四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

スカイリム日記22『栄誉の証明(前編)』

 

吸血鬼を治した後、俺はまたホワイトランに戻ってきていた。家を買ったことをどこからか嗅ぎつけたのか手紙が二通届いていた。差し出し人はドーンスターの聞き覚えのない館主と、ソリチュードのファルク・ファイアビアードから。内容は、なになに……博物館ができた。それと、ブルーパレスに来てくれ……か。どちらも興味がないわけではないが、今は他にやることがあるので後回しにさせてもらうことにする。

 

 

今はとにかく鍛冶と錬金術と付呪の技術を高めたいという欲求があった。なぜこの三つの技術に拘るのか、それは実際に手を出してみるまで分からないことがあったからだ。

 

鍛冶は武器防具を鋳造したり、改良したりする技術というのは言うまでもないのだが、錬金術には付呪や鍛造する際に集中力を高める薬というものがある。そして付呪にも錬金術や鍛造をする際に精度を上げる魔法を装身具に宿らせることができるのだ。つまり鍛冶と錬金術と付呪をまんべんなく鍛錬することでより相乗効果を得られる!

 

付呪は案外コツを掴むのが楽だったし、錬金術の材料はその辺の草花でもよかったのでいくらでも練習することができた。あらゆる組み合わせと試すうち、小麦と巨人のつま先との組み合わせで高価で買い取ってもらえる薬を作り出せたのは収穫だった。しかし鍛冶はなかなか難しいうえに鉱石やインゴットなどの材料費が高く、練習することさえままならない。さてどうしたものか。

 

 

悩んだ末に、このホワイトランにはスカイリム最高の鍛冶師と呼ばれる男がいることを思い出したのだ。その名はエオルンド・グレイ・メーン。スカイフォージと呼ばれる特殊な鍛冶場を任されている老齢の男である。この男に師事すれば、きっと俺の鍛冶技術も飛躍するに違いない。

 

エオルンド・グレイメーンとは以前に面識があった。だいぶ前の話になるが、ホワイトランに来て間もない頃、この要塞の一角にあるジョルバスクルと呼ばれる建物に迷い込んだ。そこはスカイリムでも有数の傭兵団である”同胞団”の拠点にほかならなかったのである。

 

かつては入団にも厳しい基準が課せられていたようなのだが、今は人手不足なのか来るもの拒まずといった感じで、あれよあれよという間に同胞団に入ることになってしまったのだ。ちなみに入団試験は団員との殴り合いである。それに合格した際におつかいを頼まれてエオルンドのところへ行ったのが初めての出会いであった。

 

 

そんなわけでエオルンドに鍛冶の技術を教えて欲しいと頼みにいったのだが、意外にも簡単に了承を得られた。達人の例に漏れず頑固爺という印象だったのだが、単に話し下手なだけだと言う。そう思うと少しだが好感を抱いた。

 

さすがにタダというわけにはいかなかったのだが、エオルンドの匠の技を見られるなら安いものだろう。だが基礎的なものはともかくとして、奥義については要求金額が跳ね上がり、とてもじゃないが払い続けられない。それ以上は自分でなんとかしろということかもしれない。

 





だがそのおかげでエルフやドワーフ、オークの武器防具の鋳造の仕方やより良質なものへの鍛え直し方などを学ぶことができた。この中でもエルフの武器防具は非常に軽いうえにそれなりに強度を誇る。今まで所持品の重さに悩まされていた俺にとってはまさに願ったり叶ったりである。俺はこの装備を鍛え上げることを目標に定めて、練習を開始した。その矢先の出来事だった。

 

 

同胞団のスコールに呼ばれているという話を聞きつけた。俺がほとんど仕事を請け負っていない幽霊団員だからだろうか? ホワイトランは暮らしやすい場所だがこういうしがらみは少々面倒くさい。しかし俺もこの街に家を持っている以上手紙のように無視することもできないのも事実である。仕方なくジョルバスクルに赴いた。

 

スコールには俺がドラゴンボーンと呼ばれていることや各地で幾つかの事件を解決していることなどはとっくにバレていた。そういうわけで同胞団としてはより深く取り込んで影響力を高めたいというのが本音なのだろうか。

 

ダストマンの石塚と呼ばれる迷宮に、ウースラドの破片があるという話が舞い込んできたという。それを確認してくるのが俺の仕事だ。ただし今回は同胞団の指導者の一人ファルカスが監督役で付くという。

 

ウースラドとはこの同胞団の創設者であり古代ノルドの英雄イスグラモルが使っていたほとんど伝説のような戦斧のことなのだが、今はバラバラに砕かれ散逸している。それを探すのも現在の同胞団の目的のひとつになっている。

 

 

簡単な仕事だとスコールが言うわりには、ファルカスが俺を見る眼差しには厳しさを感じる。何か裏がなければいいのだが……。

 

【続く】