四十の一部始終

今年で四十歳になりました。一日一回更新が目標。

スカイリム日記15『狼を呼びし者(前編)』

 

夢のようなスカイリム横断の旅を終え、俺は本来の目的であったソリチュードの散策を楽しんでいた。堅牢な城壁が囲う要塞の中は、店舗が充実しているだけではなく吟遊詩人の大学なども存在し、スカイリムの首都として相応しい文化の中心地であった。

 

帝国が駐屯しているドール城にも立ち寄った。ソリチュードにある二つの城のうちの一つを、帝国軍が間借りしている形になっているのがドール城だ。帝国兵が忙しなく出入りしているが、常に兵士を募集しているだけあって、無関係な旅人が足を踏み入れても声を掛けられることすらない開かれた場所である。兵士に志願する場合はリッケ特使に話をしろと事前に言われていたのだが、そこに一緒にいたテュリウス将軍という人物の顔を見て、かつての記憶が蘇ってきた。

 

 

あの男は……そう、スカイリムにやってきて間もない頃、ヘルゲンで処刑の手続きを行っていた人物だ! はっきり言って、いい思い出ではない。もしやこちらを覚えているとは思えないが、顔を合わせるのも気まずいのでこっそり部屋に入ってみたはいいものの、先にテュリウス将軍がこちらの存在に気付いた。

 

 

なんとテュリウス将軍は囚人として処刑執行寸前であった俺のことを覚えており、ヘルゲンにおけるドラゴンの襲撃から生き残ったことに驚いたようだ。そしてあのときのことは誤解に基づいたものであったと頭を下げる。帝国の将軍ともあろうものが、一介の旅人に対して頭を下げるなどとは思いもしなかった。

 

あのときハドバルに救われ共に脱出したことを報せると、ハドバルの生存について将軍は大層喜んだ。こうして話していると、ハドバルが尊敬して止まない人物だと言っていたのも分かる気がする。あれだけのことがあったのに、いつの間にかテュリウス将軍に対して自然と好感を抱いていた。

 

 

そして本命のリッケ特使に志願兵になりに来たと伝えると、そのために特別な試験が課されることになった。これから帝国軍が使うつもりのフラーグスタート砦に巣食う山賊を一掃してくるというものだったが、ただ兵隊になるだけにしては重すぎる任務のように思えてならなかった。

 

逡巡している俺を見たリッケ特使は、早く行ってこいと横柄な態度であしらう。ハドバルやテュリウス将軍には悪いが、帝国軍に志願するのは考えものだなと思わせるには十分だった。わざわざ兵士として立身出世の道を夢見なくても、従士としてやっていく道もあるわけだし、スカイリムの勢力図はいまだ均衡を保っているのにどちらかに肩入れするのは早計だ。まあ暇だったら…行ってやらんこともないが。

 

 

次にソリチュードの首長エリシフのいるブルーパレスへとやってきた。もちろん首長に一度謁見し、その後の仕事がしやすくなるように顔を売っておくためだ。首長直々に依頼を受け、あわよくば従士になれれば今後の活動の幅が広がるだろう。

 

住民の話を聞く分には上級王トリグの死後、若くして後を継いだ妻のエリシフは穏健派の人物で知られていた。というよりは政治に関わるには若すぎたし、何も知らなさすぎたのだろう。側近の傀儡になっているともっぱらの噂である。そして玉座に座るその女は思った以上に頼りなく見えた。

 

しかしそこには先客がいた。ドラゴンブリッジという集落から請願にやってきた村人が、近くの洞窟で起こっている異変について深刻そうに訴えているが、エリシフとその側近ともども非常に楽観的であった。

 

 

ようやく首長、通称”公平のエリシフ”にお目通り叶い挨拶を済ませると、先程の件を頼めないかと首長の執事であるファルク・ファイアビアードという男が言ってきた。こんな会ったばかりの旅人に頼むようなことか? そう思ったがこちらにとっては渡りに船である。何かあったら手柄になるし、何もなければそれでもいいじゃないかと。

 

その洞窟はウルフスカル洞窟と呼ばれ、大昔のソリチュードの支配者であった”狼の女王”ことポテマが、晩年死霊術の拠点として用いた場所である。ポテマと言えば伝説的な存在で毀誉褒貶の激しい人物として大陸全土で知られているほどだ。しかしそれも500年は前の話。今もその死霊術で操られたドラウグルが徘徊しているなどということは考えられなかった。俺はその依頼を請け負うことにした。

 

 

目的地のウルフスカル洞窟は西の山中にある。その道中、俺はサングインのバラの能力を確かめるため、遭遇した山賊相手に使ってみることにした。すると金属の装備に身を包み巨大な剣を振るう大男が呼び出された。いや違う、これはデイドラに仕える悪魔の戦士、ドレモラだ!

 

ドレモラの圧倒的な力によって山賊たちは瞬く間に斬り伏せられて全滅した。杖による魔力で呪縛されているのでこちらに手出ししてくることはないはずだが、その戦いと血に飢えた恐るべき姿を見た後では、さすがに肝が冷える思いだ。だがこの杖の力は切り札として使えるぞ! 俺はサングインに感謝しながら、雪山を登っていった。

 

 

【続く】