四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

スカイリム日記6『アンダー・サールザル』

 

ウィンターホールドから山を一つ越えたところに

サールザルと呼ばれる発掘現場はあった。

俺はファラルダからファイアボルトを学んだついでに

アイススパイクとライトニングボルトの魔法も教えてもらい

遭遇した野生動物や山賊に向かって試し撃ちをしながら

トルフディルに指定された場所へ向かっていた。

 

ファイアボルトと他二つの魔法は素人でも扱えた火炎や氷雪とは違い

弓矢のように遥か遠くまで届く。遠くを狙うには慣れが必要だが

威力もあり心強い武器になってくれるはずだった。

 

 

サールザルの前には既にトルフディルと三人の同期たちが集まっていた。

吹雪いている中で待たせてしまったのは申し訳なく思ったが

トルフディルは好奇心で瞳を燃えたぎらせており、寒さなどものともしないようだ。

俺たちはトルフディルに率いられ、サールザルの重い扉を開く。

 

坑道には火のついたカンテラが一定間隔で置かれていたが

暗闇に対してあまりにも頼りない。俺は松明を片手にトルフディルの後を追う。

人の手によってくり抜かれた広間を二つほど抜けると

明かりに照らされた暗がりの中から人影が姿を現した。

 

 

サールザルで発掘を行っているアーニエルだとトルフディルが紹介すると

見学のはずだったのにこれから彼を手伝うことになってしまった。

アーニエルは目録を作るために魔法の秘宝を集めるのが仕事らしい。

授業というより体よくこき使われているだけなんじゃないのか……?

そんな疑念が湧いてくる。しかし魔法の秘宝が幾つもあるなら

その中からひとつぐらいちょろまかしたってバレないだろう。

それくらいは手間賃として貰っておいてもバチは当たるまい。

 

 

周辺をくまなく探すと、物陰に体力増強の付呪がかかった指輪を見つけ

俺は懐にしまい込んだ。しめしめと思い他にも何かないかと探していると

石造りの部屋の奥で壁にかかったアミュレットを発見した。

まあ、これくらいはアーニエルに渡しておかないと怪しまれるだろう。

そう思いアミュレットを手に取った次の瞬間。

 

背後の鉄格子が勢いよく落ち、閉じ込められてしまった!

調べても部屋の中には他に仕掛けらしい仕掛けもなく、途方に暮れていると

俺が見当たらないことに気が付いたトルフディルが部屋の中を覗いた。

アミュレットを取ったら閉じ込められたと訴えると

トルフディルのアドバイスはそのアミュレットを身に着けてみろというもの。

すると部屋の中にわずかだが魔力のうねりのようなものが見えた。

それに向かってファイアボルトを唱えてみると、あっけなく壁は崩れ

閉じ込めていた鉄格子の仕掛けも解けたのだ。

 

 

安心したと同時に、なんとなく居心地の悪さも感じていたが

トルフディルは壁が崩れた先の通路の方が気になったようだ。

その後についていくと、ある部屋で強烈な幻覚に襲われることになった。

まるで本物であるかのように現実感があるが、トルフディルには見えていないらしい。

サイジック会のネリエンと名乗ったその男は

俺に対して激しく警告をしているらしいことだけは分かったが

詳しいことは何も分からなかった。

そもそもサイジック会とやらが何なのかも分からないのだ。

 

 

トルフディルは俺が見た幻覚と、サイジック会という言葉に動揺していた。

サイジック会はエルフの魔術師のエリート集団であり

我々の使うものより遥かに高等な魔法を操るという。

今の幻覚もまた、彼らの魔法によるものだったのだろうか……。

 

幻覚を見てからもさらに奥へ進んだ。

発掘現場から徐々にブリーク・フォール墓地のような

地下墓地へと周囲の様子が変わっていく。

俺たちは次々と現れる動く屍(ドラウグル)を倒していったが

途中でトルフディルは何か考え事があると言って立ち止まり、俺を先行させた。

 

 

リディアが前衛を担ってくれるとはいえ、閉所での戦いはかなり苦労させられた。

新しく習得した魔法も、狭い場所では射程の長さを活かすことができない。

やがて松明の火も尽き、暗闇を手探りで進む羽目になった。

何度か罠に行く手を阻まれたが、基本的にはブリーク・フォールのときと同じである。

これはいにしえのノルドの民の造った遺跡に共通する仕掛けなのだろうと推測できた。

 

特にレリーフを特定のものに合わせなければならない仕掛けは

ヒントらしいものがどこにも見当たらなくて頭を抱えたのだが

破れかぶれで放った炎の魔法が後ろに隠れていた正解を偶然にも見つけ出し

かろうじて先に進むことができた。

こんなとき灯火の魔法があれば何の苦労もいらなかったのだが。

 

 

2つ目の仕掛けを突破したとき、後ろから追いついてきたトルフディルが

いきなり声をかけてきて驚かされたが

それ以上に奥で発光する謎の球体に目を奪われた。何だあれは…?

こっそりと近づいていったはずだったが、奥の椅子に座る

ここの主と思われる男に先に気付かれ、先制攻撃を仕掛けられた。

ドラウグルと同じ屍のような朽ちた身体を持ちながら

そいつらとは明らかに違う威圧感を放っている。

俺も、リディアも、トルフディルも必死に応戦するが傷一つつかない。

一体何者なんだこいつは!?

 

攻撃が効かないとなると、魔力の盾で相手の攻撃を防ぐだけで精一杯だった。

だがトルフディルが何かに気付き、光る球体に向かって魔力を放った!

すると球体の放つ光の柱がみるみるうちに消えていく。

同時にまるで繋がりを断たれたように、圧倒的だった敵の力も弱まっていく。

それに乗じて攻勢に打って出たリディアが一太刀浴びせると、傷が付く!

不死身でなくなれば、数で優るこちらが負ける道理はなかった。

最後に放ったライトニングボルトの衝撃が敵を激しく吹き飛ばし

部屋の中に静寂が訪れた。

 

 

部屋の中央の台座に杖が置かれていた。

”ジリク・ゴールドールソン”と銘が彫られていたが

先程交戦したドラウグルの生前の名前なのかもしれない。

杖そのものにはライトニングボルトに近い魔法が付呪されており

使えそうなので貰っておくことにする。

 

トルフディルにはこの球体の正体が何なのか分かっているようだった。

この発見を大学のアークメイジ、ザボス・アレンに報告しに行くように指示される。

何も知らない俺にはそれに従うしかなかった。

 

球体の裏側には通路があり、壁画のある空間へと繋がっていた。

そこにはブリーク・フォール墓地のときと同じように光る文字があり

新たなるシャウト『氷晶』の力が隠されていた!

さらにそこから伸びていた横穴は、サールザルに入って最初の広間に通じていた。

まだ探索を続けていた同期たちを後目に、先に大学まで戻る。

 

 

ザボス・アレンに事の次第を報告すると、サールザルに調査を派遣するという。

用が済んで部屋を出ようとしたとき、先程の報告を立ち聞きしているものがいたのだ。

講師たちから忌み嫌われている、アンカノという名の大学の顧問であった。

 

アンカノはどこで噂を聞きつけてきたのか

サールザルで発見されたものについて興味があるようだった。

サイジック会、謎の球体、そしてこのアンカノという男。

自分の知らないところで何かが動き始めている。そんな予感があった。