四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』鑑賞。

最近はドラマの方が活発でいまいちついていけてないマーベル・シネマティックユニバース。映画の方もマルチバースを多用した結果なんでもあり感が強くなってきて、物理的にも精神的にもいまいちノリ切れなくなっているのだが、その流れから独立した笑えて泣ける痛快娯楽宇宙活劇シリーズ、その区切りとなる三作目『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』をやるとなれば観に行かないわけにはいかない。

 

2との間にホリデースペシャル(未見)という配信専用のエピソードが挟まっているが、一部何言ってるのか分からない部分がある程度で観ていなくてもわりと平気だった。ネビュラの腕とか、ピーターがマンティスを妹と言ってたり、コスモという犬がメンバーに加入しているのは多分その要素なんだろうな。最低でも1と2、『インフィニティウォー』と『エンドゲーム』、『ラブアンドサンダー』は予習しておく必要がある。これでも他のシリーズに比べれば少ない方だ。

 

今作ではついにロケットの過去にまつわるエピソードが明かされることになる。どのようにして一介のアライグマがアベンジャーズ随一とも言えるほどの知能を手に入れたのか。ガーディアンズを襲うアクシデントにより傷ついたロケットを救出するため、ピーターらはその過去と向き合うことになる。この辺は結構えげつない動物虐待描写があるので、ちょっと憂鬱な気分になった。いくら不謹慎スレスレどころか一線越えてるのが持ち味のジェームス・ガンと言えど辛いものは辛い。

 

そして銀河の再チャレンジ軍団・ガーディアンズの仲間たち。ひとりひとりにきっちり見せ場が用意されているのだが、なんというか一番驚いたのはネビュラの成長が著しいことだった。一作目で登場したときはサノスの縁者で宇宙の暗殺者という肩書には見合わない程のポンコツで、敵としても味方としてもなんだか頼りないイメージが抜けなかったのだが、今回のネビュラは戦闘力もさることながら仲間との絆を大事にする頼りがいのある存在になっていたことだ。GotGでは一番化けたと言っても過言ではないだろう。新装備もなんだかアイアンマンとの繋がりを感じさせるのは、EWとEGを踏まえた感じがして良い。

 

ドラッグスが普段はとぼけた感じなのに、いざとなったら元・父親らしい側面を見せるのもグッと来た。インフィニティ・ウォー以降事実上の別人となったガモーラとピーターの関係にも新たな進展を見せるのだが、これ以降見ることが出来ずなんとなく匂わせるだけに留まっているのは非常にやきもきさせられる……。スターロードは今後も再登場の機会があるらしいのだが、ガモーラはこれっきりになる可能性が非常に高いから。

 

今回初登場のアダム・ウォーロックを演じるウィル・ポールター、そんなに映画に出ている俳優ではないが、2017年に公開の映画『デトロイド』で演じていたレイシストのクズ警官の印象があまりにも強すぎて、観た瞬間からこいつクズっぽいなと思ってしまったが実際そうだった。コミックスだとサノスを丸め込むほどの話術の達人といった印象なのだが、今回は生まれたての幼児みたいに融通の利かないキャラになっている。だが再チャレンジというテーマを持つGotGシリーズとしては今回ある意味象徴的な役どころになったので次回以降の活躍に期待したいところである。良かれと思ってやったことが危機を招きつつも、ちゃんとここぞというところで活きてくるという展開はベタだけど、やはり良い。

 

この作品のヴィランであるハイ・エボリューショナリー、癇癪持ちで動物虐待というリアルなクズと、自分で進化させた生物住まわせた惑星をいとも簡単に滅亡させるフィクションのクズを組み合わせた、どんな目に遭っても同情できないレベルのクソ野郎なのだが、観ているときにこいつディズニーそのものなんじゃないのかとしか思えなくなった。自分の都合で処分しようとしたロケットに逃げられた後、やっぱり再利用できそうだからという理由でふたたび捕獲しようとしたのが、この作品の監督であるジェームズ・ガンの顛末に重なって見えるのである。過去の発言を掘られてGotG3の監督を解雇された後、DCのスーサイド・スクワッドの監督などをやっていたのだが、署名活動でGotG3の監督に復帰した。現在はまたDC映画全体を統括するポジションになっているようだが、今回の敵の描写は、そのときのことがよっぽど腹に据えかねたんだろうなと思えてならなかった。

 

現GotGのメンバーが一堂に会するのはこれが最後というのは寂しい気持ちがありつつ、ジェームズ・ガンあってのシリーズであることを考えると、ここで区切りをつけておくのはやはり正しいのだろう。MCUの中でもひときわ輝きを放っていたこの三部作、控えめに言っても傑作だった。