四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

Netflix『ロマンティック・キラー』視聴。

休日に何もすることがなくて見始めた『ロマンティック・キラー』、なんとなく最後まで見てしまった。主人公の女子が複数のイケメン男子に囲まれるという、いわゆる少女マンガや乙女ゲーム路線の作品で、正直この手のジャンルの作品にはまったく明るくなく、始めて触れたに等しい程度の認識に基づく感想である。

 

・ストーリー

ゲームとチョコレートと飼い猫という三大欲求にしか興味がない女子高生・星野杏子の元に、突然リリという小動物的な魔法使いが現れる。夢と希望をエネルギーとしている魔法界は、人間界の少子化のためエネルギー不足に陥っていた。そのため少子化対策プロジェクトとして恋愛と縁がない人間に働きかけ、恋愛させようと目論んでいたのだ。そのターゲットして杏子が選ばれ、その日から魔法によって次々と乙女ゲームの定番イベントのような出来事が起こり始め、クール系男子の香月司、さわやか体育会系男子の速水純太、金髪セレブ男子の小金井聖というイケメンに囲まれた生活を送ることになる。かくして絶対恋愛したくない女子と、絶対に恋愛させる魔法使いによる周囲を巻き込んだバトルの火蓋が切って落とされる。

 

この作品は主に女性向けには違いないと思うのだが、とにかく主人公である杏子の奇行と顔芸、リリとのどつき漫才、そして声優の熱演によって非常にコミカル度の高いドタバタラブコメディになっていて、男の自分でもそれなりに楽しむことができた。TVゲームのパロディ的な演出もあって親しみやすい。アニメを見た後に原作も一応チェックしたのだが、アニメほどは弾けていなかった。

 

主人公である星野杏子役の高橋李依が、声優生命を賭けているのかと言わんばかりの奇声を発しており見ていて心配になってしまう。この作品の八割ぐらいは杏子のキャラクターで持っていると言っても過言ではなく、それに対する声優の貢献度はかなり高い。声優が作品の出来不出来を左右することは少ない、というのが持論なのだが珍しくその例外的な作品だと思えた。

 

がさつでお洒落に興味がなく家庭的でもない、”非ヒロイン属性”と揶揄される杏子だが、裏を返せば明け透けで侠気のある性格でむしろ作中一番の”ヒーロー属性”でもある。作品のウェイトを主人公の存在が大きく占めているので、ちゃんと好感の持てる主人公というのは良いことだ。周囲の男子も女子も無意識に落としていく様は、なんだかんだ言ってハーレム系主人公と大差ないかもしれない。

 

うーむ、最初は既存の乙女ゲーム的な設定に対するアンチテーゼのような作品なのかと思ったのだが、よく考えると男子と女子の立場を入れ替えたら男性向けハーレム作品とそんなに違いはなさそうだ。設定的に型破りなところはあるものの、女性向け作品としてはこれがある種の王道なのかも。

 

杏子の顔芸といい、リリによるEDの前口上といい、最初はその灰汁の強さに驚いたものだが、流石に後半はちょっと飽きていた。セレブ男子の聖は登場が遅いので、存在感が他の二名に大きく水を開けられており、舞台装置的な役割から抜け出せていないのは少々勿体ない感じがする。打ち切り漫画のアニメ化ということであまり期待していなかったのだが、素人目にはなかなか楽しめた作品であった。