四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

スカイリム日記5『初めての訓練』

 

ドラゴンズリーチに帰還した俺を待っていたのは

まるでドラゴン退治の英雄のように扱うバルグルーフたちだった。

ノルドに伝わるドラゴンボーンの伝説はどうやら真実のようで

バルグルーフは興奮した様子で熱く語って見せた。

 

ドラゴンボーンはドラゴンの力を吸収することで

ドラゴンの言葉(シャウト)を使うことを可能にする。

そして先程の落雷、それこそがハイ・フロスガーという場所に住む

シャウトの導き手であるグレイビアードが

ドラゴンボーンを呼ぶ声そのものであるという。

 

バルグルーフは幹部たちと相談し

俺をホワイトランの従士とすることを決定したという。

つまりドラゴン退治の切り札としてこれから

ホワイトランのために戦ってほしいという要請に他ならない。

そのために魔力を持つ両手斧を授け、

リディアという私兵を従者として自由に使ってよいとまで言われた。

 

 

ドラゴンと戦ってからここまで、あまりに多くのことが起こりすぎて

どうも現実感が薄かった。俺が英雄? ドラゴンボーン? 一体何の冗談なのか。

それが事実だとしても、あまりにも荷が重過ぎるんじゃないのか……。

しかしスカイリムに来てからまるで運命に翻弄されるような出来事の数々が

俺がドラゴンボーンであることを裏付けているように感じているのも確かなのだ。

少し考えさせてほしいとその役を辞退したが

リディアは俺についていくと言って聞かなかったので仕方連れていくことにした。

彼女はバルグルーフのお目付け役といったところなのだろう。

それに一人旅はまだ心細いのだ。

 

 

俺は従者リディアを伴い、ホワイトランより遥か北の地にある

ウィンターホールドを目指すことにしにした。

ハイ・フロスガーへの巡礼のために七千段の階段を登っていく必要がある

という話を小耳に挟んだからでは決して無い。

 

ウィンターホールドにある魔法使いの最高学府では今も魔法の研究をしており

そこに入ることさえできれば魔法を自由に学ぶことができるという。

今のままでドラゴンと戦ったとしても死ぬのは時間の問題だろう。

そのためにはより大きな力を身につける必要があったし

苦手な剣よりも得意な魔法を伸ばすほうが良いと考えたからだった。

馬車を借り、ウィンターホールドへと進路を取る。

 

 

ウィンターホールドは吹雪に閉ざされた、雪深い極寒の地であった。

かつてはスカイリムの首都であったらしいか今はその面影もなく

小さな集落のみが存在するのみだ。

その集落の奥にある要塞がウィンターホールド大学である。

 

 

大学はその石造りの要塞としての堅牢さとは裏腹に非常に不安定な立地である。

かつて大きな災害があり、ウィンターホールドの大半が海に沈み

残ったのが今のウィンターホールド大学と残された集落というわけだ。

そしてその災害自体がウィンターホールド大学のアークメイジによって

引き起こされたのではないかというのがもっぱらの噂であった。

そのせいでこの大学はスカイリムでは非常に評判の良くない組織だ。

だが真実かどうかは今はどうでもよい。

藁にも縋るような気持ちで、俺は大学を訪ねた。

 

 

大学の入り口の前では一人の女が道を塞いでいた。

ファラルダと名乗ったその女はウィンターホールド大学の試験官として

志願者の魔法使いとしての能力を見定めているという。

ファイアボルトを目の前で唱えることを要求されたが知らない魔法であった。

しかしファラルダ本人から格安で魔法を教えてもらい

それほど高等な魔法ではなかったので、知っていさえいれば唱えるのは簡単だったので

あっさりと大学の門をくぐることができた。

その先にある非常に足場が不安定な道を進んでいくと

切り立った断崖の上にあるのがウィンターホールド大学へ辿り着く。

 

 

エントランスホールではミラベル・アーヴィンという

魔法使いでありながら通常業務の担当でもある女が待っていた。

最近は入学志望者が多く多忙を極めているらしいが

スカイリムでは今にも戦争が起こりそうな予感がひしひしと感じるし

そう思っているのは何も自分だけでは無いのだと思う。

ノルドは魔法を軽視する傾向にあり

志望者は基本的にエルフが多いらしいが、最近はそうでもないようだ。

 

彼女にまず大学の中を案内してもらうことになった。

学生寮の中には俺の部屋が用意され、ローブも支給された。

ありがたいことだ。

地下には洞窟の存在も確認できたが、今は見なかったことにしておこう。

 

 

最初の授業は中央にある『元素の間』で行われた。

講師のトルフディルと呼ばれる男は温和な老人のように見えたが

大学では変性魔法のエキスパートであると先程ミラベルから紹介を受けていた。

そこにはここの生徒と思われる人も何人かいた。つまり同期入学というわけだ。

面識はなかったが、どこか親近感を覚えている自分がいた。

 

しかし少し話を聞いてみると、野心に溢れ

目的意識の明確な者たちばかりで気後れしそうになる。

しかし俺だってドラゴンボーンとしての自覚はまだ無いものの

ドラゴンと戦うための手段として自らの力を高めるためにここにやってきたのだ。

決して負けてはいないはずだ。

 

 

トルフディルが説いたのは防御魔法の重要性であった。

まず自分の身を守ることを出来るようになることが

長く研究を続けていくことで重要なことだという。

もしこのウィンターホールドの地の崩壊を招いたのがこの大学の研究のせいであるなら

確かに防御魔法は重要かもしれないなと思ったが、口にはしなかった。

 

すると黙っていたことが気に障ったのか、シールドスペルを使ってみろと

トルフディルに要求された。だがシールドなど一度も使ったことがない。

しかしリバーウッドで購入した呪文書のひとつに

魔力の盾と呼ばれる魔法があったことを思い出した。これだ!

 

 

意識を集中させ、魔力の盾を目の前に作り出す。

するとトルフディルがその盾に向かって炎を放ってきた。

しかし炎は盾によって完全に防がれこちらに届くことはない。

その様子にトルフディルは満足したような笑みを浮かべる。

そして他の同期たちも次々と魔力の盾を成功させていった。

 

 

最初の授業が終わり、トルフディルは次の授業として

大学の興味深い活動の一環として遺跡の発掘現場を見学せよと

サールザルの遺跡へ向かうように指示をした。

俺の大学生活はまだ始まったばかりだが、今のところ驚くほど順調に思えた。

 

【続く】