四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメになるべく目を通す・2(2023年夏)

詳しいルール等は前の記事で。

 

 

AYAKA -あやか-

幼い頃に父を亡くし児童養護施設で過ごしてきた主人公・八凪幸人は水を操る特殊な力を持っていたことで他人との関わりを避けてきた。しかし中学卒業と同時に幼少期を過ごしていた綾ヵ島に呼び戻される。そこはミタマと呼ばれる不思議な存在が生息する島であった。幸人は脈継ぎと呼ばれた父親の三人の弟子のうちの一人、尽義にペースを乱されながらも自分の力の使い方を学んでいく……というオリジナルアニメ。美少年だらけの中に申し訳程度に女の子が混じっている、異能バトル系の女性向け作品でそれ以上でもそれ以下でもなさそう。よって自分は対象外だ。

 

 

自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う

無類の自動販売機好きの男がバイクで走行中、自動販売機の落下事故に巻き込まれてそのまま異世界に転生してしまうという、なんともしょうもない導入のなろう作品。そう思っていたのだが、見てみると意外にも面白い。まず自動販売機の身体という定型文しか喋れず(ダイドーの自販機か?)移動も縛られた状態から始まり、売上が行動力やスキルポイントに変換される状態を乗り越えつつ、異世界の人間とのコミュニケーションも特定の定型文でハイ・イイエを表現することでどうにかこなし、需要に合わせて商品を入れ替えながら集落の住人から支持を得て存在意義を確立していくなど、やれる限りのことをやって立ち回っている感じがあってファーストコンタクトものとして悪くない。ただチートスキル獲得したり在庫は無制限だったりするのは自販機の領分を越えている感じがするのも確か。正直出オチ感は強いが、一話だけ見る分にはわりと楽しめたのでもしかしたら二話以降も見るかもしれない。

 

 

夢見る男子は現実主義者

クラス1の美少女・夏川愛華にいつも付きまとっている主人公・佐城渉はふとしたことからこれまでの自身の行為を客観視してしまい、付きまといを一切しなくなってしまう。しかし愛華も実は満更ではなかったのだが、突然渉の態度が変わったことに逆にモヤモヤしてしまう……というなろう連載のラブコメ作品。なんてことはない勘違い系ラブコメのはずなのだが、渉の愛華に対する態度が崇拝に近いものになったおかげで近くて遠い間柄になった二人の関係に亀裂が入る。導入で渉が”目覚める”描写がちょっと大袈裟すぎて逆に分かりにくく、無料公開されているコミカライズなどと比べても主人公のモノローグがことごとく削られていて分かりにくさに拍車を掛けている。面白い要素がないわけではないが、演出面や原作の取捨選択には不安のあるアニメ。キャラデザはキャッチーで可愛いだけになんか勿体ない。

 

 

デキる猫は今日も憂鬱

生活能力の無い会社員・福澤幸来が拾って諭吉と名付けた猫はどんどん大きくなり今では見上げるほど大きくなっていた。家事全般を身につけてデキる猫となった諭吉は今日も幸来の帰りを待つのであった……というお話。そんな日常系作品っぽい概要に対して冒頭から情報量の多い緻密な作画、他のアニメではまず見ないような画角、解像度の高い通勤や会社の描写でこれは他の作品とひと味違うぞという感じを印象付けてくる。とはいうもののやってることは『仙狐さん』や『メイドラゴン』のような社畜が主人公の作品に出てくるパートナーの女の子がスーパーダーリン猫になったようなもので、癒し系としてはわりと手堅い内容。諭吉の作る色んな料理が実際にありそうなものばかりで、作画の良さも相まって飯テロ要素に。ぼんやりと見るには今期のアニメの中では一番だと思う。幸来が仕事中しか眼鏡かけないのが個人的にとても惜しい。

 


七つの魔剣が支配する

名門キンバリー魔法学校の入学式に向かうオリバーは、パレードで鎖に繋がれていたトロールが暴走するところに出くわし、危うく新入生が巻き込まれそうになったところをオリバーを含めた五人が協力することで事なきを得る。入学式を経たパーティーでふたたび集まったオリバーたち。その中でもサムライの少女・ナナオはオリバーにとって目の離せない存在になるのであった……といった感じの第一話。主人公の目的がはっきりしないと前置きが長くなって困る。異世界転生ではないファンタジーで、魔法学園を舞台にしている非常にハリポタのフォロワー感が強いラノベアニメ。とにかく一話の時点では何も分からないのでなんとも言えない感じが漂う。メインキャラの一人である眼鏡くんが性転換するという噂を耳にしたらちょっと気になってきた。

 

 

BanG Dream! It’s MyGO!!!!!

バンドリシリーズはたくさん出ているもののこれまでノータッチだったのだが、今回は特に独立性が強く雰囲気も今までと異なるということで試しに見てみることにした。第一話はバンド活動が盛んな羽丘女学園に転校してきた千早愛音が、同じクラスでまだどのバンドにも属していない高松燈をバンド活動に誘うものの訳あって断られてしまうところまで。本編は愛音の明るいキャラクターでかろうじて中和されているが、おそらくバンドを結成してから先の展開が描かれているアバンタイトルのシーンなんかはもう滅茶苦茶ギスギスした雰囲気で面食らってしまう。どうしてそうなった!? 視聴継続するには相当な覚悟を決めないといけないだろう。主人公と思われる千早愛音のセリフがかなり棒読みなので、最低でもそれを我慢できる度量が必要だろう。

 


ライアー・ライアー

持っている星の数がランクを決める特殊なルールが支配する学園島(アカデミー)。イカサマありの決闘(ゲーム)によってやりとりされるその星で、いきなり最高の七つ星(扱い)にされてしまった主人公・篠原緋呂斗。たまたま決闘で倒した相手が理事長の孫娘だったために相応の実力者を演じなくてはならず、分不相応な立場になってしまった緋呂斗は自分の目的のために嘘を突き通さなければならなくなってしまう……という第一話。概要から想像してしまうとカジュアルなカイジ嘘喰いライアーゲームのような印象を受けるが、実際はゲーム内容が比較的緩く、あんまり頭を使うタイプの作品ではなさそうだった。理事長の孫娘・彩園寺更紗は頭脳戦とは程遠いアホの子で、お前よくそれで七つ星になれたなと思わずにはいられない。一話の時点ではとんだお馬鹿アニメだったが、そういうものだと思えばそれなりに楽しめそうな予感はする。

 


レベル1だけどユニークスキルで最強です

社畜だった主人公が異世界転生して、ダンジョンの中で優しくしてもらった相手に恩返しをする、そんな第一話だったがモンスターのアイテムドロップで全てを賄っている世界だったり、主人公はレベル1固定だけど自分だけアイテムドロップ率がべらぼうに高く、ドーピングアイテムを入手し放題だったりずっこけそうになる設定が並ぶ。他にも個人的に苦手とする異世界転生テンプレがてんこもりだが、身寄りのないもの同士で支え合ったり、恩には恩で報いようとするのがちゃんと描かれているのは作品を通して優しさが感じられるし、そういうところは嫌いじゃなかったりする。でも一話で切るけど。

 


てんぷる

女癖の悪い父親の影響でストイックな生活を送ってきた主人公・赤神明光がふとしたことから街中で米俵を抱えた女の子に一目惚れしてしまい、煩悩を断ち切るために出家しようとしたお寺が女だらけの尼寺だった……という前期でいえば『女神のカフェテラス』のようなドタバタ系お色気コメディ。女神のカフェテラスのときにお色気要素のある作品ほど作画が良くないと嬉しさが半減するという話をしたのだが、これは女の子の作画がそこそこ良いのでその点は評価できる。露出度が下がっている代わりに安定感が増している感じ。女の中に男が一人という手垢のついた設定なので個人的にはそれほど求めていないタイプの作品。一話の時点ではそれ以上でもそれ以下でもなかった。あと主人公の年齢の割に声が老けていてちょっと違和感がある。

 


好きな子がめがねを忘れた

中学に通っている小村君は隣の席の三重さんが好き。話しかけることもできないでいたある日、いつもは眼鏡をかけている三重さんが今日は眼鏡を忘れてしまい、困っているのを見かねて小村君は三重さんをサポートしようと試みる。それがきっかけでお互いの距離が縮まっていく……話だと思うのだが、冒頭の登校シーンからユニークなパースのカット、グルグル動くカメラワーク、キャラクターもヌルヌル動くのは凄いを通り越してある種異様ですらある。ヒロインである三重さんの描写も非常に解像度が高く毛量が凄いことになっている。原作を見ると結構あっさり目の画風なのだが……。なんか最近同じようなのを見たぞ、と思ったら『デキる猫』と同じGoHands制作だった。やってることは凄いけど、作品ごとにどう見せるのか工夫した結果こうなったわけじゃなくて、この会社の作る作品はみんなこんな感じらしい。

 

作品としては最近よくある主人公とヒロインの二人の関係を中心に描くタイマンラブコメである。三重さんは可愛いと思うのだが、作画と演出に凝りすぎて正直くどいという感想が先に来てしまう。そしてアニメで動きがついたおかげで小村君のキモさが増しているのちょっと頂けない。こういう作品はまず主人公が好きになれないと厳しいからだ。肝心のメガネを忘れる三重さん、相手の顔10cmまで近づかなきゃ判別できないくらいのド近眼なら眼鏡を忘れたりしないだろうというツッコミは避けられないが、それを受け入れられるかどうかがそのままこの作品を受け入れられるかどうかにかかっている。ダメそうなら素直に回れ右をすべき。この1話の異様さが果たして一回限りなのか、確かめるために2話も確認するつもりだが、良くも悪くも見ると何か言いたくなる作品なのは確かだ。

 


いきものさん

坊主頭の少年と犬が主人公の、動物を題材にした短いシュールギャグアニメ。『マイエクササイズ』というゲームが原案らしい。全く同じ内容が二回流れて何事!?と思ったが台詞が無いバージョンとお笑い芸人の声が入っているバージョンの二種類があるようだ。台詞が全く無くても内容が理解できるだけに、お笑い芸人版は正直蛇足と言わざるを得ない。テレビで流れていたらつい見てしまうかもしれないが、配信でわざわざ見るほどではないかもしれない。