ティアムーン帝国の皇女ミーアは二十歳のときに起こった革命によりギロチンで処刑されてしまうが、死の瞬間にタイムリープし時間はミーアが12歳の頃まで巻き戻された。しかし手元には自分が処刑されるまでに書いたと思われる血染めの日記が残っており、それを見ることでギロチンを回避できるのではとミーアは思いつく。まずは未来の獄中生活で優しくしてくれたメイドを側近にし、いずれ訪れる最悪の結末を回避するために行動を開始する…という元はなろう連載の小説原作のアニメ。原作をちょっと見たら一部あたり100話以上あるのが今第八部までやってて恐ろしい長さだ。

 

可愛らしい絵柄に対してギロチンという結構血生臭い導入だが、始まったOPが底抜けに明るい感じでなんだか脱力してしまう。どうやらあんまりシリアスな話にはならなさそうだ。これもよくある死に戻り系なのだが、ミーアが素行を改めるというよりも、自分の保身優先で動いた結果周りが良い方に解釈してくれる勘違い系の要素もありそうで、死に戻り系の中では手堅い内容かもしれない。しばらくは様子見しておく。

 


帰還者の魔法は特別です

いかなる生命も生きられない黒い霧に侵食されつつある世界。数億人の犠牲を出しつつもその元凶である破滅竜ボロミア・ナポールを倒すことに成功する英雄たちだったが、破滅竜の最後の自爆に巻き込まれを落としてしまう。だがその英雄の一人であった魔法使いのデシールは世界が霧に侵食され始める前の、自分が魔法学校に入学した13年前まで巻き戻されていた…という韓国のweb小説原作のアニメ。

 

いきなり始まるラストバトル。これがまたAパート丸々使うくらい長いため置いてけぼり感が凄いのだが、英雄パーティーの声優が最強メンバー集めました感が出ていてそこは良い。これが死に戻り系の作品なんだということに気付いたのは中盤を過ぎてからだった。ラスボスを倒すことは出来たけど色々な条件が重なって手遅れになってしまったので、前に戻って最適な環境を構築してやり直すというのが話の肝なのだろう。デシールは平民出身だったので良い教育が受けられなかったとか、仲の良かった女の子が戦いの最中に命を落としていたとか、やり直したい事情が色々と垣間見える。韓国製とはいえ設定がありふれていて、日本のものと大差なく新鮮味がゼロなこともあってよっぽど死に戻り系が好きじゃなかったら見なくてもいいかなという感じ。Mrマリックを呼んだプロモーション活動の方がちょっと気になるぞ。

 

 

新しい上司はど天然

上司のパワハラによって胃と精神を病んだ桃瀬は転職を決意。だがトラウマによって新しい職場でもパワハラに遭ったらどうしようと悩む桃瀬は思わず胃痛で道端に座り込んでしまう。それを見て新しい上司である白崎は薬を買いに走ったが、それは胃薬ではなく生理痛の薬だった…という感じのマンガクロス連載の漫画原作アニメ。

 

イケメンだが三十半ばの天然の上司が繰り出す間の抜けた気遣いに癒やされる新入社員の話。社会人で、天然で、先輩で…ということもあって、これ白崎の性別を変えたら前期やってた『うちの先輩は小さくて可愛い』とあんまり変わらないなと一回思い始めたらもうそうとしか思えなくなったが、あれが男になったら無理だなぁ…というのが個人的な感想だ。女性向け作品にありがちな男同士でべたべたしてる感覚も個人的にはちょっと無理だ。

 


忍ばない!クリプトニンジャ咲耶

かつて忍者による大きな戦いがあった世界。残った四つの組織は巨大な力を持つクリプト絵巻をそれぞれ持つことで力の均衡を保っていた。忍者の存在を忘れ去られた現在、甲賀忍者で女子高生の咲耶は目立つために忍ばない日々を送っていた…というNFTアート原作のショートアニメ。

 

ストーリーだけ読むとなんかシリアスな展開なのだがとてもそういう方向には行きそうもない緩い雰囲気のアニメである。原作にはクリプト忍者という32人の細かい設定とストーリーを持つキャラクターがいるらしいのだが、NFTアート原作という時点で個人的には色眼鏡で見てしまうのであんまり関わりたくないというのが正直なところ。

 

 

全力ウサギ

浮浪児のような生活をしているミナライは、社員全てがいつも全力で仕事をしている全力工務店のオヤカタに拾われ、会社の一員となって働くことになった…というストーリーの、元はweb掲載の4コマ漫画原作のショートアニメ。

 

5分アニメなので内容にとりたてて言うことはないが、こんな作品にも早見沙織高橋李依が出演していて売れっ子はすごいなって思う。EDの映像で土建屋の人たちが踊っていて、お疲れ様ですという気持ちになった。

 

 

ぬいストーリー

ギャルのミチコが部屋に戻ると、彼女のぬいぐるみたちがおしゃべりをしているところに遭遇してしまう。推し活に余念のないわたあめ、食い意地の張ったいぬぱん、おっさん臭いチェリーという生きている三体の人形とミチコの生活が始まった…というオリジナルのショートアニメ。

 

PisoStudioという夫婦ふたりで作っているアニメ(声の出演までやってる)。ゆるい絵柄に似合わない俗っぽすぎる性格のぬいぐるみたちと、ギャルのミチコによる意外とするどいツッコミが短い時間の中に詰め込まれていて、いざ見てみると結構笑える内容だった。尺は一回2分もないくらいなので暇な時間があれば見てみるのも悪くない。

 

 

君のことが大大大大大好きな100人の彼女

中学校で100回の愛の告白に失敗した男・愛城恋太郎。そんな彼が縁結びの神社を訪れると、神様から高校では100人の運命の人に出会うというお告げを受ける。そして実際に高校に通い始めると早速二人の女の子が好意全開で迫ってくる。しかしお告げには続きがあり、選ばなかった方は死ぬというという過酷な運命が待っていた。恋太郎は覚悟を決め、全力で二股宣言をする…というヤングジャンプ連載の漫画原作アニメ。

 

なんだこの100人の彼女とか…とタイトルから受けるあまりにも軽薄な印象にちょっと引いてすらいたのだが実際に見て考えが変わった。想像以上に頭おかしいなこの話! これはどうやら単なるラブコメではなく限りなくギャグ寄りに近い作品のようだ。そしてこの後もどんどん女の子が出てくるみたいなのだが原作が150話くらいやっていてまだ26人しか出てないらしい。運命の相手を選ばないと死んでしまうので全員平等に愛するという方針で100人はさすがに無茶すぎるが、そういう無茶を楽しむ作品なのだろう。こんな設定でもわりと女の子は可愛いのでそういう目的で見ても良さそうという割と隙がない作品。視聴継続しよう。

 

 

経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。

加島龍斗は高校二年生のどこにでもいる陰キャ男子。あるときテストの点数が良かったことでつるんでいる友人に妬まれて憧れの学年一のギャル系美少女・白河月愛への告白を強要されてしまう。しかし破れかぶれの告白はなんとOKされその日から付き合うことになる。しかし月愛は二・三ヶ月毎に付き合う男を変えているという噂のある女の子でもあった。付き合った初日に彼女の部屋に上がり、エッチなことをするんでしょとまで言われるが龍斗は踏みとどまり、プラトニックな付き合いをしようと主張する…というラノベ原作のアニメ。

 

オタクってほんとにギャル好きだよねーと近年よく思うことだが、陰の者が陽の者に惹かれるのは女だって一緒なんだから別に不思議なことでもないと自分を納得させるしかない。複数人の男と付き合いがあり、既に性交渉済みだがプラトニックな恋愛には全く耐性の無い女なんていうのは創作においては大抵の場合は訳あり物件だと思うので、そういう要素が後に控えていることを考慮に入れつつ仮初めのギャルとのイチャイチャを楽しむべきなのだろう。今期は普通の恋愛ものがそもそも少ないので、こういう作品でも候補に上がってくる現実が悲しい。様子見で。

 

 

ミギとダリ

児童擁護施設で暮らしていたミギとダリの双子の兄弟は、施設を訪れた老夫婦・園山夫妻に引き取られることになった。しかし双子としてではなく、園山秘鳥という従順な息子を密かに二人一役で演じることで見事に園山夫妻に取り入ることに成功し、部屋でほくそ笑む二人であった…という『坂本ですが?』などの原作で知られる佐野菜見による漫画原作のアニメ。

 

主人公が美少年の双子ということで多少の先入観があったが、実際見てみるととんでもないシュールギャグ作品だった。ちょっと伊藤潤二的な雰囲気がある。それ絶対無理あるだろ!?とかそれやる必要ある!?みたいなツッコミどころ満載な行為を二人で入れ替わりながら園山夫妻を欺く姿は正直かなり可笑しい。対する園山夫妻側のお人好しすぎるボケとキレのあるツッコミには思わずクスっと笑ってしまった。スティーブ・ジョブズとかの名前出して良い世界観なんだな……。これからどういう方向に行くのか正直読めないが、一話のこういうノリが続くんだったら視聴するには申し分ない。

 

 

冒険者になりたいと都に出ていった娘がSランクになってた

駆け出し冒険者の頃に片足を失って引退したベルグリフは、故郷の森の中で一人の赤ん坊を拾う。アンジェリンと名付けたその女の子はすくすくと成長し、大きくなると自分も冒険者になりたいと都へと旅立った。そして5年が経ちアンジェリンは冒険者の最高位であるSランクになっており、忙しい日々を送っていた。自分の父がどれだけ偉大な存在か世に広めながら…というストーリーのなろう掲載のラノベ原作アニメ。

 

父親であるベルグリフは元冒険者であるもののそこまで特別な力の持ち主ではないはずだが、優秀な娘が父親のことをかつて「赤鬼のベルグリフ(赤髪だから)」と言われたほどの冒険者だと勝手に話を広めるものだから、色んな人に一目置かれてしまうという勘違い系の話。ギルドだランクだとなろうではありがちな設定身構えてしまいそうになるが、第一話は娘を思いながら故郷で過ごす父親と、ホームシック気味で久しぶりに父親に会いたいけどモンスター退治の仕事を頑張る娘という案外素朴な内容で個人的には好感触。絵的にもあまりけばけばしい感じではないし、ステータスとかスキルとかも無いので安心して見られる。配信がABRMA独占というのが少々面倒。

 


婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む

魔王と恐れられ森の中でひっそり生活している魔法使いのアレンは、ある日王国の兵隊に追われている少女・シャーロットを拾って匿う。王子に婚約破棄され、家では侍女同然の扱いを受け、指名手配までされているシャーロットに同情したアレンは何も知らないシャーロットをメイドとして雇い、イケナイことと称してスイーツを食べさせたり、色々な楽しいことを教えようとする…というなろう連載のラノベ原作アニメ。

 

世捨て人めいた生活をしている男が、世間知らずで不遇な境遇の女の子を拾って色々と便宜を図ってあげるという、前期で言えば『わた婚』に結構近いことをやっている。女性向けだったわた婚の雰囲気を緩くして男性向けにしたような感じ。偏屈な男と無垢な少女のやりとりにどこか癒やされる、良くも悪くも安定したハズレのない内容で、今期はこういうストレートに甘々な男女関係の作品が少ないこともあって、視聴候補に入ってしまうのであった。