四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメに頑張って目を通す・4(2023年秋)

詳細なルールは1の記事で。

 

 

お嬢と番犬くん

5歳のとき交通事故で両親を亡くした少女・瀬名垣一咲を引き取った祖父はやくざの組長だった。それ以来やくざの孫として生きることになった一咲には若頭の宇藤啓弥が世話係として付くことになり一緒に生活することになる。やがて時は過ぎて一咲は高校生に。実家がやくざということもあり青春からは程遠い状態だったこれまでと違って、普通の高校生活を送りたかった一咲はあえて遠くの学校を選んだのだが、あろうことか啓弥がクラスメートとして入り込んできてしまう。非常識な啓弥に振り回されつつも、なんとか普通の高校生活を送ろうと頑張る一咲…という少女漫画原作のアニメ。

 

恋がしたいと言いつつも幼い頃から一番近くにいる世話係に既に淡い想いを抱いているという、個人的には先が全然気にならないストーリー。これまでろくに友達がいなかった一咲が頑張ってクラスに馴染もうとしたり、男子がちょっかいをかけてくるのを啓弥が邪魔するのでうまくいかないというのが基本構造で、ヒロイン自体はそれなりに可愛いと思うものの、やはり少女漫画原作だけあって感性の違いをところどころで感じてしまうのでやはり自分は対象外なのだろう。一話切り。

 

 

ポーション頼みで生き延びます

日本でOLとして生活していた長瀬香は世界の管理者のミスによって命を落とす。異世界に転生することになった香は相手のミスであることにつけこんでチート能力を要求、若返ったうえに『その世界のあらゆる言語を読み書きする能力』『考えた通りの薬品を考えた通りの容器に入れて出す能力』『容量無限で出し入れ自由で自分専用のアイテムボックス』の能力を手に入れて異世界に旅立つことになった…というなろう掲載小説の原作としたアニメ。

 

別に事故に遭うわけでもなくいきなり死亡し、いきなりチート能力を複数獲得しての異世界転生という、どうせ後で何の影響があるわけではないとしても前置きを軽んじるのも大概の開幕で頭がクラクラしてくる。自分が異世界転生したらチート能力ゲット!という作者が乗り移ったかのような考え方の主人公だけあって、腹黒というか性格が悪いというか。このFUNAという作者とは無茶苦茶相性が悪いらしく、いくつも小説がアニメ化されているにも関わらずひとつも面白いと思ったことがないのでやはりこの作品も……という感じだった。作画的にもまるで見るべきところがないので一話切り。

 

 

カミエラビ GOD.app

退屈な日常を過ごしていた高校生・小野護郎の元に一通のメッセージが届く。あなたは選ばれましたという怪しい文章に添えられていた、願いを吹き込むようにという指示に従って憧れの佐和穂花とエッチなことがしたいと試しに言ってみると、次の日から穂花と急接近することになる。しかしラルという謎の存在が現れ、護郎は大いなる意志に選ばれた神様候補であり他に選ばれた神様候補生と殺し合って生き残った一人が神になれると告げられる。そして穂花も実は神様候補生に選ばれた一人であり、巨大な鉈を振り回して襲いかかってくるのだった…というオリジナルのフル3DCGアニメ。

 

まず学校の制服がノースリーブなのが目を引く。男子も女子も! 女子はいいけど男子も同じなのは正直ちょっと気持ち悪い。原案がニーアオートマータなどのヨコオタロウ、脚本がカゲロウプロジェクトなどのじん、そういった座組なので悪趣味というか露悪的な要素をポンポン出してくるのが人を選びそうな感じで、ゲンナリするかそこに新しい刺激を見出すかはもう見てみないとわからない。デザインなどを含めても強い個性を放っている作品なのは間違いないが、個人的には嫌いな要素の方が多い。一話切り。

 

 

川越ボーイズ・シング

歌うことは好きだが人前で歌うことができず、防音室に籠もって歌っている元聖歌隊の高校生・井出天使。ある日天使の通っている高校でボーイズクァイア部の設立を目指している指揮者・響春男に歌が上手いことがバレてしまい部に勧誘される。友人二人も巻き込まれ、仕方なく一緒に体育館で歌を披露することになる天使たち。最初は歌うことを拒否する天使だったが、説得の末に練習した歌と踊りを人前で披露し、ボーイズクァイア部で全国コンクールで優勝するという無謀な挑戦が始まる…というオリジナルアニメ。

 

タイトル通りに埼玉県川越市を舞台にした、男性合唱部のアニメ…かと思いきや一話の最後で踊ってたりしたのでなんか思ったのと違っていた。男性アイドルものの亜種っぽい。そんなに悪くもないけど引っかかるところも特にないくらい書くことが無いので、この大量のアニメの中では真っ先に切る対象になった。

 

 

星屑テレパス

コミュ障の女の子・小ノ星青果は地球上に理解者はいないと思い込み、宇宙に居場所を求める高校生。登校初日、自称宇宙人で記憶喪失の明内ユウと出会う。額を合わせることで考えていることが分かる”おでこぱしー”やおかしな宇宙語を操るユウに、青果は徐々に惹かれていく。宇宙船の不時着により地球に降り立ったと言うユウは宇宙に帰ることを目的に、青果は宇宙に行くことを目的にしてロケットを作ろうとする…というまんがタイムきらら連載の4コマ漫画を原作としたアニメ。

 

一時は毎期の定番としてひとつはあったきららアニメも、最近はなんだか珍しい存在になった。今のアニメ配信全盛時代では配信で弱い作品はあまり需要がないらしい。でも現代劇で可愛らしい絵柄に女の子同士でイチャイチャしてる緩い内容、というのはこれだけなろう系ファンタジーが溢れかえっている状態だと逆に新鮮にすら思えてくるのが不思議だ。脚本高橋ナツコっていうのは個人的にすごく嫌なのだが。配信が極めて限定的で見るのを忘れそうになるのが一番の問題かもしれない。少し様子見する。

 

 

ブルバスター

蟹江技研に所属する若き技術者・沖野鉄郎は自ら作った新型ロボット・ブルバスターを持って害獣駆除会社である波止工業に出向することになった。さっそく沖合にある龍眼島に出動することになったブルバスターだが、そこにいたのは巨獣と呼ばれる謎の大型生物であった。いきなりの戦いに戸惑う沖野だったが、ブルバスターの性能と波止工業の社員の協力のおかげでなんとか巨獣を倒したのであった…というカクヨム連載の小説を原作としたアニメ。

 

なんというか、面倒くさい。ブルバスターが出撃するだけでも書類だの判子だの免許だの手続きが要求されるという細かさ。ブルバスターは一企業が扱う限りなく重機に近い二足歩行ロボットであって、いわゆるロボットもののフォーマットからは外れている。この面倒臭さは昔やってた地球防衛企業ダイ・ガードを思い出す。ダイ・ガードもいちいち出撃にいくらかかるとかそういった話をやっていたが、ブルバスターはその面倒臭さに対してカタルシスがあんまりなくストレスの方がむしろ大きい。そういう細かいリアリティのある話を楽しめる人向けなんだろうけど、ロボットアニメなら個人的にはもう少し気持ちの良さもあってほしいと思う。そして配信ルートが限定的すぎて見るのが面倒くさい。一話切り。

 

 

オチビサン

鎌倉のどこかにある豆粒町を舞台に、日本の原風景や季節の風情を主人公であるオチビサンやその仲間たちを通して描かれる、安野モヨコによる朝日新聞で連載された漫画を原作としたショートアニメ。

 

特に期待していなかったのだが、思ったよりずっと良かった。NHKで放送されていることもあり日本の文化や季節を扱った非常に素朴で癒やされる内容で、本当に頭を空っぽにして見られる作品とはこういうものを言うのだと思う。時間も短いので暇なときに見るにはちょうどいい作品。

 

 

ひきこまり吸血鬼の悶々

ムルナイト帝国の貴族令嬢であるテラコマリ・ガンデスブラッドは、血が飲めないよわよわな無能吸血鬼であったために引きこもり生活を余儀なくされていた。しかし皇帝から七紅天と呼ばれる将軍職を任じられ断ることもできずに無理矢理外に出されてしまう。七紅天とは定期的に他国に戦争を仕掛けねばならず、部下からの下剋上も狙われる過酷な仕事であった。突然現れた専属メイドヴィルヘイズとともにハッタリを駆使して部下を手懐け、七紅天としての立場を守っていく…というライトノベル原作のアニメ。

 

戦争して死ぬけど何度でも生き返るので出来レースをやっている世界で、大将軍になってしまった女の子がならずもの集団の部下にアイドルのようにちやほやされながらハッタリで乗り切っていくというコメディ要素強めの作品だが、一話目からメイドのヴィルヘイズが全裸になったり結構お色気要素もある。お色気要素の強いアニメほど作画を良くするべきだと毎回口を酸っぱくして言っているのだが、その点ではこのアニメは合格だ。つまるところラノベアニメは女の子が可愛いかどうかが重要で、一話の時点で世界の謎っぽいものを語られても何も分かるわけはないので、目の保養目的でしばらく様子見してみよう。

 

 

柚木さんちの四兄弟。

二年前に両親を亡くし、年の離れた四人の兄弟で暮らすことになった柚木家。長男の隼は23歳の高校教師。次男の尊は13歳の中学一年生。三男の湊は尊と生まれが一年近く離れているものの同じ中学一年生。四男の岳はまだ6歳だが老成したしっかり者という四兄弟の日常を描いた、ベツコミ連載の少女漫画を原作としたアニメ。

 

一話はよく空回りしているせいで隼に頼りにされていない湊が、出来の良い兄である尊と比べられたり、弟の岳の願いを叶えようと奮闘する姿が描かれていた。親のいない家族の中で自分だけ何もすることがないことに自尊心が傷ついている思春期の少年の話はどこかくすぐったくも懐かしい気分にさせられたが……。正直なところ手堅い内容すぎて何も言うことがないし、本放送が呪術廻戦と被っているので他所で話題になっているのを見たことがない。悪くはないけど個人的には引っかからなかったので一話切り。

 

 

め組の大吾 救国のオレンジ

通称オレンジと呼ばれる特別救助隊を目指す若き消防隊員・斧田駿。高卒でただでさえ狭き門である消防官試験を突破したうえに、さらに倍率十倍の特別救助隊試験を一発合格した駿だったが、苛烈な教官による想像を越えたスパルタ教育や、同じ19歳にも関わらず自分の上を遥か上を行く十朱大吾、数少ない女性隊員である中村雪の存在に打ちのめされそうになっていた。特に大吾に対して対抗心を持つ駿は、少しでも大吾の上に行こうと過酷な訓練を乗り越えていく…という大ヒット消防士漫画『め組の大吾』の続編を原作とするアニメ。

 

続編アニメかと思いきや前作は実写ドラマ化されてはいたものの、『め組の大吾』のアニメ化は実は今回が初めてらしい。冒頭、いきなり未曾有の大災害が起こった近い未来の東京で救助活動に励む駿や大吾の姿が描かれるのだが、この災害があまりにも凄すぎてどうすりゃいいんだこんなのという気分になって掴みは十分。特別救助隊での過酷な訓練シーンや使っている道具についていちいちどういうものか説明してくれてありがたいし、超体育会系のノリは昔自衛隊にいた頃を思い出してしてなんだか懐かしい。そのせいかトレーニングしながら見るとすごく捗るのでトレーニング用として視聴する。