四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメになるべく目を通す・4(2023年春)

 

 

詳しいルール等は1の記事で。

 

 

魔法少女マジカルデストロイヤーズ

2008年、あらゆるオタク文化は謎の勢力の出現によって排除、オタクは保護の名目で捕獲・弾圧され滅んだかに思えた。だが2011年オタクヒーローと呼ばれる男が出現、魔法少女アナーキー”を伴って秋葉原で革命のための戦いを始めた。だがそれも以前の話。オタクヒーローは終わりのない籠城戦に疲れ切っていた。しかしアナーキーの決死の説得でオタクヒーローは再起、ふたたび革命の狼煙が上がり監獄となったビックサイトで囚われの身になっていた魔法少女ブルーを救出する。

 

00年代頃の懐かしいノリと取るか、痛々しくて見てられられないと取るか、賛否が分かれる作品だと思う。個人的には後者。村上隆とかカオスラウンジなどの、オタク文化を切り刻んだような作風はまるで現代アートとかそっち系のような雰囲気が漂うが、原案は案の定そっち系だった。絵コンテの次回予告とかエヴァの猿真似かと思ったくらい。色んな意味で時が止まっている。アニメとしてはTRIGGERのオマージュのような感じで意外にもヌルヌル動くものの、制作がバイブリーということで長続きしなさそうな悪い意味での信頼感がある。二十年前のまだ青臭い頃だったらハマるようなことも起こり得たかもしれないが、今は無理。

スキップとローファー

石川県の端の方、中学の同級生はたった8人の過疎の街から上京してきた岩倉美津未は、春から東京の進学校に通うことになったのだがいきなり乗る電車を間違え入学式に遅れてしまう。しかし同じく遅刻していたこれからクラスメイトになる予定の志摩聡介と出会ったことで学校への行き方が分かり、急いで入学式に向かうことになった。到着早々、新入生代表として宣誓することになる美津未だが、原稿をカバンの中に忘れてしまい暗記したものを読み上げる羽目に。どうにか切り抜けたかに思えたが、緊張のあまりみんなの前でゲロを吐いてしまうことに……。

 

アフタヌーン連載なので少女漫画ではないはずだが、アニメとしてのルックはどう見ても少女漫画のアニメとして作っていそうな感じの作品。四白眼の女子って、最近流行ってる? 明らかに美形というデザインラインではない主人公だが、二次元ではまだ可愛く見える程度に収まっている。前向きで切り替えが早く、田舎の神童として高い能力を持ちながら人の少ない地域で育ったおかげで人との距離感がおかしく、まるで都会慣れしていないおもしれー女が巻き起こす奇行の数々には思わず笑みがこぼれた。雰囲気もすこぶる良く、P.A.WORKSはオリジナルで色気出さなきゃわりといい仕事するなぁと再確認。視聴継続。

おとなりに銀河

親を亡くし、まだ幼い妹と弟を養う少女漫画家・久我一郎。ある日締め切りに追われている彼の元にアシスタントとして現れたのは、五色しおりと名乗る美女だった。高い漫画の技術を持つ彼女に助けられてなんとか原稿を完成させるのだが、徹夜明けで床に突っ伏している彼女のお尻からは何やら棘のようなものが生えていた。Gペンが刺さっていると勘違いした一郎がその棘に触れると、まるで宇宙にいるような感覚に襲われる。しおりの国ではその棘に触れることは婚姻関係の契を交わす行為だとしおりは怒り出すが、色々あって誤解は解けこれからお互いのことを知っていこうということになった。

 

少女漫画家の主人公が、アシスタントしてやってきた女性(すごく特殊な家柄の人)と離れられない関係になってしまうというところから始まる、いまどき見ないレベルの”落ち物”系ラブコメ。いきなり距離が近すぎるという意味では前期の『お隣の天使様』に近いテイストがあるのだが、あっちははよくっつけや!と思えたのにこちらはどうも進展が早すぎて気持ちが乗らないのは何かしらの差があるんだろうなと感じている。三話まで見て視聴をやめた。

君は放課後インソムニア

不眠症に悩まされる高校生・中見丸太(がんた)。文化祭の準備中、教室の片隅で居眠りしていたことを見咎められ、材料を取ってくるよう言われてしまう。材料を見つけたすぐそばの天文台の扉が開いており、そこは居眠りするのにちょうどいい場所だったのだが、同じクラスの曲(まがり)伊咲が既に先客として眠っていた。しかし扉の鍵が壊れていて外に出られなくなり天文台に閉じ込められた二人は、お互いが不眠症で困っていることを知って仲良くなる。その後は二人で天文台を過ごしやすくするためにリフォームしたり、真夜中の街を二人で歩いたりして徐々に親密になっていく。

 

不眠症インソムニア)に悩む主人公が、同じクラスの同じ症状に悩む女子と秘密を共有し、その過程で距離が縮まっていくという青春モノ。『スキップとローファー』は石川県から上京したのに、こちらはその石川県が舞台という妙なつながりがある。最初は主人公のメガネ男に若干乗り切れなかったのだが、次第に気にならなくなった。一話だけ見てもなんだか捉えどころのない作品で、だらだらと三話まで見たら写真・天体観測・ソロキャンプと個人的に興味のある要素が出てきて視聴継続の意思が強まった。

【推しの子】

地方の産婦人科医として働くゴローは、研修医時代に関わった患者の影響で現在はアイドルグループ”B小町”のセンターである星野アイのファン。そのゴローの目の前に体調不良ということで活動を休止しているはずの、妊娠したアイが偶然にも現れる。ゴローは悩んだ末に万全の体制でアイに出産させることを誓うが、出産が間近に迫ったある日アイのストーカーに逆恨みされて殺されてしまう。しかしアイの産んだ双子の片割れとして転生。しかし双子の妹もまた誰かが転生した存在であることが判明する。アイは出産したことを隠しつつもアイドル活動に復帰、スターダムにのし上がっていく。

 

ヤングジャンプ連載の、『かぐや様は告らせたい』と同じ原作者による漫画原作アニメ。生前好きだったアイドルの子供に転生し、色々あって自身も芸能界入りしその裏側を探るという物語。10年くらい前までは三話切りという行為が主流だったが、このアニメは初回80分(4話分)やってとりあえず掴みとなる部分を全部見せてしまおうという離れ業をやってのけたが、その分見始めるのにちょっと勇気が必要。よほど自信があるのだろう、映画館で先行上映やってただけあって歌も作画もかなり力を入れているのが分かるクオリティで、1話だけ見ても映画一本見終えた程度の感覚。最後に急転直下の結末が待ち受けており、これってそういう話だったんだと分かる展開になっているのだが、そこで満足して(ショックで)見るのを止めるか、先が気になって視聴継続するかは人によるだろう。掴みはいつも面白いんだよね、この作者。下世話な興味をくすぐる業界の闇、作画の良さを目当てに視聴継続。

カワイスギクライシス

宇宙の星々を支配下に置く宇宙帝国アザトスの調査員であるリザは次の目標を地球に定め地上に降り立った。初めは地球を滅ぼす気満々だったリザだが、たまたま立ち寄った猫カフェでこれまで出会ったことのない可愛さを持つ生物・猫や犬に遭遇したことでいまだかつてない衝撃を受ける。カフェの店員と仲良くなって雨の中を帰る途中、今にも死にそうな捨て猫を見つけたリザは科学力を使って全力で保護した結果懐かれてしまい家に連れて帰ることにしたのだが、そのあまりの可愛さにリザの任務には大きな支障が出てしまうことになった。

 

可愛さに耐性の無い宇宙人が地球の動物の可愛さに悶絶するというコメディ。リザ(花守みゆり)のリアクション芸が楽しい。杉田智和主演のアニメ並にそれだけでやっていけるポテンシャルがある。ただし作画は今期でもかなり悪い方。動物の可愛さがウリならもうちょっと可愛く描いてくれ。逆に言えば画面を見ないでもまあまあ楽しめるという意味ではBGM代わりに再生してもいいかなと思える。時間があれば見るかも。

私の百合はお仕事です

白木陽芽は愛らしい容姿を持つ高校一年生。幼い頃から磨き抜いた外面のおかげで男女問わない人気があるのだが、大富豪の玉の輿に乗るという野望を内に秘めていた。ある日街中で中学生くらいの見た目の少女と激突、怪我をさせてしまったことで彼女の経営するコンセプトカフェ『リーベ女学園』で働くことになってしまう。そこはお嬢様学校を模した設定で、女の子同士のいわゆる百合が繰り広げられる寸劇を見られることがウリのカフェであり陽芽もそれに巻き込まれるのだが、店員の一人である矢野美月に対して軽率に”お姉さま”と呼びかけたことで激しく反発されてしまうのだった。

 

百合姫連載作品だが、外面だけはいいノンケの美少女が、お嬢様学校をテーマにしたコンセプトカフェで百合プレイをさせられるという作品。だから厳密に言えば百合じゃない……と思って見ていたら三話あたりからなんだか込み入った話になってきた。一話の時点ではいきなりキレ散らかされる理不尽にちょっと不快感があったものの、二話からクレイジーサイコレズの青い子が参戦してきて対立軸が鮮明になり分かりやすくなってきたと思う。ギスギスしまくりの甘くない百合というあまり見ない味付けが持ち味のようなので、個人的にはしばらく様子見しておくことにする。

ウマ娘プリティダービー ROAD TO THE TOP

ウマ娘と呼ばれる名馬の魂を受け継ぐ少女たちのいる世界。ウマ娘の一人であるナリタトップロードは、トゥインクルシリーズというウマ娘たちが走りを競うレースの二年目、クラシック期に入っていた。弥生賞は同期のアドマイヤベガに僅差で勝利、三冠レース初戦の皐月賞に向けて絶好のスタートを切った。だが二強のうちどちらかが勝つと思われた皐月賞テイエムオペラオーが参戦、二人に挑戦状を叩きつけた。

 

TVシリーズとは設定のやや異なる、ナリタトップロードを主役とした全4話のシリーズ。いきなり劇場版レベルのアニメをお出しされて困惑したが、アイマスといいアプリの稼ぎがそのままクオリティに反映されているのは強すぎる。ファンなら分かる史実絡みの小ネタを拾いながら、小ネタが分からなくても問答無用の迫力のあるレースシーンを展開。迫力ありすぎてもはやプリティではない。これで年内にTVシリーズ三作目もあるとは……色々と期待せずにはいられない。もう来週には終わってしまうけど最後も楽しみだ。

THE MARGINAL SERVICE

ブライアン・ナイトレーダーは追っていた犯人が不審な死を遂げ、相棒まで死なせてしまったことで刑事を首になる。だが国連移民局特別捜査班”マージナルサービス”というところから封書が届き、書かれている住所へ行ってみるとそこは怪しげなオカルトショップ。だがそこは境界人と呼ばれる未確認生物を対象に扱う部署であった。疑念を持ちながらもマージナルサービスの一人であるゼノ・ストークスの捜査についていくブライアンは、元上司が境界人であることを知り追い詰めるが、巨大な正体を前に手も足も出ない。しかしそこに土木作業員のような姿をしたマージナルサービスたちが現れ、一斉攻撃を開始する。

 

キャラクター全員が裸というティザービジュアルから結構ぶっ飛んだ内容を期待していたのだが、土方姿で宇宙人と戦う戦隊モノという実際に出てきた内容には思ったよりぶっ飛んだ感じがしなかった。1話終盤のキャラクター紹介を兼ねた見せ場のシーンで、みんなでネイルガンをぶっ放してるだけというのもちょっと普通すぎだし、Cygames絡みの企画だと『アキバ冥途戦争』という本当にぶっ飛んだ作品が直近にあったせいで色々な意味でインパクトが足りない作品になってしまっている。作品の傾向としても女性向けっぽいので自分には向いていない雰囲気をひしひしと感じるのだった。一話切り。

贄姫と獣の王

魔族の国の王に生贄として捧げられた少女サリフィ。だが帰るところのない彼女は魔族の王にも恐れることなく接すると、王は何の気まぐれかしばらくの間生かして側に置いておくことに決めた。思うままに行動するサリフィに対して冷酷になりきれない王だったが、ついに生贄を食らう儀式の夜が訪れる。だが半分人間の血が流れている王は満月の夜にだけ人間の姿になるという秘密があった。サリフィを裏口からこっそり逃がそうとする王だったが、サリフィは王と共にいることを選び妃として迎えられた。そしてこれまで名前のなかった王はサリフィにレオンハートと名付けられたのだった。

 

花とゆめ”連載の漫画原作アニメ。なんか似たような作品が前期になかったっけ? 『ノケモノたちの夜』?? まあ他にも『美女と野獣』とか『魔王城でおやすみ』とか、そういったどこかで見たテイストの作品と被って見えるのは後発の弱みかもしれない。漫画連載自体は2015年と先だったのだが。他に行き場のない人間の女の子が、獣の姿の王(ときどき人間の姿になる)と交流し、それが殺伐とした魔族の世界に変化をもたらす……感じになるんだろうなぁ。先の展開が気になるかと言われたら正直あまりならない。一話切り。

 

結論

以上36本。

ダラダラとやっていたら5月になってしまった。

今期は一話だけでは判断のつかない作品が多く、この時期までずれ込んでしまった。

単に受け付けないものだけじゃなく、そこそこ見れそうなものも断腸の思いでぶった切り、残ったのは以下の通り。

 

視聴継続

スキップとローファー、アイマスU149、ウマ娘RTTT、推しの子、江戸前エルフ

マイホームヒーロー、僕の心のヤバイやつ、ちびゴジラの逆襲

事情を知らない転校生がグイグイくる、君は放課後インソムニア

ワールドダイスター、デッドマウント・デスプレイ

一応チェックはしてる

鬼滅の刃・水星の魔女

 

結構残ったな……。今期は話題性だけ見るなら鬼滅・水星・推しの子で多分圧勝だと思うが、そればっかりでも結局のところ自分向きの作品とは言い難い。反面青春もの・ラブコメは豊作で見るものに困らない。個人的にも好みなのでそればっかりになりそうなところだったが、そこに味変としてマイホームヒーローみたいなヒリつくようなサスペンスを入れることにした。アニメとしては並だがストーリーは面白い。

 

ワールドダイスターは最初はどうかと思ったが、三話から特殊能力で無茶な展開をやり始めてから面白くなってきたと思う。そういうのが当たり前の世界だったなら、初めからそう言ってくれ。実質オリジナルアニメなので、結末が分からないことが最大の強みであり不安要素でもあるので、化けてほしいと思いながらこれから見ることになる。マジカルデストロイヤーズは勘弁してくれ。

 

2022秋にDIY、2023冬にもういっぽんと推してきた身としては今期一番推したいのはスキップとローファー。村重結月さん好き。