四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『ONE PIECE FILM RED』鑑賞。

ワンピースの連載開始は25年前。自分が中学生の頃だった。

漫画の連載があまりに長期に渡ると、ハマったり飽きたりは当然ある。

現在はワンピースには特に興味はないが、ハマっていた時期は確かにあった。

主に初期から空島編くらいの頃で、その後は頂上戦争編までは惰性で読み続け

二年後になった辺りで読むのを止めていた。もちろんアニメも観ていない。

 

とはいうものの、ワンピースぐらいの漫画になるとその気が無くても

勝手に情報が入ってきてしまうものだ。新キャラ、新天地、新展開。

だから読んでいなくてもなんとなくは知っている。

Adoも似たようなもので、積極的に聴こうとしなくても勝手に耳に入ってきてしまう。

『うっせえわ』のときなんてそれこそこっちが「うっせえわ!」と感じたものだったが

今や知らない人はいないくらい有名なシンガーになってしまった。

 

そんな状態でワンピとAdoの映画観に行くなんて無謀だろ、としか思えなかったが

敢えて行こうと思った理由は簡単でたまたま耳にした『新時代』が気に入ったからだ。

だが映画については風の噂で「これAdoのMVだよ」的な話を聞いたので

それならワンピにそれほど興味が無くてもイケるんじゃないか、と。

映画館の音響は家のオーディオシステムとは桁が違うので

音響重視の作品であれば映画館で観ない手は無い。

 

そんなわけでAdoのMVとして観に行ったのだから

個人的にはやはり最初の15分くらいがクライマックスである。

大画面・大音響の『新時代』はやはり良かった。家では味わえない興奮があった。

だが今回の楽曲の数々は新キャラであるウタに極めて寄り添った内容であって

単品で聞いてもわりと好きだったが、切り離して考えることはできなくなった。

終わった後に歌詞を確認したら、そのまんまとしか言いようがない。

 

映画のストーリーについては、ウタという存在を受け入れられるかが全てだろう。

ルフィの幼なじみで赤髪のシャンクスの娘。世界に名を轟かす歌姫。

映画オンリーのキャラとはいえ存在として大きすぎる。

急に生えてきたルフィの過去にも、当然ながら戸惑いはある。

火拳のエースとかもそんな感じだったろ? と言われればその通りで

ワンピのそういうところは、そういえば苦手だったな……と今更ながら思い出した。

だが突然現れた存在には違いないが、ルフィとウタの幼なじみという関係性は

エモーショナルに描ききっており、その点については悪くない。

いつもルフィが背景も根拠も無しに言っていた

「海賊王に俺はなる!」という聞き飽きたセリフに新たなる意味を付与したのは

この映画の大きな意義のひとつと言えるだろう。

 

ルフィとウタとシャンクスの三人がメインには違いないが

基本的には多くのキャラをそれなりに活躍させる

定番のオールスターもののフォーマットである。

飽きさせないようにバトルシーンも適当なタイミングを見計らって入ってくる。

あのブルーノとかがわりと活躍しているのを見たら

当時を思い出してなんだが懐かしい気分にさせられてしまった。

 

終盤でシャンクスと赤髪海賊団の活躍もちょっとだけ見ることができるが

お前そんな戦い方だったの!?みたいな驚きは大きかった。

ロック・スターなんかは画面に映るだけで笑いそうになってしまう。

赤髪海賊団でありながら今回の話の完全に蚊帳の外である存在なので

ウタの方もこの人誰?とたぶん思っていたことだろう。

原作でルフィとシャンクスが再会するのは最後の最後だと思うので

そうならないシチュエーションでのバトルには工夫を感じられた。

EDでもあのキャラたちの現在、みたいなスライドショーが

新旧入り混じって流れていくのは、長いことワンピから離れていたなりに

じんわりと来るものがあったので、昔ファンで良かったなと思えた部分だった。

 

ワンピースの大ファン!みたいな人間ならもっと違う感想を抱くかもしれないが

中途半端に懐古厨じみた人間の感想はこんな感じである。

音楽目当てでリピートするのもアリかなと思えた。