四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

あの日から三年。

お昼のニュースを見ると、京都での火災の映像が流れている。大惨事だ。

こりゃ大変だなと思い昼食を食べながらなんとなく眺めていると

そこが見知った場所であったのを理解し、スッと血の気が引いていく。

そのときの衝撃は、多分死ぬまで忘れることはない。

 

京都アニメーション放火殺人事件、と今では呼ばれている。

赤の他人の死にあそこまで傷付いたのは初めてのことだった。

二週間くらいはやる気も出ず、食欲も湧かず、落ち込んでいた。

2019年の春にたまたま『響け!ユーフォニアム』を見てしまい

ちょうど京アニにどっぷり嵌っていた頃だったのだから。

 

京都アニメーションの名前は有名だったが、2019年までは個人的な関わりは薄く

涼宮ハルヒの憂鬱』や『らきすた』を少し見たことがある程度に過ぎなかった。

『劇場版響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』の公開から1ヶ月強過ぎ

続編の計画が進行中であると発表されたのが2019年の6月のこと。

凝り性だった自分はブルーレイや副読本などを購入し

作品や制作スタッフの知識を貪欲に吸収していた。

当時の自分は浮かれに浮かれていた。

 

あの事件はそれからたった一ヶ月と少し後の出来事だった。

天国から地獄に突き落とされたような気分だった。

最初の鬱状態から復帰した後は、寄付金や公式ショップでのグッズ購入

作品の啓蒙活動をするとともに、自分も配信されている全ての京アニ作品を視聴した。

男性向け女性向け問わず。

そうすることで事件の衝撃から気を紛らわせることができた。

 

はっきり言ってその犯人がどうだとかいう話をするつもりはない。

どんな辛い境遇であろうと、行動に移したらもう同情の余地はないし

犯人に憎悪をぶつけるのも時間の無駄だ。粛々と司法の裁きを待つ。

故人を偲んで、ただ祈るのみ。

 

あれから三年経った。

世間の反応を見ると、だんだん記憶から記録の出来事へと変わりつつあるのを感じる。

京アニ自身も組織の再建が進みつつあるようだが、現在は寡作傾向にあり影が薄い。

作品のクオリティで追随するアニメスタジオもいくつか現れてきて

技術的にも業界のトップランナーとは必ずしも言えなくなってきている。

無理もない、あんな事件があった後では。

 

だが『響け!ユーフォニアム』アニメの企画は再び動き出し

来年には中編アニメが公開、再来年にはTVシリーズが始まるという。

あの作品のクオリティを出せる段階まで戻ってきたと、信じていいのだろうか?

もっと時間がかかると思っていたが、あと最低二年は生きる理由ができた。

俺も頑張らなければ。

 

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会