四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

『明日ちゃんのセーラー服』7話は何度見ても素晴らしい。

『明日ちゃんのセーラー服』のブルーレイ第4巻が本日発売された。

今回は7話と8話が収録されているので、とても楽しみにしていた巻でもある。

7話はもう配信で何度も何度も見ているのだが、あまりにも良すぎて全然飽きない。

他の話も好きなのだが、この7話だけはさらにギアが一段上がったクオリティなのだ。

 

このお話の主役はクラスメートの一人、蛇森生静(へびもりおしず)。

舞台が偏差値70オーバーの名門女子中学ということもあり

生徒は皆ハイスペックなのだが

その中では容姿的にも能力的にもほとんど目立たないタイプの女子である。

いや、美形揃いの中では返って目立つ三白眼女子だ。

 

そんな生静が、つい見栄を張って出来もしないギターを始めることになる。

そこにあるのは誰もが一度は味わったことのある挫折感と劣等感、そして成功体験。

自分の上位互換のような存在など、今ではSNSでいくらでも見つけることができる。

いくらでも打ちのめされる気分を味わうことができる。

それでもなお、自分なりの努力を続けられるか。

生静の姿にはかつての自分を見ているような親近感とノスタルジー

世の中に対する希望のようなものを感じられた。

声優さんの演技も良く、震えるような歌声の『チェリー/スピッツ』が花を添える。

このお話が終わる頃にはすっかりファンになってしまっていた。

 

そして忘れてはならないのが、生静のルームメイトである戸鹿野舞衣。

クラスで一番の無口、という設定があるくらい台詞は多くないのだが

ギター練習に苦戦する生静に掛ける言葉やどこか陰のある感じ

はしゃぐ生静の姿を見て呆然とするところや、少し打ち解けて素の態度を見せる姿など

たった一話で魅力を余すところなく表現されており

生静と戸鹿野さんのカップルの尊さと言ったら…筆舌に尽くしがたい。

 

メインキャラである明日小路と木崎江利花のパワーカップルが眩しいくらいの太陽なら

生静と戸鹿野さんは陰…陽光を遮る木陰のような心地よさを感じるカップルだ。

どちらが良いとは一概には言えないが、対照的な存在だと思う。

 

この作品、ただでさえ作画の水準がTVアニメとしては非常に高い部類に属するが

ただ絵がキレイというだけでは終わっていない。

キャラクターの人となりや感情が

日常芝居として作画で表現されているところが素晴らしいのだ。

少しづつ上達してきて、走って寮に帰り練習に熱中する毎日。

やっぱり自分にはできっこないと思いつつも

誰もが毎日少しづつ努力していることに気付かされる瞬間。

才能と努力によって研鑽された演奏による

時間の流れさえ変わってしまったようなひととき。

自分より遙か高みにいる人間が演奏を披露した後で

自分も演奏しなければならないと唇を噛む仕草。

それらが台詞ではなく言外に演出されている。情報量がとても多いのだ。

おかげでOPとEDを除けばたったの20分強とは思えないほどの満足感がある。

 

放送当時は原作で生静と戸鹿野さんの描写が

まだほとんど無かったころのエピソードというのがまた凄い。

これを受けてか、原作でも気合の入った生静のエピソードが発表され

現在は戸鹿野さんのお話が進行中という、非常に楽しみな状態である。

アニメ二期も…ぜひ期待したいがどうなることか。