四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメをなるべく沢山見てみる2・あ行~か行(2023年冬)

 

2023年1月、放送されるアニメの総数は実に90本以上あるらしい。そこには一回限りの作品なんかも含まれているのだが、それだけの数になると作品に目を通すだけでも一苦労では済まない量である。はっきり言って異常だ。今期は新作だけは一通りチェックしてみようなどと思ったが、今となっては若干の後悔をしていなくもない。

 

前期を見ていないアニメは実質既に見る気がないアニメなので除外するとしても、完全新規の作品だけに限っても40本以上あるのだ。なろう系は既に別枠で済ませたので、ここからはそれ以外の約30本のアニメについて見ていこうと思う。あまりにも本数が多いため一応全部出揃うまで待っていたのだが、既に二話どころか三話までやってるアニメもあり、ちょっと出遅れた感は否めない。だがやると決めた以上はやるのだ。ここからのルールは以下の通り。

 

・2023年1月に始まった作品が対象。

・シリーズもので前期を履修していないものは見ない。

dアニメストアAmazon prime video・Netflixで配信されているものに限る。

・容赦なくネタバレする。

 

 

 

あやかしトライアングル

人に仇なす妖を退治することを生業としている”祓忍”である風巻祭里は、妖を寄せ付ける体質である幼馴染の花奏すずのことを影ながら守っていた。猫の姿を装ってすずに近づいてきた妖を退治しようとする祭里だが、すずは妖に好意的な感情を持っているため止められてしまう。しかしその猫はシロガネと呼ばれる妖の王であり、妖巫女であるすずを狙っていたのだ。それを知った祭里は襲われそうになるすずの元に間一髪で駆けつけるが、シロガネの最後の悪あがきによる性醒流転の術を受け、女の子の姿にされてしまう……という第一話。

 

矢吹健太朗原作のバトルとエロスを組み合わせた、少年ジャンプのお色気枠アニメ。シロガネ(猫)のお宝マークで肝心の局部は隠されてしまって見えないのだが、なら見える漫画でよくない? と思う。中学生くらいだったらこのくらいでも喜んだかもしれないが、いくらでもそういうのが間に合っている大人では敢えて見る動機はない。一話切り。

 

 

アルスの巨獣

巨獣という大地を揺るがすほどの大きな化け物が街を襲うアルスと呼ばれる世界に、軍の要塞から逃げ出す一人の少女の姿があった。追い詰められた少女は海に飛び込むと港町に流れ着く。その頃ジイロという巨獣狩りの男も仕事を求めて港町をうろついていた。軍の仕事にありつき、巨獣と戦うジイロは他と一線を画す実力を発揮する。再び軍に追われることになった少女は、街で手に入れた約束の指輪によって謎の力を発動する。だがそれを見ていたジイロは過去の記憶によって少女の助けに入る。街を襲う新たな巨獣が現れるなか、二人の契約の儀式が交わされる……という第一話。

 

身体一つで巨大な生物に立ち向かう構図は『進撃の巨人』風味がありつつも、カンナギとナギモリと呼ばれる男女一組が合体して強力な戦士になる、みたいな設定が大幅に違うテイストを出している。オリジナルアニメということで、先が分からないのが最大の魅力であり、不安要素でもあるのだが、二話まで見たもののいまいちピンと来なかったので切り。

 


伊藤潤二「マニアック」

Netflixで一挙配信のため『首吊り気球』だけ試しに見てみた。

窓の外から和子の声で話しかけてくる。家の中にいる和子に向かって。始まりは一ヶ月前、人気アイドルの輝美の自殺が報道された。首吊り自殺だった。その後輝美の幽霊が出るという噂が広がり、輝美のクラスメートだった和美の元に、輝美の彼氏だった白石から輝美の幽霊を見かけたという電話が掛かってくる。和美が急いで白石の元に向かうと、そこで見たのはまるで気球のように空に浮かぶ巨大な輝美の顔であった……という話。

 

どうして今伊藤潤二なんだという疑問が尽きないが、とりわけ有名な作品だけ掻い摘んで映像化してくれるというのは、まだ触れたことのない人にとっては良いことかもしれない。ホラーなのか、ギャグなのか、いややっぱりホラーなのか……そういう掴みどころのないところが伊藤潤二の魅力だと思うし、原作には敵わないとはいえ伊藤潤二作品の不気味さはそれなりに再現されているので、タイトルだけ聞いたことのある作品だけとりあえず見てみるのも悪くないだろう。個人的には『阿彌殻断層の怪』が見たかったけど、無かったので残念。

 

 

犬になったら好きな人に拾われた。

クラスメイトの犬飼加恋に恋をしていた男子高校生がある日突然犬の姿になってしまった。道端で加恋に拾われ家に転がり込むことに。彼女の着替えを見たり、一緒にお風呂に入ったり、スケベなハプニングに遭遇するが犬の視点では何も咎められることはない。大の犬好きである加恋は拾った犬にポチ太と名付け、一緒に暮らすことになった……という第一話。

 

一話あたり約12分というのは見やすくていい。出オチ気味なちょっとした思いつきを形にしたような作品で、この後ずっとエッチなハプニングで話を繋いでいくんだろうなと想像できる。通常版ではかなりの部分に修正が入るのだが、こんなどうでもいい話で肝心な部分を隠されたら何も面白くない。一話切り。

 


大雪海のカイナ

雪海と呼ばれる白い世界が広がる惑星。軌道樹と呼ばれる巨大な樹とそこから広がる天膜の上で人々は暮らしていた。少年カイナはそこに棲む虫を狩って生活していたが、カイナの住む村は老人ばかり。軌道樹も枯れつつあり今の生活が終焉を迎えるのも時間の問題のように思えた。その頃、天膜の下の雪海では追跡が繰り広げられていた。敵に追われ部下たちが犠牲になるも、リリハと呼ばれた少女は浮遊する虫を捕まえ一人空へと飛び上がっていく。カイナが天膜に空いた穴を見つけると、そこへ浮遊虫がやってくる。ぶら下がっていた籠には一人の少女が眠っていた。それは先程の少女であった……という第一話。

 

弐瓶勉ポリゴン・ピクチュアズというもはやおなじみになった座組による、フルCGのオリジナルアニメ。作品の第一印象は、ナウシカだこれ…という感じだった。二瓶作品ではおなじみの東亜重工フォントを用いた看板が出てくるのも、余計にそれっぽさを加速させている(巨神兵に書いてあった東亜工蔽のアレ)。ポスト・アポカリプスの地球かと思ったら、公式サイトには異世界って書いてあったので地球じゃないらしい。ものすごく面白いというわけじゃないが、オリジナルというだけで作品を見守りたい気分である。もう少し様子を見たい。

 

 

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

藤宮周は高校進学し一人暮らしを始めたが、同じマンションの隣の部屋には天使様と呼ばれ学校で持て囃されている美少女の椎名真昼が住んでいた。才色兼備・文武両道の彼女は普通だったら手の届かない高嶺の花のはずだったが、雨の日に公園で一人佇む彼女に傘を貸したことで交流が始まる。翌日風邪を引いた周は体調不良で倒れそうになったところを真昼に助けられ、病気の看病をしてもらった上に病人食まで作ってもらう。相変わらず学校では遠巻きに見ているだけだが、家では周の食生活を見かねた真昼に料理のおすそ分けをしてもらったり、部屋の掃除をしてもらったりしているうちに、天使様と呼ばれている彼女の素の姿を少しづつ知ることになる……という感じの第一話。

 

タイトルに偽りがあり、駄目人間にされるというより最初から駄目人間のような気がするのだが気のせいだろうか。毎シーズンにひとつはある、主人公とヒロインによる一対一のラブコメ作品。学校では成績優秀で誰にでも人気がある外面の良い彼女の、本当の姿を自分だけが知っている……これもそんな定番作品のうちのひとつであり、要はどれだけヒロインが魅力的に感じるかが重要だ。ヒロインの声優が石見舞菜香ということでちょっと気になっていた作品なのだが、今期はアニメの数が多すぎてカバーしきれない。時間があったら見てもいいかな枠。

 


お兄ちゃんはおしまい!

オタクで引きこもりニートの緒山まひるはある朝目覚めると女の子の身体になっていた。それは飛び級で大学に入学し、怪しい研究に精を出している妹・みはりの手によるものであった。しばらくすれば薬が抜けて元に戻れるというのだが、女の身体はまひるにとって未知のことばかり。ずっと妹にコンプレックスを感じていたまひるだったが、以前よりも距離が縮まったみはりに女として多くのことを教えられるのだった……という第一話。

 

どうしてこの原作に全力を出してしまったんだ…! そう思わずにはいられられないほどのハイクオリティで、今期では他の追随を許さないレベル。女の子の身体になったら大変なことがいっぱいあるんだよというある種の啓蒙要素もあるが、そのひとつひとつが丹念に描写されておりフェティシズムを越えた何かを感じずにはいられない、変態による変態のためのアニメだ。このような尖った作品はその切れ味ゆえに多くの人を遠ざけるだろう。しかしそういうものほど深く突き刺さるものなのだ。これはそういうたぐいの作品である。

 

 

久保さんは僕を許さない

高校一年生の白石純太は他の生徒より存在感がなく、気付かれにくい性質を持っていた。しかし隣の席の久保さんだけは白石を容易く見つけることができた。才色兼備で友達も多い久保さんは白石と最も縁遠い女の子のはずだったのだが、どういうわけだか存在感の薄い白石をよくイジってくる。街で出会った二人は色々あってLINEを交換し、一緒に遊びに行く約束をしたのだった……という第一話。

 

僕と書いてモブと読む。『お隣の天使様』と同系統の高木さん系ラブコメ。最初は両方ともその気じゃなかったあちらと違って、こちらは最初から久保さんが気がありそうな感じなのだが、白石は自己肯定感が極めて低いためその好意にはまるで気付いていない。あまりにも白石のキャラが薄いので、なぜ久保さんが好意を抱いているのか分からないので、久保さんのほうがおかしいんじゃないかと思ってしまいそうになる。一番の注目ポイントは花澤香菜がヒロインをやっていることであって、久しぶりの正統派ヒロインボイスはやはり破壊力が高いと再確認させられた。時間があったら花澤香菜のASMRとして見るのもアリかなという感じ。

 


氷属性男子とクールな同僚女子

新社会人の冬月さんは感情が表に出ない、一見クールな女の子。入社式に向かう途中、足元が凍りついた同期の新入社員・氷室くんに出会う。氷室くんは感情が高ぶると吹雪を起こしてしまう、雪女の末裔であった。冬月さんの気遣いによって氷は溶け、無事ことなきを得るが、それがきっかけで氷室くんは冬月さんのことが気になってしまう。同僚に妖狐の末裔がいたりするオフィスで、冬月さんと氷室くんの社会人生活がスタートする……という第一話。

 

男の方が雪女の末裔、という設定は新鮮だった。感情が高ぶることによって実際に凍ったり吹雪を起こしたりというトラブルメーカーで、冬月さんの方は普通のクールな女子という、どちらかといえば女性向けラブコメ作品のように感じる。冬月さんは石川由依声のクール系女子ということで惹かれるものがあるが、氷室くんの方はイメージと違って心の声が関西弁なのがちょっと肌に合わない。残念だが一話切り。

 

 

CallStar-ボクは本当にダメな星?-

空想の世界に住むスターの仕事は気絶した人の上を走り回ること。その存在意義の無い仕事よりもスーパーヒーローに憧れるスターは、あるとき気絶したまま電車に轢かれそうになっている人の元に呼び出される。そのままではいけないと思ったスターは、その気絶した人を直接助けに行くために街に出て捜索を試みる。あらゆる手段を使って現場にたどりついたスターだったが、そこで起こったことは想像していたものとは少し違っていて……という第一話。

 

中国産の10分アニメ。短いというのはそれだけで美点である。スターの吹き替えが杉田智和であり、ほとんど一人で喋っているだけなのになんとなく最後まで見られてしまう。他の作品ならエフェクトの一種に過ぎない星が主人公という、あまり考えつかないような独特のセンスがどこか味わい深く、暇があったら見てしまうかもしれない枠。

 


 

上記の作品の中では『お兄ちゃんはおしまい!(おにまい)』がぶっちぎり。

もう少し様子を見たいのが『大雪海のカイナ』

あとはお好みで『天使様』か『久保さん』といったところ。

あと二回ほど続く予定。