四十の一部始終

ゆるやかに再起動。

『ロマンシング・サガ2 リベンジオブザセブン』体験版を遊ぶ。

『ロマンシング・サガ2』とは1993年にスーパーファミコン用ソフトとして発売されたゲームである。前作ロマンシング・サガからハードな難易度を継承しつつシステムは大幅に変更。バレンヌ帝国の皇帝となって世界を支配下に入れつつ戦いを繰り広げる。もちろん皇帝なので自分の国を発展させるために施設を作ったり、戦闘を有利にするために武器と防具を開発したりすることもできるし、攻略する地域を自分で自由に選んだり、戦闘で全滅しても別のキャラクターに能力を継承させて新たな皇帝にしてゲームを続行できたり、戦闘中に新しい技を閃めいて戦局を打開したりなど当時としては斬新なシステムを多数引っ提げた非常にユニークなRPGだった。

 

そして何より皇帝に立ちはだかる敵が30年かけてもはやネットミームと化した感のあるその名も『七英雄』。かつて伝説として語られた世界の救世主が、今度は人類を脅かす異形の敵として再び姿を現し世界を荒らし回るのだ。その七英雄の脅威から人々を救うのもゲームの目的のひとつ。七英雄それぞれの強さもかなりのものなのだが、ラスボスの無法な強さは今でも語り草になっているほどで、ロマサガ2の歯ごたえのある難易度を象徴するような存在になっている。

 

そんなSFC版から追加要素を足した携帯アプリ版をベースにしたリマスター版が既に存在していたのだが、なんと今回フル3Dのリメイク版『リベンジオブザセブン』が2024年10月24日に発売されることになった。小学生の頃から遊んでいることもあって何回もクリアしている非常に愛着のあるゲーム。リメイクの話を聞いたときは正直半信半疑だったのだが、発売一ヶ月前に体験版が出ると思ったより評判が良い。じゃあちょっと自分もやってみようかなということになったのである。

 

去年まで遊んでいたロマンシング・サガ1のリメイク作品『ロマンシング・サガ ミンストレルソング・リマスター』についての話はこちらで。

 

 

せっかくなのでリマスター版と比較しつつ見ていこう(上:リメイク 下:リマスター)。今回のリメイク版は3DになっただけではなくキャラクターボイスやアレンジBGM(原作版も選べる)の追加、難易度変更や戦闘システムにも結構な変更が加えられている。特に女性キャラは当時のドット絵からは想像できなかったセクシーな感じのキャラばかりで凄い。リメイク版を開発しているのはどうやらあの聖剣伝説3をリメイクしたところと同じらしい。なるほど……。

 

物語はとある酒場で子供に頼まれた吟遊詩人がアバロン帝国の長きに渡る戦いの歴史にまつわる詩を歌うところから始まる。プレイヤーはそのアバロン帝国の代々の皇帝として戦っていくことになるのだが、まるで自分が叙事詩の登場人物にでもなったかのようで好きな演出だ。ときに帝国暦1000年。近隣の住人を苦しめるモンスターの住処(のちに封印の地と呼ばれる)にやってきた皇帝レオンとその息子ジェラール。リメイクではチュートリアル要素が強くなっていて最初から5人PTというわけではなくたった二人の状態から始まり、二回ほどモンスターと戦ったのちに仲間である帝国の兵士たちと合流することになる。原作ではモンスターと戦わなくても即引き返せばこのオープニングイベントを終わらせることもできたのだが、さすがに今だとそういう自由すぎるゲームは不親切だと思われそうだ……。

 

 

この最初の二人から始まるところが意外と曲者で、難易度によっては最初の戦闘でいきなりジェラールがやられることもあり得る。今回は原作に近いらしい”オリジナル”(一番上の難易度で下にあと二段階ある)で始めたのだが、確かに戦闘の厳しさは健在のようだった。戦闘システムは原作からわりとガッツリと変わっており、コマンド入力のターン制バトルから行動の順番が可視化されつつコマンド入力即行動のタイムラインバトルへと変わっている。敵の弱点もはっきりと設定され弱点を突くとダメージが増加、以後有効な攻撃が表示されるようになる。コマンドの横には閃く可能性があるかどうかの電球マークが表示されるようになったのでこれは助かる。攻略情報なしでは無意味に素振りしたり派生技をあてずっぽうで推理しなければならなかったので。あと技と術の使用ポイントが分かれていたのが今回はBPとして一元化された。細かいことを言うとライトボールの消費が3に増えたので、これまでとりあえずで撃っておく感じだったのがあまり気軽には使えなくなった。とりあえず思いつくのはこんなところか。

 

洞窟内で部下の帝国兵と合流し5人PTとなる。するとロマサガ2を代表する陣形『インペリアルクロス』についての説明が入る。ロマサガ2には様々な効果の陣形があり、新しいクラスが帝国に加入するたびに新しい陣形が手に入る仕様になっている。今回のリメイクではなんと固定だった皇帝の位置を変えることができるようになった。つまりこれは鳳天舞の陣の中心から皇帝を外したりできると考えていいのか…? なんだか色々と悪さが出来そうな気配だ。その後洞窟内のモンスターを一掃するとアバロンの街に帰ることになる。

 

 

バレンヌ帝国の首都アバロンに帰還し、その留守を預かっていたジェラールの兄・ヴィクトールと交代でレオンが玉座に着く。そこにオアイーブと名乗る魔道士がレオンを訪ねてやってくるのだが、その正体が分かるのはもう少しあとのことになる。肌の露出が妙に多いのでハニートラップ疑惑がかかるのはリメイク版ならではだと思う。この後は玉座の前でヴィクトールと別れてしばらく自由行動になるのだが、リメイク版ではまず城の中を探索しないと城下町に出られなくなった。

 

城の探索での帝国兵たちとの会話はSFCからほとんど変わっていないはずなのだが声がつくとだいぶ印象が違う。たぶん仲間にする人が少ないと思われる帝国猟兵男・ヘンリーがちょっとネタキャラっぽくなってて使ってもいいかなという気にさせられる。ファイアーボールを教えてくれる宮廷魔術師女・エメラルドは原作から好印象だったがリメイクでさらに可愛くなったと思う。これまで個人的に宮廷魔術師のどちらを使うかと言ったらファイアーボールのせいでジェラールと術が被ってしまうエメラルドよりは水風の術を持つアリエスを使っていだのだがこれはかなり迷う。かわいいは正義。一通り話した後入口で待っているフリーファイターの二人と話すとようやく外に出ることができる。

 

 

といっても街でやることも大して無いのだが、店の仕様変更にはかなり驚いた。このゲームは皇帝という立場なので自分の支配地の店には金を払わないで品物を買うことができたのだが、今回は普通に金を払うし在庫の数に限りがある! 今までがおかしかったと言われればその通りだが……。適当に街をぶらついて城に戻るわけだが、本来なら城の中にあるはずだった鍛冶職人がどこを探しても見当たらないので30分ほど歩き回ったが結局見つからなかった。気になってしょうがないので少し調べてみたが、この辺も仕様変更で帝国の設備としてあとで自分で建設することになるらしい。アイテム倉庫もなかったが、リメイク版はアイテムの持てる数が増えたおかげで必要なくなったということのようである。

 

城に戻るとレオンはオアイーブとの面会を終えていて、今度は東にある洞窟のモンスター・ウォッチマンの討伐に向かうことになった。城の守備をヴィクトールに任せ、ジェラールも同行することになる。強いリーダーの方が人がついてくるとはいえ、自らモンスター退治に行くんだからアグレッシブな皇帝だ。出発前に店で防具を買って装備を整えることにしたのだが、リメイク版では原作と違って防具は3つまでという縛りは無くなり、空いている部位にはすべて身につけることができるようになった。その代わり全身鎧でもアクセサリーはひとつまで。武器も一人二つまでで、体術も装備しないとパンチすら使えなくなった。傷薬などのアイテムは別枠として二つまで装備可能と、原作とは多少勝手が違う。アバロン防具屋には全員の防具欄を埋められるほどの在庫がないためちょっと防御力には不安が残ったままウォッチマンの巣へ。

 

 

最初の封印の地もそうだったが、ウオッチマンの巣の中はもう本当に別物で、3Dであることを活かした高低差のある洞窟に変貌を遂げている。SFC版からリマスターになった時点で洞窟の形がちょっと変わったなんてレベルではない。宝箱の中身もバスタードソードは無くなり石の槌という棍棒に。せっかくだから手の空いているベアにでも持たせておくか……。今回の戦闘は弱点を突くことにメリットがあるので、いろんな種類の武器や術を使わせたほうがいいかもしれない。最初の仲間である帝国軽装歩兵・ジェイムズは最初から槍も持っているし、帝国猟兵・テレーズに至っては水術の生命の水を持っているので最初から取れる手段は豊富にある。

 

肝心のボス・ウォッチマンは1体だけ、残りはお供のゲットー3体という編成になったがSFC版とはボスのタフネスが段違いだ。ここでリメイク版の新システム・連携が役に立つ。敵の弱点を突くとオーバードライブゲージが溜まっていき、満タンになると使いたいキャラのコマンドから連携を使うことができる。大ダメージはもちろんのこと、これでトドメを刺すと獲得する技術点が1.5倍になるという特典もあって積極的に狙っていきたいところだ。ちなみにウォッチマンの使う催眠、原作では命中率も高く全体攻撃ということもあってかなりの脅威だったが今回は命中率が低いのか誰にも当たらなかった。たまたまかもしれないが。

 

 

 

ウォッチマンを討伐してアバロンに戻るとそこは既にモンスターの襲撃を受けた後だった。倒れている瀕死のヴィクトールに話しかけると、クジンシーという七英雄の中の一人の名前を名乗った相手がモンスターを引き連れ破壊の限りを尽くしたのだという。ヴィクトールは剣技「流し切り」でクジンシーに痛手を与えたが、クジンシーの文字通りの必殺技・ソウルスティールによって生命力を吸い尽くされてしまい、間もなく息を引き取った。レオンはまだ街に滞在していた魔道士オアイーブを呼び出し、秘密の会談を行う。このあたりは声優の熱演もあってSFC版よりだいぶドラマチックに展開され、感情移入度が上がったと思う。でもソウルスティールを食らったあとLP0って表示されるのはちょっと…いやかなりシュール。

 

 

ヴィクトールの弔い合戦としてクジンシーのいる街・ソーモンへ出陣するレオン。全軍で攻めるとかじゃなくて精鋭部隊による暗殺なのが実にロマンシング・サガ。ソーモンの街は原作では特に何もないのですぐにクジンシーの館に行くのがセオリーだが、今回は町中にアイテムが転がってるので探索する意味がある。港町らしく船が停泊していたりして3Dになったことで色々と情報量が増している。リメイクはフィールドでジャンプすることもできるので、敵の待ち受ける道を避けて違うルートを探したりするのも新たな楽しみとなった。それにしてもジェラールの技能レベルが0から全然上がらないなと思ったら1→2より0→1の方がはるかに上がりにくいらしい。下手に浮気せずにファイアーボールだけ使ってたほうがいいのか? とにかく原作以上にジェラールが弱い。

 

クジンシーの館はかなり荒れ果てていてまるで幽霊屋敷のような佇まいだ。原作では普通の屋敷だったが骸骨やら幽霊やらゾンビやらが敵として徘徊していたことを思うと元からこんな感じだったのかもしれないと思えるいいアレンジ。宝箱のトラップであるミミックも健在で、今回は倒した後にちゃんと宝箱の中身が取れるので頑張って倒すだけの価値がある。原作では後で手に入るスウェットスーツやロブオーメンがこの時期に手に入るとは思わなかった。屋敷を一旦外に出て、地下に降りてまた上がって穴に落ちてショートカットを開通させて…といかにも3D要素を活かしたダンジョンを抜けた最奥に七英雄の一人であるクジンシーが待ち構える。

 


原作でのクジンシーとの戦いはイベントバトルみたいなものだったので、油断していたこともあってリメイク版では三回ほど全滅してしまった。難易度がオリジナルということもあるのかもしれないが今回のクジンシーは……かなり強い! SFC版では戦闘回数10回程度でもなんとかなったのに対して、40回ほど戦ってレオンのHPは100以上だったがそれでもなお苦戦する。新アクションとしてクジンシーのHPを半分ほど削ると剣に瘴気を込め始め、部位破壊をしないと攻撃が激しくなる。イルストームで全体を毒状態にしつつ自分が自然回復する地相に変化させてくるのでライトボールで打ち消したり、毒を傷薬で回復させたり、とにかく取れる手段を尽くした手抜きの許されない戦いになった。何度か挑戦してようやくクジンシーのHPを削り切るとソウルスティールによってレオンは倒れアバロンに退却することになる。

 

アバロンに撤退したレオンの命はもはや風前の燈火だったが、そこでジェラールに魔道士オアイーブに伝授された伝承法の話をする。自分と意志を同じくする者に記憶と経験を受け継がせる方法。レオンは帝国の敵となって立ちはだかるであろうクジンシーを打倒するため、自らの命をもってソウルスティールを見切ったのであった。そしてジェラールがレオンの遺志と技を受け継いで、次のバレンヌ帝国皇帝に即位する……というところで体験版はおしまい。

 

 

リメイクすると聞いたときはどうなることかと思ったが、実際に遊んでみると原作からセリフを削らずキャラクターも変えず、元の味を活かしつつもグラフィック面やバトルシステムが大きく変化をしたので、既プレイヤーでもかなり新鮮な気持ちで遊べるリメイクとなっていた。まあ前のがいいというならリマスター版をやる選択肢があるし。なによりボイスのおかげでストーリー面が大きく強化され、序盤のすぐに終わってしまうレオン編がだいぶ感情移入できるようになったのも大きなポイントだろう。今回の内容もSFC版では30分もあれば終わってしまうような内容だったのだがリメイク版は気がつけば3時間も掛かっていた。今のところはまったく面白さを損なっていない! 発売が楽しみだ。