四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『コンジアム』鑑賞。

昔『とんねるずのみなさんのおかげです』でやっていた宜保タカ子の心霊体験バスツアーが大好きだった。当然霊なんて出るはずもなく、怪奇現象っぽいことが起きてもヤラセなのだが、真っ暗な心霊スポットのハラハラ感と、もしかしたら何か出るかもというドキドキ感が絶妙で録画したビデオを何回も繰り返し観たのを覚えている。

 

『コンジアム』も心霊スポットへ向かった若者たちが、ユーチューバーとして生配信をするという体の映画だ。ファウンド・フッテージ形式も、今なら配信という建前があるので違和感を感じにくくなっている。若者たちが集まって、はしゃぎながら現地に向かい、ちょっと神妙になりながら今回の心霊スポットである精神病院の跡地へ……というプロローグも後々の恐怖の前フリだ。我慢しよう。そんな連中が恐怖のどん底に落ちるのは、最高のエンターテイメントだ。昔はTV番組としてやっていた無茶苦茶も、今では配信の再生数稼ぎという形で無理なく説明できるし、観ている方にとっても配信映像により安全でありつつ臨場感もある。便利な世の中になったものだ。

 

この作品の特徴としては撮影機材が豊富でそれぞれが恐怖を引き立たせる小道具になっているということ。GoProみたいなアクションカメラやハンディカム、カメラ付きのドローンやPCのウェブカメラに定点観測用の動体検知カメラなど、多数取り揃えていて動画撮影のシチュエーションに無理がないところがいい。『ブレアウィッチ・プロジェクト』なんかで印象的な顔面ドアップの自撮りなんか実際は違和感しかないが、この作品では合理的な都合がちゃんとあり、ホラー映画のお約束だから気にしないで! で済ませないですんなりと納得して受け入れられるところが個人的には好きだったりする。

 

長い前フリがあってところどころで小さな怪現象が起こりつつ、終盤で怒涛の恐怖展開になるというのは実に王道のホラー映画だが、様々な機材を用いた演出でちゃんと怖がらせてくれて楽しめた。低予算なのには違いなく、ストーリーなんか無きに等しいくらい薄いものの、廃病院で何があったのかとか、霊の正体は何なのかとか、余計なことは一切せず得体の知れない怪奇現象なままなのもいい感じ。怖さを引き立てるならそれが一番良い。これまで見ていたPCの画面が実はウソだったというオチも余韻が残る。本気でこちらを怖がらせようとしているいいホラー映画だ。