四十の一部始終

今年で四十歳になりました。一日一回更新が目標。

『スーパー30 アーナンド先生の教室』鑑賞。

インド映画は『きっと、うまくいく』と『バーフバリ』しか見たことがなかったのだが、そのせいで歌と踊りと上映時間の長さというのが個人的なインド映画のイメージである。『スーパー30 アーナンド先生の教室』も御多分に漏れず上映時間が長く、映像ではINTERMISSIONとテロップが出ているのに、日本の映画館では休憩を入れてくれないので注意が必要だ。

 

主人公のアーナンド・クマールは数学の才能を認められ、ケンブリッジ大学への入学が認められるほどだったのだが、入学金が払えず日銭を稼ぐ仕事に甘んじていた所を拾われ予備校の講師となる。アーナンドは講師として人気を博し、予備校の業績は鰻登りになったが教育の機会すら与えられない人間の存在に気付き、予備校を辞めてそれまでの稼ぎを使って無料私塾の開設を試みる、というお話。

 

インド最高峰の理系大学、インド工科大学(IIT)に入学するための生徒を育成する塾を運営するアーナンド・クマールという男の物語……というと、インド版ドラゴン桜のようなイメージをつい持ってしまうが、実際はより切実である。なにせ階級社会(カースト制度)と格差社会との戦いでもあるのだ。

 

王の子供が王になるのではない、王になるのは能力のある者だ! というのはこの作品で再三にわたって繰り返されるスローガンなのだが、お金が無くてそもそも教育の機会がなかったり、金持ちと同じ空間にいるだけで感じるほどの、階級社会によって生まれた劣等感をいかに克服するのかというが話の上での重要なテーマとなっている。

 

無料塾ということもありとにかく金策に困っているシーンが多い。そのせいで自分が元いた予備校の経営者との間にトラブルが起こるのだが、それが最終的に殺し屋まで雇ってくるまでにエスカレートしていく。インド映画の名作『きっとうまくいく』でもあったように、身につけた知識はこう使え! それこそが学問! と言わんばかりのシーンがあるのがこの映画の良いところでもあるのだが、それが最終的にリアルファイトに用いられるのが実にエンターテイメントである。

 

インド映画らしく歌と踊りのシーンもそれなりにある。特に序盤の予備校講師として成功しお金に困らなくなったときに流れる歌と、塾の生徒たちに勉強を教えているときに流れる歌の歌詞が最高に身も蓋もなく気分が高揚してくる。見ているこちらも思わず自分も何か勉強しないと…とその気になってしまいそうだ。

 

ただ主人公のアーナンドが勝手に予備校の講師を辞めて私塾を始めたり、勝負の結果を嘘ついて反故にしたりと、恩人に対してあまり筋を通しているように見えないので、日本人目線では微妙にアーナンドに共感できない部分がある。トラブルが起こったのもお金よりそういうところが原因でもあるし、インド人的にはオッケーなのだろうかこれは? わからない、文化が違う。