四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

スカイリム日記7『猛勉強(前編)』

ザボス・アレンから大学の図書館であるアルケイナエウムの主、ウラッグ・グロ・シューブにサールザルで発見された謎の球体に関する調査を依頼してくるように頼まれた。相変わらず雑用係の毎日である。だが図書館へ行ってみると、サールザルに関する書物は既に持ち去られてしまった後だという。なんと間が悪い!

 

 

依頼しにきたはずなのに、逆にウラッグから本を取り返してきてくれと頼まれてしまった。魔法の研鑽のためにやってきたということもありこの大学の揉め事には正直関心が薄いのだが、彼は俺を見習いの魔術師だと見抜いたのか、報酬としてこの図書館から魔法の技術の向上に役立つ本を見繕ってやると持ちかけられた。それこそ今まさに俺が欲しているものではないか! 餌に釣られて、結局その依頼を受けることになった。

 

 

ウラッグの見立てでは、本を盗んだオーソーンという男はフェルグロウ砦というところへ向かったのではないかという。フェルグロウ砦は現在、召喚師の率いる魔術師の巣窟となっているらしい。若干頼りない情報だが、今はそれを当てにするしかない。魔術師との戦い……これまで経験したことがないので不安が募る。

出発前、ウィンターホールドの上空にドラゴンの影が見えた。守備の兵士たちに緊張が走るが、幸いにも集落に降りてくることはなかった。今、スカイリムの各地ではこういった光景が繰り広げられているのだろうか……。不吉の前兆でないことを祈るしかなかった。

 

 

ウィンターホールドからフェルグロウ砦までは何日もかかることが予想された。地図上でははるか南西、ホワイトランからのほうが近いくらいの場所である。ウィンターホールドでは馬車を借りることもできないので、歩いて雪山を一つ越え、二つ越え、フェルグロウ砦まであと少しに迫ったシアーポイントという峠道に差し掛かったときに、それは起こった。

 

 

吹雪の中、突如として飛来したドラゴン。明らかにこちらを狙っている。あのときと違って、今度は俺とリディアのたった二人しかいない。勝てるのか? いや逃げられない以上戦うしかない。俺だってあの頃より多少は魔法の扱いが上手くなったはず……覚悟を決めた。

リディアに囮になってもらい、ひたすら魔法を連射する。氷のブレスを吐いたことから、火の方が有効に違いないと判断しファイアボルトを魔力が底を突くまで撃ち続けた。魔力が尽きた後は、あの”ジリク・ゴールドールソン”の杖を取り出す。杖に込められたライトニングボルトは自分の魔力が尽きていても撃ち続けることができる。

リディアは果敢にも接近戦を挑み、空を飛べば弓で狙い、危なくなれば上手に逃げた。俺はドラゴンの攻撃から逃げながら、倒れろ、倒れろと祈りながらひたすらに魔法を撃つ。

 

 

ドラゴンは意外にも呆気なく倒れた。ホワイトランのときと同じように、ドラゴンソウルが身体に流れ込んでくる。いける! ドラゴンは俺たちだけでも倒せるという確かな手応えがあった。リディアと共に勝利を喜びあう。

近くには文字の光る壁画があり、新たなるシャウトの存在を示していた。俺たちは勝利の余韻にすっかり気が抜けており、ドラゴンとの戦い終わって満身創痍のままそこに近づいてしまった。すると横にあった棺の蓋が勢いよく跳ね上げられ、見たこともない高位の魔術師が姿を現したのだ!

 

 

言うまでもなくこちらを敵視しているその魔術師は、ファイアボルトより上位の炎の魔法を恐るべき速度で放つ。その炎は爆発するように空中を切り裂き、掠っただけなのに全身に苦痛が走る。こんなの、何回も耐えられないぞ!

恐怖にかられた俺たちは山の斜面を転がるように、ほうほうの体で逃げ出した。この世にはドラゴンよりも恐ろしい存在がいることを、このとき初めて知ったのだ。

 

 

シアーポイントを勢いよく下り、息を整えながらしばらく歩くと山の斜面に作られた砦が見えてくる。あれこそが魔術師の要塞と化したフェルグロウ砦に違いなかった。

 

【続く】