四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『ボイリング・ポイント/沸騰』鑑賞。

37分ワンカット映画、という体裁の作品だった『カメラを止めるな』

そのリメイク作品と上映時期が被るとは、偶然にしては出来すぎている。

それが今回の約90分のワンカット映画『ボイリング・ポイント/沸騰』

 

クリスマスのロンドン、その片隅にある結構繁盛しているレストラン。

そこの従業員は各々問題を抱えていて、トラブルの種は枚挙に暇がない。

予約は一晩に100件。それ以外にも想定外の客が次々に訪れる。

絶対に何かが起こる。開店前にあるミーティングの

僅かなやりとりだけで、観客はそれを確信する。

店がオープンし、従業員の一人ひとりをひたすらにカメラが追いかけていく。

いつか訪れる破綻のときを待ちながら…。

 

この作品は何と言っても、ミスが許されないワンカットという映像のドキドキ感と

このレストランにいつ致命的なエラーが訪れるのかというハラハラ感の二重奏。

序盤で分かる、この店はヤバいぞと感じさせる要素の出し方が秀逸。

おかげで残りの80分に渡って緊張感と付き合い続けていくことになる。

普通の映画だったら多少は箸休めのシーンがいくつかあるものだが

ここの映画では何でもないようなシーンでも緊張感が続く。

だから観た後非常に疲れた…。

 

その分ストーリーはそれほど凝ったものではなく、あまり印象には残らなかった。

それぞれ抱える事情を小出しにしながら、次々に店に訪れるトラブルが見どころで

観客はいつ脱線するか分からないジェットコースターに乗せられているようなもの。

そのスリルを楽しむ映画なんだろうと思う。

しかし、まぁそうなるよねと思いながらも、最後の瞬間は切なかった。

 

考え抜かれた導線と、休む暇もないカメラマンの苦労には感嘆せざるをえない。

そんな映画だった。