四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

今期のアニメになるべく目を通す・1(2023年夏)


2023年夏アニメが始まった。最近は夏の暑さにやられて何もしたくないモードに入っていてブログも満足に更新できていないが、一応新作のチェックはしておかねばなるまい。今期は最近の中では続編が多く新作がちょっと少なめで、結果的に取り上げる本数が少ない。始まる前から期待していた作品も無きに等しく、こういうときこそ自分で見て確認しやすくなる。何を見るかなんて結局9割は自分の好き嫌いで決まってしまうのだが、その残りの1割は好き嫌いを通り越した新しい出会いになると期待しているのだ。たとえそれがアニメだったとしても、嬉しいことには違いない。

 

・2023年7月に始まった作品が対象。

・並び順は見た順番。

・シリーズもの(続編・二期)はここでは触れない。

基本的にdアニメストアAmazon prime video・Netflixで配信されているものに限る。

・一話時点のネタバレあり。

 

大奥

よしながふみ原作の漫画のアニメ化。実写映画化やドラマ化を経て、ついに今年アニメにまでなったのは昨今の情勢が決して無関係ではないだろう。あまり先入観を持たずに見るべきなのかもしれないが。江戸前期・徳川家光の時代、熊に襲われた農村の少年から若い男だけが罹患する感染症が発生、男子が1/4にまで減少し男女比のバランスが大幅に崩れてしまう。それによって日本の社会システムに大きな変化が余儀なくされた……というまるでゾンビ映画か何かかと思ってしまうような導入から始まるパラレル歴史ストーリー。男子が減ったことで男女の役割も逆転、江戸城にある大奥もまた女ではなく男が囲われることになり、そこを中心に物語が進んでいく。

 

第一話は80分ありかなり骨太の時代劇が展開される。当初主人公なのかと思われた水野祐之進という男が大奥という独自の世界で出世していく話なのかと思いきや、早々に離脱して将軍となった徳川吉宗(女)の方にフォーカスが移ってしまうのは戸惑いを隠せなかったのだが、そこから社会変革のあった前の世代に遡っていく……という本編に至るまでのプロローグに過ぎなかったようだ。正直男女逆転してしまったら、大奥のシステムもそのまんまとはいかないだろうと思うのだが、その真相がこれから語られるのだろうか……。当然男ばかりの世界となると衆道の描写もあるわけで、その辺はちょっと趣味じゃないので難しいところ。Netflix独占配信で既に最後まで配信済みなので、考える時間はまだまだある。

 

ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~

PS1の時代から続くアトリエシリーズ最新作・ライザのアトリエ1作目のアニメ化。初回は二話分の尺を使い導入部を一気にやって、閉鎖的な村で育った冒険に憧れるライザが錬金術師の見習いになるところまでを描く、丁寧ではあるが退屈な第一話。ゲーム発表当時、お前みたいななんてことない農家の娘がいるか!?と誰もが突っ込んだと言われる衣服がはち切れんばかりの太腿はアニメでも健在であり、暇さえあればライザの太腿映しとけと言わんばかりにとにかく太腿が強調されまくっている。

 

原作はやったことないので、見た目からは想像できないライザのガキ大将っぽさはかなり意外だった。なろうの異世界作品のようなステータスだったりスキルだったりというものが出てこないライトな純ファンタジーの世界ではあるものの、錬金の描写は試験管ごと釜の中に入れちゃうくらいゲーム感溢れるものなので、それに納得できるかどうかが作品に入り込めるかどうかのボーダーラインだと思う。作画は特別悪くはないので時間に余裕があるか、あるいは太腿フェチだったら見てもいいかなという感じ。

 


実は俺、最強でした?

ひきこもりがチート能力を持って異世界に転生する、絵に描いたようなテンプレなろう系作品だがついに最初に死ぬところまで描写が省かれてしまう(でも死んだことになっているらしい)。王族の子供として転生し流れるような魔力測定にはゲップが出そうになるが、良く言えばどうでもいいところはさっさと飛ばすスピード感はある。なまじ女神に限界を越えた能力を与えられたお陰で測定で正しい数値が出ずに忌子として捨てられてしまうというのは前期の『転生貴族の異世界冒険録』の逆パターンだが、捨てられた先で巨大なモンスターに襲われるも、与えられた結界魔法は実はやろうと思えばなんでもできる万能の能力でいとも容易く魔物を降参させる……結局こっちのルートもテンプレ感に溢れている。その後は生みの親の知り合いに拾われて幼少期を過ごすことになるのだが……。義妹の声優が種崎敦美ということくらいしか今のところ見る動機が見つからない。

 


幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-

ラブライブ・サンシャインから派生したファンタジー・スピンオフ作品。続編でも二期でもない新規作品なので一応ここでも触れることにする。キャラクターをだいたいそのままに、世界設定だけを剣と魔法のファンタジー世界に変えておりいわゆる異世界転生とは違うらしい。らしいというのは自分がラブライブシリーズには一切触れてこなかったせいだが、テレビ(らしきもの)があったり電車があったりしてわざわざ異世界でやるほどの意味は正直それほど感じられない。

 

一話を見る限り故郷の街で起こっている異変を友人たちと解決するジュブナイル・ファンタジーになりそうな感じ。主人公のヨハネが歌手志望であり、この作品の元がラブライブだからなのか当然のようにライブシーンがあり、3Dモデルを用いているがこれが結構よく出来ていると思う。原作の知識が要求されるわけではないようなので、自分のようなラブライブ素人でも見ることができる作りにはなっている。少しの間様子を見ようかな。

 

 

夫婦交歓~戻れない夜~【オンエア版】

僧侶枠お馴染みのお試し版エロアニメ。お互いの伴侶にちょっとした不満を抱えている二組の夫婦が旅行先で結果的にスワッピングするという話で、普段は僧侶枠アニメ程度じゃ何も感じないよ……と呆れた感じで見ているのだが、今回ばかりは設定がツボに入って不覚にもちょっと興奮してしまった。妻との子作りのために二ヶ月禁欲していた夫が妻の浮気している現場に遭遇し、もう一方の夫婦の妻に誘惑されて性欲の限りをぶつけることになる流れ、個人的には好き。ちょっと本番有り版を見たくなっている自分がいる。見たところで実際は大したことないというのは分かっているのだが……。

 


異世界転生エージェント エーコさん

転生を題材にしたオリジナルショートアニメ……のはず。正直タイトルの意味がちょっとよく分からない。短いので2話まで見たが題材は転生なものの別に異世界要素なくない? 逆って何? と疑問符が次々と浮かび上がる。転生もいわゆる神様からチート能力を貰うとかそういうものではなく、仏教における地獄(あの世)や輪廻転生の概念をボケとツッコミでカジュアルに表現。テンポのいい漫才が繰り広げられるのでそこは少し面白い。場所が地獄だと分かると、エーコさんのデザインが地獄の鬼モチーフなのが分かって結構良いデザインだと思えてくる。でもネタとしては出オチ感があるので長続きはしないかも。

 


LV1魔王とワンルーム勇者

かつて勇者マックスとその仲間たちに破れた魔王が10年後に女児の姿で復活、しかしその間に文明は著しく発達し、現代とそれほど変わらなくなっていた。だが勇者はその間にすっかり落ちぶれてしまい、見かねた魔王がその世話をするようになるというドタバタ日常系コメディ……一話だけ見た限りではそう見えるのだが、小耳に挟んだところ結構シリアス要素の割合が大きいらしい。本当に? ファンタジー要素はあるもののほとんど現代と変わらないような街並で敵と味方が緩くじゃれあっているという点では『天体戦士サンレッド』みたいな雰囲気がある。女性キャラが結構太ましいというか個性の強い体型をしているので、好みがはっきりと分かれそうな感じがする。個人的には嫌いじゃないよ。

 

 

おかしな転生

現世ではパティシエ(菓子職人)だった男が事故で転生し異世界の領主の息子として生まれ変わるという異世界転生もの。主人公が元パティシエというだけあってお菓子作りで無双する話なのかな?と思いきや、お菓子の国を作るという目標はあるもののやることは魔力測定とか領地経営とか盗賊退治とかのテンプレ路線で独自性に欠ける。一応菓子職人目線でものを見たりする要素はあるものの、話の上ではお菓子要素は限りなくマクガフィン(代替可能な要素)に近いように思えた。続けて見ることはなさそう。

 


うちの会社の小さい先輩の話

勤めている会社の先輩が小さくて可愛いという話。小学生? 幼児? 周囲の人間と比較するとそれくらい身長差があるが、中身は社会人三年目の大人の女性で新人の主人公の世話を色々と焼いてくれる。背は小さいが胸は大きいといういわゆるトランジスタグラマー体型でとにかく色々と都合の良さを感じるがコンセプトは非常にわかりやすい。以前あった『先輩がうざい後輩の話』という作品と若干似たものを感じるが、そっちは小さい後輩の女子とガチムチ先輩の組み合わせであった。

 

もうほとんど付き合ってるでしょというくらい距離感がおかしい先輩が色々とスキンシップしてくるし、社会人設定だけあってちょっぴり性的な匂わせもある。もちろん主人公は喜んでるし、先輩のほうもまんざらではないという甘~い空気。立花日菜の甘ったるい声も相まって胸焼けしそうなほどの糖分を摂取できるが、制作が『お隣の天使様』を作ったところなので、作画が次第にヘタれる可能性があるのが不安要素か。

 


フェ~レンザイ -神さまの日常-

神や妖怪などが現代社会に当たり前のように混じって暮らしている世界。二百年以上生きている九尾の狐・九月(キュウゲツ)が勤めている会社やその周辺の出来事を描いた漫画原作の中国産コメディ作品。前にこういう設定のアニメを見た気がするな……『氷属性男子とクールな同僚女子』だったか。1分にも満たないショートアニメを何本もまとめたような構成でテンポ感が凄まじいのだが、やはりこういうところは感性の違いを強く感じる部分だと思う。

 

各キャラの元ネタに基づいた話が展開されるのだが、封神演義西遊記ならともかく、日本人に山海経や三才図会の知識を要求するのは若干ハードルが高いと思われる。中国人なら常識なのか? 元ネタが分からなくても雰囲気だけでそれなりに楽しめる作品だとは思うものの、同時に日本では受けなさそうというのも感じてしまうのであった。日本語吹き替えの声優陣は豪華なものの、その中に混じっているジャニーズはノイズ。だが少しでも人を集めたい涙ぐましい努力ということで見てみぬふりをするべきなのだろう……。

 

 

私の幸せな結婚

元々なろうで連載されていた、明治か大正の日本を舞台に継母と義妹に虐げられている女の子・美世が気難しい軍人の家に嫁ぐことになるというお話。最初に美世が使用人同然の扱いをされているのを見て、ああこれはつまりシンデレラなんだなということが分かった。父親も一応存在しているのだが美世の境遇を見て見ぬふり。一応気にかけてくれる幼馴染の男子は存在するものの、その性格が裏目に出て不愉快な義妹と結婚させられるハメに。なんか一生あの家から離れられなくなった幼馴染が1番可哀想な気がするんだが……。

 

制作がメイドインアビスなどで知られるキネマシトラスだけあって画面のクオリティ自体は高く、背景美術なども見応えがある。主人公・美世の声優が上田麗奈で耳に優しいのも個人的にはポイントが高い。どちらかと言えば女性向けの作風で、一話の時点では正直かなり辛気臭い雰囲気があるが、実写映画が先行して公開されたおかげで実はこれからわりとトンデモな話になるというのを小耳に挟んでしまった。実際公式サイトのキャラ紹介に不穏な記述があるし、何がどうなってそうなる?というのがちょっと気になるので、しばらく見てみようかなと思う。