四十の一部始終

ゆるやかに再起動。

『Do It Your Self!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』聖地巡礼(前編) 新潟・燕三条

2月18日土曜日。アニメ『Do It Your Self!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』の舞台となった新潟県三条市にある、一ノ木戸商店街で開催中の色紙が貰えるスタンプラリーと、その聖地巡礼を兼ねて一泊の旅行に行くことにした。旅行に行くのは新型コロナ流行の直前、2019年の11月に京都に行って以来である。

 

 

 

アニメに登場する『カネギフルーツ』のフルーツサンドの競争率が激しいらしく、お昼頃に行くともう完売しているという情報を事前に聞きつけ、こちらもそれに対抗するべく上越新幹線の一番早い便で上野から燕三条へと向かった。しかしここで想定外の事態が起こる。自由席の乗車率が150%はあろうかという大混雑。燕三条までの約二時間の間立ち乗りか~と朝イチから若干テンションが下がる。そう、今の時期旅行客は少ないはずという認識だったのだが、スキー客は例外だったのである。210円程度の差なら始発の東京駅から乗り込むべきだったと後悔した。

 

一時間ほどで越後湯沢を過ぎるとようやく乗客が一気にいなくなり、そこからやっと席に座って外の雪景色を見られるようになった。冬の新潟ということで、厳しい寒さと積雪を想定していつもより厚着し、スノーブーツを履いて恐れるものは何もない……はずだった。

 


燕三条に到着し新幹線を降りるとひんやりとした空気が身体を包む。寒いと言えば寒いが、関東の寒い日と同じくらい。ホームから下の階へ行くと金属製のデカいナイフとフォークのモニュメントが駅構内にあり、モノ作りの街・燕三条をアピールしている。その近くにはDIYの看板が。三条市は歓迎ムードだと聞いていたがここまでとは思わなかった。新幹線で下がったテンションが少し戻ってくる。

 

 

このとき8時をちょっと回ったくらい。荷物をコインロッカーに放り込み、燕三条駅からそのまま繋がっている弥彦線に乗って北三条駅へ向かおうとしたのだが、線路を見て察した。単線である。時刻表を見ると次の電車まで一時間。関東の感覚で考えるとさすがに厳しい。待っているのは時間の無駄感が否めなかったのでタクシーを使う。現在日の丸タクシーというところがDIYのラッピングタクシーをやっており、ちょっとは期待したのだが駅前にそういったタクシーは見当たらなかった。たったの三台しかないらしいので当然といえば当然なのだが……。

 

 

北三条駅まで1500円かかった。タクシーの運ちゃんによると三条のあたりは元々雪がそれほど積もる場所ではないらしい。天気のおかげか雪かきでところどころに集められた塊以外の雪はまるで見当たらない。どうもちょっと重装備をしすぎたようだと理解し始める。北三条駅はアニメのすてっぷ⑥で登場した。後で分かったが駅のホームもアニメにそっくりである。写真が残っていないのが残念でならないが、それは撮影資料として用意したアニメのキャプ画像をスマホに入れたつもりが入っていなかったからである。よって記憶を頼りに撮影しなければならなかった。

 

アニメでも描写されていたが、道路がどこも赤茶けている。地面に埋設された消雪パイプのサビが水とともに吹き出し、道路に付着した結果らしいのだが、そのあまりに赤茶一色の道路に最初はちょっとギョッとする。駅からちょっと歩くと、ステージえんがわと図書館などを含む複合施設のまちやま、大きな駐車場のある広いスペースがあるのだが、まだ朝早いこともあって閑散としている。ステージえんがわはアニメでもDIY部が三条スパイス研究所というカレー専門店を目当てに何度か訪れていて、すてっぷ⑦⑧⑩に登場した。状況次第ではここを昼食の場所にするつもりだった。

 


公式の地図を頼りに歩いて一ノ木戸商店街へと向かう。実際に歩いてみると寺社仏閣の多い土地だ。アニメにも出てきた工具絵柄のマンホールも途中幾つもあった。全部がこれというわけではなく何個かに一つがこの絵柄になっている。そうしてお寺や飲み屋街の間を抜け、15分ほど歩くと見たことのある風景が近づいてきた。

 


一ノ木戸商店街のすぐ手前、燕三条トライク前。すてっぷ①②でせるふたちの下校ルートとして登場した。実際に来てみると、せるふたちの下校ルートの描写って毎回バラバラだったんだなと思う。この少し先にある”かどいち”ビルからトライク方向に来る場合と、トライクの前の横断歩道を渡ってせるふとたくみんが分かれる場合と、トライク前の横断歩道を渡ってTreeの前を横切るルートと三種類もある。彼女たちは一体どこへ向かっていたのだろう。まあ女子高生が学校帰りに寄り道していつもと違う道を歩くなんて珍しくないから、ここは色々あったんだと妄想するべきなのだろうな。

 

 

燕三条トライク前から少し移動すると、なんだかDIYアニメの象徴的な風景として扱われている気がする”かどいち”ビルがお出迎えし、商店街に入っていくことになる。朝だからというのもあると思うが、シャッターの降りた店舗が目立つちょっと寂しい商店街だ。現在9時30頃。カネギフルーツもそろそろ開店の時間だ。

 

スタンプラリーの台紙を星野園というお茶屋さんで貰う。こちらが県外から来た人間だというのは一発で分かったらしい。中には大阪とかから来る客もいるそうだ。スタンプラリーのおかげで近年類を見ないほど人が訪れているらしく、聖地巡礼の客への対応も既に慣れたものだった。お土産としてお茶葉を買って店を出る。

 


次はカネギフルーツへ。アニメではすてっぷ⑧で実際にお店が登場して以降、すてっぷ⑩⑪⑫と終盤にかけてDIY部が何度もフルーツサンドを食べているシーンが描かれている。普段フルーツサンドって食事としてのコスパが悪いよね、みたいなことを考えているのだが、そんなもんを見せられたら一回は食べたくなるというものだ。開店したばかりで準備に忙しいところを突撃していく。店員さんも自分のそんな姿を見て、聖地巡礼の客だと察したようだった。アニメ放映後はきっと同じような客が多いんだろう。

 

店内の一角に整然と並べられているフルーツサンド。店員さんも作業をしながらこれは誰が食べたやつ、これはあの子が、と聞いてもいないのにいちいち説明してくれる。大丈夫、こっちも分かってますよ!と言いたくなるのを抑えてウンウンと頷いていた。マンゴー・オレンジ・イチゴにメロン、パイナップルにバナナなんかの定番どころの他に、サツマイモなんていう変わり種のフルーツサンドも(フルーツか?)。どれもこれも生クリームたっぷりで美味しそうだ。アニメにも登場していたシャインマスカット入りのものは数ヶ月入荷していないらしく、置いていなかった。それがあったらアニメに出てきたラインナップを購入して再現したかったのだが、叶わぬ夢となった。

 

結局フルーツサンドはマンゴー、イチゴ、メロンを購入。アニメに出てきたものと同じビニール袋に入れてもらう。本当は袋は何種類かあるそうなのだが、アニメスタッフが取材に来たときフルーツサンドを2~3個買っていき、一番サイズの小さい赤い文字の袋に入れたのでアニメに出てきたのも赤い文字の袋になったということらしい。無事にフルーツサンドを買えたことを喜びつつ、他の店が開くまでの間時間を潰そうと商店街の裏手にある五十嵐川の方へ向かった。(続く)