四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメになるべく目を通す・3終(2023年夏)

詳しいルール等は1の記事で。

 

 

アンデッドガール・マーダーファルス

怪異が実際に存在しつつも、政府の方針で数を減らしつつある明治30年の東京。見世物小屋で怪物同士の戦いを演じて生計を立てている半人半鬼の男・真打津軽は首だけの不死身の女・輪堂鴉夜とそのメイドである馳井静句と出会う。お互いの事情を話すうちに鴉夜の身体を奪って海外へ逃亡した犯人と津軽の身体を鬼にした犯人が同一人物である事が分かり、鴉夜は契約として津軽に唾液を提供、三人は犯人が逃げた先である欧州へと向かうのだった。化け物がいる東京の夜の幻想的で胡乱な雰囲気がたまらなく良い第一話。鴉夜(黒沢ともよ)と津軽の軽妙洒脱なやりとりが心地よく、あっという間に時間が過ぎた。そのままの流れで二話を見たらなんと鴉夜と津軽が探偵となって欧州で化け物相手に活躍するミステリーになってビックリ。これから登場するキャラクターにも数々の創作上の有名人が並んでおり、胡散臭い話を楽しめそう。視聴継続。

 

 

ゾン100~ゾンビになるまでにしたいこと100~

ブラック企業に勤めていた主人公・天道輝。ある日世界はゾンビで溢れかえり、仕事に追われていた生活から開放される。そこで輝はいつゾンビになってしまってもおかしくない世界で、やりたいことをリストアップしそのために生きようと動き始める。日曜の午後5時、水星の魔女の後番はなんとゾンビものだった。ゾンビものなら当然グロ描写は避けられないと思うのだが、それを夕方に放送するという判断は正直よく分からんという感じ。雨宮天に夕方から喘がせるのは有りらしい。第一話の前半は徹底的なブラック企業描写でストレスを溜めさせ、後半に一気に開放させるという流れだったのだが、正直ブラック企業描写があまりに重くて後半青空が広がっても開放感が個人的にはちょっと足りなかった。ゾンビの血糊がカラフルだったりするのはまるでスプラトゥーンのようで、自主規制の一種なのだろうか? 制作のBUG FILMはサマータイムレンダを作っていたOLMのTEAM KOJIMAで、話はともかくアニメ的な見所は結構多い。ゾンビものは最初が面白く後になるほどグダグダになるというのはよくあることだが、あと何回か見て判断したいところ。

 


英雄教室

かつて魔王と相打ちになった勇者ブレイドは力を失ってしまったが、国王は勇者の力を取り戻させるために英雄養成学校であるローズウッド学園に編入させる。しかし弱くなったとはいえ勇者の力はあまりにも強く、普通の生活をしたいというブレイドの思惑とは裏腹に周囲を巻き込んでしまうのであった。実力者が正体を隠して一般人に混じって生活を送るベタベタなストーリー。必殺技を繰り出した余波でヒロインの服がビリビリに破けてしまったりといった展開にも事欠かず、平穏な生活を送りたいんじゃなかったのか?と思わず言いたくなるほど目立ってしまう元勇者。一話でヒロインの抱えている問題を即解決してしまう展開の早さは掴みとしては良い方だと思うが、ヒロインが赤面する描写にはちょっと古臭さを感じずにはいられない。とにかくベタな話が好きな人向けの作品。

 


るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-

少年ジャンプ黄金期に連載され、1996年に一度アニメ化された作品の再アニメ化。明治維新に人斬り抜刀斎として名を馳せた流浪人・緋村剣心が時代の変化に取り残された者たちと戦いを繰り広げる剣術バトル浪漫。旧アニメでは『そばかす』という作品と大きくかけ離れた主題歌が使われたことが今でも語り草になっているが、今回も主題歌は作品と全く合ってる気がしないラップで、こういうところまで前例踏襲しなくていいのにと思わずにはいられない。ダイの大冒険みたいな例があったので、今になって再アニメ化するんだからよっぽどそうしたい何かがあるんだろうと思っていたが、現在の水準で言えば良くも悪くも普通のクオリティ。どうせなら最初からやり直すよりも、今やっている北海道編からいきなり始めてしまうくらいの方がまだ興味が湧いたと思う。たぶん旧アニメのようにアニオリ描写するほど尺に余裕もないだろうし、原作通りなら改めて視聴するほどではなさそうだ。

 

 

AIの遺電子

人間と同レベルの知性を持つまでに至った、ヒューマノイドと呼ばれる機械人間が総人口の一割に到達しようとしている未来。ヒューマノイド専門の医者である病院を営む須藤光は、金さえ貰えば法に触れる治療も行う闇医者・モッガティードでもあった。まるでブラック・ジャック攻殻機動隊を混ぜたような近未来の世界観で、人間やヒューマノイドに起こる”感情”について扱った作品。第一話ではなぜ人格をバックアップすることが違法とされているのかという根幹設定を、実際にバックアップしてしまった家族が直面する問題を通して須藤の置かれている状況も説明するという、最初からなかなかヘビーな話。社会的に同一性は保たれても、個人的な感情ではそれを受け入れられるのか?というスワンプマン問題のような疑問を投げかけてきて考えさせられてしまう。攻殻機動隊SACの本筋に関係ない話とかが好きだったので、この作品にはかなり近いものを感じている。興味深いので視聴継続してみようと思う。

 


悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします

フリージア王国第一王女プライドはいずれ民を苦しめる極悪非道なラスボス女王となり最終的には殺されてしまう結末を迎える……前世の記憶が蘇ったことで自分を『君と一筋の光を』という乙女ゲームのキャラであると理解したプライドは、最悪の結末を回避するために行動を開始する。いわゆる悪役令嬢ものの一つだと思うのだが、はっきり言ってこれまでの悪役令嬢ものと違いが全然分からない。キャラが違うだけなのでは? 一話の時点ではそう感じるくらい見ていて興味が湧いてこなかった。『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテ』くらいの変化球気味のアプローチなら多少は違って見えたのだろうか……。でもこのテンプレが好きな人もいるんだろうから、自分向けの作品ではないだけだろう。

 


Helck

人間の勇者によって魔王が倒された。残された魔族たちは競技会によって次の魔王を決めようとしていたが、そこにはなぜか敵であるはずの人間の勇者・ヘルクが参加していた。人間を滅ぼそう! 高らかに宣言するヘルクは魔族たちの支持を得る。それを脅威に感じた魔界四天王の一人、ヴァミリオははっきりしないヘルクの思惑を深読みしつつ、合法的な排除を試みる。最初はどんな話になるのか分からなかったが、競技会で行われるしょーもない種目、超人的な力技で突破するヘルク(弟の名前がクレスなので、元ネタはヘラクレスか)、ヴァミリオのキレのあるツッコミによって思いのほか笑ってしまった。声優の台詞芸が結構重要な作品かもしれない。しかし競技会の裏で展開されるシリアスな雰囲気もあり、ギャグなのは序盤だけで後はシリアスになるという噂が真実味を増すので、しばらく様子を見たい。

 

 

白聖女と黒牧師

ある街のはずれにある教会には、青年の牧師・ローレンスと奇跡の力を持つという聖女のセシリアが暮らしていた。人々のために尽くす二人であったが、セシリアはローレンスに密かに想いを寄せているものの、ローレンスはそれにまったく気付く様子はなく、穏やかな日々が過ぎていく……今期の中では尖った要素のない非常に安心感のあるラブコメ。ローレンスの前でだけ見せる小動物のようなセシリアの振る舞いが可愛く、全体的に非常に牧歌的な雰囲気で癒やし効果も期待できそうな感じ。前期の恋愛ものラッシュの中では埋もれていたかもしれないが、この手堅さは今期の中では逆に貴重ですらある。不快・ストレス要素も無いしぼんやりと見るにはちょうどいい作品。

 


聖者無双~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~

突然発砲されて死んだサラリーマンが異世界の治癒士として転生するという話。正直言って話も作画も演出も特に見るべきところが無く、全体的に低予算感に溢れている。女性キャラも結構出てくるのだが妙に違和感があり、キービジュアルやOPEDを見ていくとなんかガチムチ系のおじさん(1話には出てこない)が本来ヒロインがいるべきポジションに収まっているように見える。いやそうとしか思えない。これは……まさか女の子は偽装でソッチ系の作品だったのか!? それに気付いてからキービジュアルを見ると完全にそういう風にしか見えない。それ以外にも色々とヘンテコな部分が目立つので、普通のアニメに飽きた人におすすめしたい作品。

 

 

ダークギャザリング

霊を引き寄せる霊媒体質であった幻燈河螢多朗は、かつて幼馴染の寶月詠子を霊障に巻き込んだことでひきこもりになっていたが、詠子の協力もあって社会復帰に成功する。その一環として始めた家庭教師で詠子の親戚である夜宵と出会うが、夜宵は蠱毒のために悪霊を集めており、そのために霊媒体質である螢多朗の力を必要としていた。かくして自分と詠子の霊障を解きたい螢多朗と夜宵との協力関係が始まるのであった。ちょっとまともじゃない雰囲気のオカルトホラー作品で、真夜中に見ると背中を気にしてしまうかも。ナレーションが本当にあった怖いビデオ系の人で、そういう感じにしたいんだなというのが分かる。今のところ夜宵が悪霊と戦うバトルものっぽいのだが、一話の時点ではどこに向かって話が進むのかさっぱり分からないので、もうちょっと様子見したいかもしれない。

 


百姓貴族

鋼の錬金術師』や『銀の匙 Silver spoon』で有名な、荒川弘の描いた農業エッセイコミックのアニメ化。荒川弘が漫画家になる前に、農業を営んでいた実家で七年間働いていた経験を元にしており、身も蓋もない感じの笑いと意外と勉強になるウンチクを織り交ぜつつライトなタッチで進行していくショートアニメで、同じ農家として共感デキる部分もあるし流し見する分にはわりと良さそうなのだが、配信で見る手段が限られているのが難点。TVerの見逃し配信2週間しかないのは今の風潮では若干前時代的ですらある。

 

 

結論

以上33本。

今期は結構早く終わった! やった!

相変わらず一話だけ見て切るのは難しい。せいぜい自分と波長が合うかどうかを判断するくらいしかできない。その判断はもちろん間違うこともあって、後から実は切った作品が面白かったらしいと判明することもある……かもしれないが、新作を全部チェックするようになってからはそういう取りこぼしはほとんど無くなった。良いことだ。今期に限っては厳密に判断するとかなり少なくなってしまいそうなので、そうなると筋トレ中に見るアニメが無くなってしまって困る。そういうわけで今期の視聴継続ラインはだいぶ緩めに取っている。様子見ラインもかなり曖昧なので、二~三周したらそれなりに変動していることが考えられるが、今のところは以下のようになった。

 

視聴継続

LV1魔王とワンルーム勇者 うちの会社の小さい先輩の話 私の幸せな結婚

BanG Dream! It's MyGO!!!!! デキる猫は今日も憂鬱 AIの遺電子 Helck

アンデッドガール・マーダーファルス 白聖女と黒牧師

 

様子見(あと1話か2話は見てみるつもり)

自販機 ライアー・ライアー 好きな子が眼鏡を忘れた 百姓貴族 大奥

幻日のヨハネ ライザのアトリエ ゾン100 ダークギャザリング

 

続編視聴

蒼穹のファフナーBEYOND

 

 

今期はなによりファフナーBEYONDのTV放映が嬉しい。TVに先駆けて劇場公開されたもので、前作であるEXODUSまではそれなりに楽しんで見ていたのだが、映画館に足を運ぶほど熱心なファンではなかったので見るのは初めて。BEYONDの結末はファンの間では評判が良く、完璧な大団円だそうなので途中の展開が滅茶苦茶キツくても乗り越えるしかない。個人的に今期一番オススメなのはスプリガンなのだが、既にネットフリックスで配信時に感想は書いたので改めて触れない。古い作品を最新の技術でアップデートした良作だ。

 

わた婚は目新しさがあるわけではないが、クオリティの暴力を正面から叩きつけてくるダークホース的存在。あとやっぱり上田麗奈が好き。LV1魔王、デキる猫、白聖女、Helckあたりは流し見するのにちょうどいい感じの作品として選出。バンドリシリーズには初めて触れたが意外にも楽しめている。最初は棒読みに苦手意識があった愛音ちゃんも、あまりにもギスギスした空気をぶち壊してくれそうな存在として今では受け入れられるようになってきた。AIの遺電子は前期でいうマイホームヒーロー枠。同じ味ばっかりでは飽きてしまうしSFは結構好きなのだ。アンデッドガール・マーダーファルスも愉快な会話劇を楽しめる作品として一推し。あとはロボットものである『シンデュアリティノワール』も見たかったのだが、配信がディズニー+に限られておりまだ見ていない。どうせ半年くらい経ったら独占もなくなるだろうと楽観的に考えていたのだが、これからyoutubeに何話かアップしていくらしい。独占配信は話題性が死ぬってことを分かっているのにどうして同じ轍を踏んでしまうのだろうか。大人の事情は分からない。

 

夏アニメは二期・続編系に話題性のある作品が集中していて、呪術廻戦などはもう一期の頃に切ったためにそれほど話題には乗れそうもない。ただ話題になっているからと言って自分に合った作品であるとは限らない。そんなことより胸を張って自分はこれがいい!と言えることの方がずっと大事だと思う。そう、俺は『うちの会社の小さい先輩の話』が好きだ! 長い人生の間にはこういうものを必要とする瞬間がある。自分にとって最高の癒しだよ、本当に。