四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『シン・仮面ライダー』鑑賞。

エヴァQでひどく落胆し、その後予告を見てつまらなそうだと感じた『シン・ゴジラ』は、どうなるかは自分の目で見て確かめる!と初日に観に行ったのだが、結局は個人的にも世間的にも大ヒット作品となった。続けて『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』と公開され、それなりの満足感を得つつも『シン・ゴジラ』のときの熱量には届かない……。そんな思いを抱いていたところに満を持して公開された『シン・仮面ライダー』、今回も自分の目で確かめてきた。

 

本郷猛(池松壮亮)は改造人間である。緑川ルリ子(浜辺美波)を伴いクモオーグと呼ばれる謎の怪人による追跡からの逃走中、ルリ子が敵戦闘員に捕まってしまう。だがそのとき本郷はバッタオーグに変身し敵を蹴散らす。そして山中のセーフハウスに二人が訪れると、本郷を改造した張本人であるルリ子の父・緑川弘(塚本晋也)が姿を現した。弘は本郷にその力を正しいことに使って欲しいと諭すが、追跡してきたクモオーグによって殺され、ルリ子も連れ去られてしまう。本郷はバッタオーグ専用バイク・サイクロン号に乗り込みクモオーグに接近、自らを仮面ライダーと名乗り激しい戦いの末にクモオーグを撃破する。戦闘後本郷とルリ子は予備のセーフハウスに向かうが、そこには政府機関に所属する二人の男(竹野内豊斎藤工)が待ち構えており、秘密組織SHOCKERの排除のために協力してほしいと持ちかけてくるのだった。

 

シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と同じく、今回も初代の原点回帰的作品である。見ていて感じるナニコレ?的な要素はだいたい原典がそうだったからというのも一緒だが、仮面ライダーの生みの親である石ノ森章太郎作品からの引用もしばしば見られた。そこには筋書きとしての面白さとかはあまり関係なく、やりたいからやるのが庵野秀明流である。だから出来ることなら原典の知識はあったほうが楽しめると思う。ゴジラもウルトラもその傾向はあったのだが、ライダーは特にその傾向が強い。非常に趣味性の強い作品だ。

 

劇中で本郷猛が足を折られるのは、実際に初代の本郷猛役だった藤岡弘が撮影中の事故で骨折し、撮影に参加できなくなったので一文字隼人にバトンタッチした、みたいな楽屋裏の再現だし。出てくる人工知能搭載ロボットがどう見てもロボット刑事Kだったり、竹野内豊斎藤工の二人が自分の名前を明かしてようやくあんたらがその役だったんかい!って気付いたりできれば面白いかも。少年ライダー隊は出てこなくてよかった……。

 

全体としてストーリーは暗め。そして初っ端からおびただしい流血シーンがある程度にはエグみが強い。それに加えて庵野秀明作品でよくある専門用語の羅列による説明が被さってきて、ちょっとうんざりした。改造人間として得た強すぎる力とその心根の優しさの間での苦悩。人類の幸福を求めるSHOCKERと人間社会のディストピア感など、石ノ森章太郎テイストが強くカタルシスに欠けるところはあるのだが、根暗な本郷猛の性格にも雰囲気がだいぶ引っ張られている。スポーツ万能、頭脳明晰だが口数が少ないコミュ障で、使命感の強い非常にシリアスな男である。そしていつも震えている。それだけにほとんど真逆の性格をしている仮面ライダー第二号こと一文字隼人(柄本祐)が登場してからは、そちらがかなり引っ張ってくれるので純粋に熱さが勝ってくる。でも出てくるのがだいぶ後の方になってからなので、そこは勿体ないと思う。ダブルライダーの関係は本当に熱くて良かった。バイクアクションもかなり見応えがある。

 

まあしかしながら今回もシンゴジには届かなかったと思わざるをえないのだが、これは自分がシンゴジが好きすぎるせいだからしょうがないのだろうか。それにライダーは明らかにゴジラやウルトラより金がかかってない作りだ。俳優の正面ドアップシーンが多いし、CGはあんまり馴染んでないし、編集で強引に形にした感じがするくらい短いカットの連続で、これまで以上に見づらい。セリフも聞き取りづらい。ショッカーライダー戦は暗すぎる……。正直悪いところをあげればきりがない。シンゴジだっていま見たらセリフの早口やばいし。だが一文字のキャラはかなり好きになったので、もし続編で主人公になるなら見てみたいとは思う。

 

特典の仮面ライダーカードを開封したらなんかキラキラしてる! どうやらこれは限定のレアカードらしい……やったぁ! シン・仮面ライダー最高!