四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』最終回。

先日アニメが最終回を迎えた。原作の連載当時からジャンプを読んでいた身としては、感無量としか言いようがない満足のいく最終回であった。原作では即折れだった真魔剛竜剣も少しだけ活躍が増えていたし。でもバランの驚き顔はそのまんまだったのはやはり笑ってしまったな……。再アニメ化の発表があったときは正直何かの冗談かと思ったくらいだった。東映への不正アクセスによって一ヶ月放送が延期になったときなんかはもう駄目だと思ったのだが、それでもなんとか最後までやり切ってくれた。

 

過去の名作とはいえ最初から最後まですべてをアニメにするというのは非常に困難が伴う。特定の長寿作品を除いて、一年間アニメをやるのは当たり前の時代ではなくなってしまった。過去の名作でかつ長編作品のアニメ化といえば、近年では藤田和日郎の『うしおととら(全34巻)』と『からくりサーカス(全43巻)』を思い出す。アニメでは『うしおととら』は39話、『からくりサーカス』に至っては36話で、まあどう足掻いても名場面集がせいぜいといった尺しか与えられなかった。それらと比べると、ダイ大の全100話というのがいかに恵まれていたかというのが分かる。

 

旧アニメ版は1991年から1992年の一年間にわたって全46話が放送されたが、TBSの編成の都合で番組延長ができなくなり、バランとの最初の戦いで最終回を迎えるという、当時としても受け入れがたいものであった。そのせいでいつかちゃんとした形で全編アニメ化してほしいという思いが燻り続けていたように思う。だが旧アニメ版も悪いところばかりではなく、ゲームのドラゴンクエストのアレンジBGMを使っていたため、それだけで十分引き込まれる力があったのは新アニメ版には無い大きな特徴だった。声優陣も錚々たる面子で、このときのイメージは強く脳裏に刷り込まれることになった。

 

新アニメ版はその26年後に始まった。アニメのキービジュアルが、最終回で台座に突き刺さるダイの剣だったので並々ならぬ制作陣の覚悟を感じたのだが、始まった当初は半信半疑と言わざるをえなかった。序盤は旧アニメで既に映像化された部分だったため結構な駆け足展開で、完結した今思うとかなり勿体なかったのだが、作っている方としても断腸の思いだったに違いない。それでも序盤の獣王クロコダイン戦などは非常に力の入ったバトルシーンで、今の技術だとこんな風になるんだなと感心と興奮が綯い交ぜになりながら視聴していた。

 

個人的に東映動画のアニメは低品質の代名詞というイメージだったのだがこのダイ大で考えを改めた。作画も高いレベルで安定していたし、要所要所で素晴らしい戦闘シーンも観ることができた。このアニメの不満といえばバラン戦の最後の一撃が、死んでいたポップが動いてやっと作れた隙なのに、ダイが空中をピュンピュン飛び回ってからアバンストラッシュするという変な感じになっていたことぐらいだろう。

 

思えば『ダイの大冒険』は自分が小学校一年生のときに始まり、終わったのが中学一年生のときである。そりゃもう少年時代の情操教育に多大なる影響を与えた……と言いたいところだが、当時はそこまで影響のある漫画ではなかったように記憶している。

 

今では黄金期と呼ばれている週刊少年ジャンプでは同時期にドラゴンボールSLAM DUNK幽遊白書など他に話題に上る漫画はいくらでもあった。しかしジャンプが一番売れていた時代にずっとやっていた漫画だったので知名度自体は高かった。明確に、不朽の名作として認識し始めたのはインターネットが普及し、作品について語り合うことが容易になってからだと思う。クロコダインが好きだったから、あんなにネタにされてるとは思わなかった……。

 

魔界編や獄炎の勇者の映像化が期待されているらしいが、ここまで来たらもののついでで何でもやってほしい。少年の日の心残りが一つ減って、少し清々しい気分になった。