四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

久しぶりに『ドーン・オブ・ザ・デッド(2004)』を観た。

アマゾンプライムビデオに来ていたので久しぶりに観てみたがやはり面白い。ロメロ版のドーン・オブ・ザ・デッド死霊のえじきなども面白かったのだがさすがに古く感じてしまったので、それらをオマージュしたザック・スナイダー版のドーン・オブ・ザ・デッドこそが現在のスタンダートと言っても過言ではない。そして今あるゾンビ映画もまた、この作品の影響を避けては通れないだろう。それくらい面白いゾンビ映画だ。

 

ある日突然世界がゾンビで溢れ、生き残った男女数人がショッピングモールに立てこもる。しかしやがて限界が来て脱出する、とただそれだけの話なのに面白い。なんでゾンビが現れたのかなど全く触れられないのだが面白い。なぜならこの映画がゾンビ映画の面白いところをギュッと濃縮し、勿体ぶらずに垂れ流しているからに他ならない。

 

序盤の平穏は本当にわずかな間だけで、あっという間に世界がゾンビで埋め尽くされてしまう。軍隊もテレビ局も長くは持たず、すぐに外の様子は分からなくなる。なぜならこの映画のゾンビは走る。圧倒的な速度を持って世界を滅亡させてしまうことへの説得力が十分にある。

 

そしてショッピングモールに立てこもった後は最初の住人と揉め事を起こしたり、さらに途中から人が合流してきたり、実は噛まれていたことを隠している奴がいたり、目の前で死にかけの人がゾンビになり感染理由が判明するなど緊張感が続く。そこで描かれる人間ドラマには、極限状態における人間の本性という部分のリアリティがわりと丁寧で受け入れやすく、それほど不快に思わないのが面白さに繋がっていると思う。合理性より人間の情が優先されてしまうのは理解できるからだ。

 

モノで溢れるショッピングモールを満喫したり、モールの向かいにある銃器店の生き残りとのちょっとした交流や、サバイバルに余裕ができたときのちょっとした遊びなど楽しいところも盛り沢山。むしろ唯一息抜きできるパートでもある。映画を観終わった後は、このひとときの思い出がより楽しく、そして懐かしく思えてくるはず。

 

その後も脱出するための車両をモールの豊富な機材を使って作ったり、ゾンビとの戦いを経て最初はロクでもなかった奴となんとなく信頼関係を築いてしまったり、とにかく面白いところしかない。特に最後の30分はノンストップで状況が動き続け、そのスピード感はたまらないものがあるのだが、唯一の欠点はハリウッド名物・バカ女が私情で勝手なことをやって事態を悪化させまくるところで、そこだけは何とも言えない不快感があった。

 

確かにこの映画は面白いのだが、この映画を観てゾンビ映画面白いじゃん! もっと観たい! と思って色々探してみても、やはりこの映画以上のゾンビ映画は見つからなかった……となってしまいがちな両刃の剣でもある。続編である『ランド・オブ・ザ・デッド』も人間と人間の争いになってしまい正直それほど面白くなかった。『新感染ファイナル・エクスプレス』ぐらいだったかな、『ドーン』に匹敵するくらい面白いと思えたのは。この間の『アイアムアヒーロー』はかなり惜しかった。とにかく何度観ても面白いゾンビ映画なので、また気が向いたら観るだろう。