四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『ドリーム・ホース』鑑賞。

ちょうどウマ娘熱が再燃してるときに競馬を題材にした映画が上映するというので、観に行ったのが『ドリーム・ホース』というイギリスの作品であった。この作品は実話ベースであり、ウェールズにある谷あいの村で夫と二人暮らしの生活をしている主婦のジャンと、2001年に誕生した競走馬”ドリーム・アライアンス”号の物語である。

 

ジャンはスーパーやバーのパートと、親の介護に明け暮れる生活を送っていた。かつては鳩レースに入賞したこともあったが、今では覇気の無い夫の相手をするだけの何も起こらない毎日が過ぎていく。だが会計士のハワードがかつて共同馬主だった頃の話をしているのを聞き、自分も馬主になるための勉強を始める。そしてなけなしの預金をはたいて300ポンドで繁殖牝馬を購入、村で馬主組合を作って一人週10ポンドを出し合い、種付けして産まれた仔馬の共同馬主となる。”ドリームアライアンス”と名付けられた馬は気性が荒く調教師に難色を示されるものの、素質は確かなものがあった。レースに出るたびに好走を重ね、競走馬として脚光を浴びるドリームアライアンス号。挫折を経ながらもついには重賞レース、ウェルシュグランドナシュナルへ挑戦することになる。

 

一口馬主という、いわゆるクラブ馬のシステムは日本にもあるが、劇中でもハワードが言っている通り共同馬主はまず儲からない。賭けるのはすなわち”胸の高鳴り”に対してだ。そして退屈な人生を変え、日々の生活を輝かせる何かを手に入れる。それはこの映画のように何も競走馬でなくても構わないのだが、この作品のテーマと手に汗握る勝負事の競馬というのは非常に親和性が高いものだった。

 

家の納屋を馬房に改造し、農園を走らせ馬を育てる。冷めきった夫婦の間にわずかだが熱が戻ってくる。レースになれば馬主組合総出で応援に出かけていき、結果に一喜一憂する。そしてドリームアライアンスの快進撃によって、寂れた街が活気を取り戻す。ストーリー展開は王道そのものだが、実話なんだから仕方がない。ドリームアライアンスが仔馬の頃から見ているせいで、レースの結果は分かりきっているのに気が付けば自分もまるで応援団の一員になったかのような気持ちで見守っていた。コロナや不況ですっかり辛気臭くなった世の中で、こういう夢のあるリアルな話もたまにはいいものだ。