四十の一部始終

今年で四十歳になりました。二日に一回更新が目標。

Netflix『西部戦線異状なし(2022)』視聴。

自分が自衛隊に入ると両親に告げたとき、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を渡された。後々実は自衛隊に行かせたくなかったらしいことを聞いたので、たぶん親なりに戦争に巻き込まれるかもしれない息子に対して、命令があれば何でもやらなければいけないという軍隊の残酷さ、不条理さを教えて考えを改めさせたかったのかなと思ったが、自分は特に愛国心だとか使命感だとかそういうのは無く、社会復帰のつもりだったのでそのときはあまり効果はなかった。生きていればそのときの話もいずれするときが来るだろう。

 

アカデミー賞にノミネートされていたので見てみた作品・その2。原作や1930年版は未見。戦争映画というのは、戦争をリアルに描こうとすればするほど勝手に反戦になってしまうものだと思っている。『プライベート・ライアン』や『ブラックホーク・ダウン』を見て自分も戦場に行きたいと思うヤツの気が知れない。『西部戦線異状なし』は実際に第一次世界大戦に従軍した作者の経験が投影されている原作らしく、映画もまた『戦争したい』とは口が裂けても言えないような、戦争の狂気に人間が飲まれていく様をリアリティと皮肉たっぷりに描かれている作品であった。

 

1914年に始まった第一次世界大戦から3年後の1917年。今日も前線では死者が続出し、死体は埋葬され、着ていた軍服は剥ぎ取られて洗濯・修繕されて次の新兵に配られていた。17歳のパウルは学友と共にドイツ帝国陸軍に入隊する。訓練を終えて西部戦線に配属された彼らだが、愛国心とそれに伴う高揚感は最前線の凄惨な現実によって一日で崩壊してしまう。それから一年後、かろうじて生き残っていたパウルは前線の仲間たちと刹那の休暇を過ごしていた。だが時を同じくして、ドイツ帝国と連合国との休戦協議が始まろうとしていた。

 

アカデミー賞作品賞にノミネートされているが、これが初めて観た戦争映画ならともかく、この作品自体にそれほど目新しさは感じなかった。2020年にノミネートされていた『1917 命をかけた伝令』も同じく第一次世界大戦が舞台で、そちらはイギリス陸軍側の話だったのだが、非常にライド感の強い作品で、ワンカット風映像のもたらす没入感はふと戦場に迷い込んでしまい主人公の後をついていっているような臨場感があった。

 

西部戦線異状なし』はその分基本に忠実な、戦争の不条理・理不尽・虚無感をこれでもかと味わえる作品であることは確か。冒頭の戦死者の軍服が後方に戻ってきて新兵に渡されるところに始まり、前線のパウルたちと、後方の司令部、そのさらに後ろの休戦協議の場とそれぞれ描写することによって、大きな流れに巻き込まれて逆らえない一兵卒の切なさを増幅させる。『高地戦』のときもそうだったけど、これから停戦するぞというところで司令部から戦闘命令が下るのって本当に……やるせない。いつだって戦いを声高に叫ぶのは、自分が前線に行かないヤツだと相場が決まっているのだ。

 

『エルヴィス』鑑賞。

アカデミー賞にノミネートされていたので観てみた。正直言ってエルヴィス・プレスリーの曲は全然分からないので(歌っているのが誰だか知らないだけで、多分聴いたことはある)、個人的には袖に素麺のついた派手なステージ衣装で踊っている歌手以上の存在ではなかった。そして晩年の太っていた姿の印象が強くあまりかっこいいイメージもない。自分が生まれる前のスターに対するイメージなんて碌なものじゃないが、そういう人間にこそうってつけの映画だったのが『エルヴィス』だった。

 

黒人居住区で育ち、黒人の歌を聴いて育ったエルヴィスは新人歌手としてデビューするとその腰をくねらせる独特の踊りと甘いマスク、そして歌によって女性ファンを熱狂させる存在となった。それに目をつけたのが、カントリー歌手のマネージャーとして、ツアーでたまたまエルヴィスのライブに訪れていたジム・パーカー大佐と名乗る男だった。彼はエルヴィスの才能を見抜き専属マネージャーとなるとあらゆる手を尽くしてエルヴィスを売り込んでいく。するとメンフィスで活動していたエルヴィスの評判はまたたく間に全米へと広がっていった。だがテレビ出演を期に、保守派の政治家に彼のスタイルが黒人を模倣したものだと批判されるようになってしまう。挙げ句の果てには公の場で踊っただけで逮捕されてしまうのだが、兵役に就くことでかろうじてそれを回避する。兵役を終え、その後も映画出演に全米ライブツアー、ラスベガスでのショーと活躍の場を広げていくかに思えたのだが……。

 

アメリカ近代史に燦然と輝くスターがいかに誕生し、どれだけ愛され、そして消えていったかを知ることができ、観る前と後ではだいぶプレスリーに対するイメージが変わったことは言うまでもない。そして彼を語る際に決して無視できない、ジム・パーカー大佐なる人物のことは特に忘れられない。はっきりって、この映画を観終わった後はプレスリーよりもこのジム・パーカー大佐の方が強く印象に残る。とんでもないヴィラン(悪役)だ。最初は地方の新人歌手に過ぎなかったプレスリーがこれだけ知れ渡るようになったのも彼の手腕に違いないのだが、それ以上の搾取と負債によって追い詰められたプレスリーの生活は徐々に破綻をきたしていくことになる。しかも自分の都合でプレスリーの活動も制限させるし本当に憎たらしい存在なのだ。しかもその役をあのトム・ハンクスが演じており、ラジー賞助演男優賞にもノミネートされてしまうという始末。そりゃあ確かに怒りの矛先を向けたくなる気持ちも分からないでもないが……。

 

プレスリーの歌の知識があったらもっと楽しめたのかもしれないが、歌モノとしてはやはり聴いただけでQUEENというのが分かった『ボヘミアン・ラプソディ』の方が個人的には入りやすかった。それにしてもこの手の作品で胸糞マネージャーが現れるケースが多すぎないか? 気のせいか?

色紙と野菜とアカデミー賞。


先月新潟・三条市の一ノ木戸商店街で行われた、アニメDIYとのコラボスタンプラリーの景品である色紙が送られてきた。スタンプラリーは当初予想された参加者数を大幅に越えてしまったので、あっという間に景品の色紙が無くなってしまい追加で刷ることになったらしい。自分は無くなってから刷り終わるまでの間に参加したため、後日郵送ということになった。

 

封筒には色紙と共にわざわざお礼のメッセージまで同封されており、余計な作業を増やしてしまったかな……と思い逆に恐縮してしまったのだが、現地の方々が喜んでいるのならなによりである。この前行ったばかりなのに、もう既にまた行きたくなっている自分がいる。アニメDIYもまだコミカライズだったり、お疲れ様本だったり地味に展開が続いている。暖かく見守っていきたい。

 

 

最近の本業といえば、もっぱらブロッコリーを売りつつ既に夏に向けた仕込みに入っている。一気に春を通り越して夏になりそうなくらいの暖かさもあって、ブロッコリーがどんどん巨大化してきて一日100個売っても間に合わない。このままブロッコリーの花が咲いて売り物にならなくなるか、それともその前に売り尽くすか。チキンレース開幕中だ。

 

そして3月13日に第95回アカデミー賞が発表される。前回はウィル・スミスのビンタ騒動なんかがあったが、欧米との感性の違いを痛感する出来事だった。個人的には暴力はいけないと言いつつも、あそこまで言われたらそりゃぶん殴るだろと思ってしまうのだが、アメリカじゃ金持ちはどんなに愚弄しても構わないという常識もあるようで、価値観の共有にはいまだ大きな隔たりを感じるばかりである。

 

まあそれはともかく、日本ではこの時期になるとノミネート作品が駆け込みでロードショーが始まることが多く、ひととおり目を通しておこうとするとなかなか忙しくなる。アカデミー賞も所詮は数ある映画賞の一つでしかなく、その中では注目度が高いだけであって、ここで賞を取った作品が今年度一番優れた作品だ! などとは別に思わない。賞なんていうのは自分にとって大事だと思えるような映画と出会うきっかけでしかないと思うのだが、一応世間との感性のすり合わせをするつもりでノミネート作品で観られる作品はチェックすることにしている。賞を取ってから見に行くのもなんだか悔しいし。ついでだから今週は映画強化週間にしよう、そうしよう。ただ観たはいいけど感想書かずじまいの作品が溜まっているだけとも言う。

『フェイブルマンズ』鑑賞。

スティーブン・スピルバーグの映画は、子供の頃TVで放送されていればかじりついて見たものだ。当時は夜の10時までしか起きていることが許されなかったが、スピルバーグ映画に限っては最後まで観ることを許された。『ジョーズ』『E・T』『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ三部作』『ジュラシック・パーク』……どれも夢中になって観た。自分にとって映画は楽しいものという原体験を植え付けたのは間違いなくスピルバーグのおかげだろう。だがそのスピルバーグにとっての原体験は何だったのか。『フェイブルマンズ』は映画監督となったスピルバーグ自らの原体験を投影した作品である。

 

ユダヤ系である電気技師の父親とピアニストの母親との間に産まれたサミー・フェイブルマン。彼は両親に連れられていった映画館で生まれて初めて見た映画『地上最大のショウ(1952)』に衝撃を受ける。その衝撃が忘れられない彼は、プレゼントに貰った鉄道模型と車の玩具を衝突させて遊んでいたが、せっかくの高価な贈り物を大切に扱うようにと咎められ、8ミリカメラで撮影すれば何度もその瞬間が楽しめると父に言われる。やがて父の仕事の都合でアリゾナへ引っ越すことになったが、そこでも妹やボーイスカウトの仲間を集めて短編映画を撮っていた。サミーの映画にかける情熱を尊重する母親と、ただの趣味としか見做さない父親。家族で行ったキャンプでもサミーは撮影係を務めるが、ホームムービーとしてそのフィルムを編集することで、母親と父親の友人との間のただならぬ関係を目撃してしまう……。

 

スピルバーグの幼少期の出来事を反映した自伝的映画である今作。『フェイブルマン”ズ”』というタイトルの通りこの作品は家族についての話でもあり、幼少期に形成された家族観がどれだけ作品に影響を与えているのかがよく分かる内容になっている。そういえばスピルバーグ作品は家族に問題のある作品が結構あったな……と子供の頃には無かった気付きが得られた。

 

ユダヤ系として差別されていたのは後の『シンドラーのリスト』を撮ったきっかけになったのかもしれないし、鉄道模型をクラッシュさせて遊んでいたのは、スピルバーグの初期作品『激突!』に昇華されたのかもしれない。ボーイスカウト仲間で撮っていた戦争映画は『プライベート・ライアン』の原型のようにも思える。とにかく記憶が刺激される映画である。あの映画はこの出来事が反映されたものだったのかと考えずにはいられなくなる。まあ事実の部分もそれなりにあるが、わりと脚色もされているようなのでどこまで本当のことかは分からないのだが。

 

だが一方で映画がもたらす影響力というか、時に暴力性すら持ち得るということにもスピルバーグは自覚的のようで、サミーは自分の撮った映像によって色々なものがおかしくなっていってしまうことを目の当たりにしてしまう。映画を撮るというのは素晴らしいものだが、ときに苦しみもあり孤独にもなるという。70年も映画を撮っている爺が言うと説得力があるものだ。

 

基本的に映画讃歌というよりはサミー(スピルバーグ)のシリアスな生い立ちを描いた作品だったのだが、それを笑い飛ばすようなラストシーンの演出が冴えていた。映画監督ジョン・フォードにお目通りが叶ったサミーは彼に助言を受ける。地平線が画面の上でも下でもいい画になる。だが真ん中はクソだ。興奮冷めやらぬままフォードのオフィスを立ち去るサミーを映すカメラはどう映すか……。あっけに取られたが洒落の効いたオチで、いい映画を見たという気分で映画館を立ち去ることができた。

『BLUE GIANT』鑑賞。

ジャズに興味がないわけではないけど、でもよく分からないし……。結構、じゃあ身体で分からせてあげますよ。まるでそう言われたかのように、音楽というエネルギーを全身に浴びせられる体験……先日見た『BLUE GIANT』はまさにそんな映画だった。

 

ジャズの魅力に取りつかれた宮本大(みやもとだい)は、三年間雨の日も雪の日も河原でテナーサックスの練習に明け暮れていたが、世界一のジャズプレイヤーになるという夢を抱いて高校卒業と共に上京、高校の知り合いであった玉田俊二の住むアパートに転がり込む。大はふと訪れたジャズバーで性格に難があるが腕は確かなピアニスト・沢辺雪祈(さわべゆきのり)と出会いバンドを組もうと誘う。同居人の玉田は大学生活の理想と現実に悩んでいたが、ひたすら練習に打ち込む大の姿を見て熱いものを感じドラムを始める。最初は難色を示していた雪祈だったが認められるために必死に練習に打ち込む玉田の姿を見て考えを改め、ついにトリオバンド『JASS』を結成。日本最高のジャズクラブ『So Blue』に十代のうちに立つことを目標に活動を始めるのだった。

 

とにかく暑苦しい! 男臭い! そしてカッコいい! 久しぶりに夢中になれる映画に出会った気がする。美少女ものばかりじゃなくて、こういう作品も大好きなのだ。

 

BLUE GIANT』はビッグコミックで連載されていた(現在は続編を連載中)同名の漫画を原作としたアニメ映画で、当然ながら尺の関係で全てを映像化しているわけではないようだ。原作では大の地元である仙台の話があるらしいのだが、映画では上京するところから始まる。大が片思いしていた女の子とのエピソードも映画では割愛されており、それが余計男くささに拍車をかけている。

 

ジャズを通して描かれる男たちの夢、野心、情熱はとてつもなくエネルギッシュで、大の奏でるサックスが立ちふさがる壁をことごとく打ち破っていくのには登場人物でなくとも惹きつけられる。それは愚直とも言えるほどのひたむきさによって作られた、努力の結晶にほかならないからだ。熱くなれるものを求めて音楽の世界に足を踏み入れた素人の玉田が、初ライブの失敗からどんどん成長し客の一人からその努力を認められるシーンも涙なしには見られない。一見捻くれた口の悪い男である雪祈も、馴れ合いのバンドではなくより高みを目指そうというヒリついた空気の醸成に一役買っている。そして逆境の中始まる『So Blue』ライブでは作品の盛り上がりもピークに達し、赤色巨星よりも高温の青色巨星(ブルージャイアント)をまさに目の当たりにする。とにかく作品全体から熱気が伝わってくるようだった。

 

非常に満足のいく内容であったのだが一応誰の目にも明らかな欠点があり、演奏中は3DCGが使われるのだがこの出来が正直あまりよろしくない。誰かがバーチャファイターとか鉄拳とか言ってたのを知ったときはちょっと笑ってしまった。いまどきこれはないだろう……。音楽に浸りたいだけなら目を瞑っていればいいのだが、演奏の熱気と情熱を十二分に表現された作画とショボい3DCGが頻繁に入れ替わるのでそういうわけにもいかないのが辛いところではある。一応、音楽が最高にご機嫌なのでCGは気にならなかったという人もいるらしいから、自分がそうであることを祈るしかない。

 

ただこの作品は映画館で見てナンボだと思うので、見るならいまのうちだと言っておきたい。

ウマ娘・アクエリアス杯と2nd Anniversary

2月のチャンピオンミーティング・アクエリアス杯は東京ダート1600m(フェブラリーステークス)となったので、出場できるウマ娘はかなり制限された。手持ちの中ではウララ、ファル子、タルマエ、デジタルが素でダートA、タイキ、オグリ、エルコンがダートBで因子改造が容易な組だ。この中から3人選ぶことになるが、脚質分布と個人的な感情を元にチャンミ参加は以下の三人になった。

 

 

まずスマートファルコンは固有スキルによる他の逃げウマを邪魔する壁性能の高さで採用。逃亡者が有効なコースだったので、レース展開次第では勝つこともあるはず。そしてホッコータルマエは固有がダート専用ということで、ここで出さなきゃいつ出すんだという感じで採用。先行脚質としてはタイキシャトルの固有が有効なため多分タイキシャトルの方が強いと思うが、そういう打算はこの際関係ない。そして先月ホッコータルマエガチャのすり抜けで出たアグネスデジタルが追込を担当する。

 

上記の3人をアオハルでのみ育成した。理由は手持ちのサポカでは満足な加速スキルを用意できないので、”アオハル点火・力”に頼らざるを得なかったからである。アオハル力はアオハル杯でのみ取得できる終盤発動の加速スキルだが、終盤のどこで発動するかは完全にランダム。はっきり言って博打以外の何物でもない。こんなスキルに頼らなければいけない時点でかなり分の悪い戦いになることが予想された。頼みの綱のノンストップ・ガールも、今回は有効に発動することがほとんど無いコースのためお守りのような感じでデジタルに持たせるのみにとどめた。

 

 

グレードリーグ・ラウンド1は40戦9勝。当然ながら惨敗である。スピード限界1300のアオハル産で限界1600のグランドライブ産に勝つのは当然厳しいし、スキル構成においても分が悪い。完成されたコパノリッキーはとんでもない強さだし、”抜群の切れ味”・”電光石火”・”つぼみ、ほころぶ時”などの充実した加速スキルを用意できるような相手には勝ち筋すら見えない。ラウンド2はBグループへ進む。

 

グレードリーグ・Bグループラウンド2は意外にも40戦25勝という気持ちの良い結果。負けてもしょうがないとは思っているが、やはり勝ったほうが楽しいものだ。なぜ突然勝てるようになったのかは、相手の能力を見れば一目瞭然だった。スタミナを舐めすぎている。1600mは通常ならばスタミナ550くらいあれば走りきれるコースのはずだが、今回は天候が雪、馬場が重と普段よりスタミナが要求されるコース。調子次第で最大一割下がることを考えると最低でも600は欲しい。それを遥かに下回るスタミナの相手が多かったのが主な勝因だった。

 

 

グレードリーグ・Bグループ決勝は確定で絶好調になるためスタミナの優位性はない。よってラウンド2ほど容易には勝てないだろうと思っていた。レース展開は先行のホッコータルマエが中盤で逃げを一人抜いて2位になってしまう。固有発動条件は3位~4位なので、このままではやばい。そのままスマートファルコンを先頭にホッコータルマエが2位で最終直線に入ってくる。固有が出れば勝ちを確信したが、固有不発で勝ったためしはない。終わった……。後ろから他トレーナーのオグリとエルコンが追いついてくる。エルコンにファル子が差され、タルマエとも段々差が縮まってくるがそれよりもゴールが先か!? このままならいける…いける…いった! 勝った! なぜか勝ってしまった!

 

B決勝の勝因は相手がほとんど加速スキルを載っけていなかったおかげだが、まあ知識の差の勝利と言っていいだろう。ウマ娘は運の要素が極めて強いゲームだが、知識があって初めてサイコロが振れるのだ。それにしても勝った上で見るウイニングライブは良い。これならあと100回は見てもいいな。復帰してからちょっとづつとはいえ毎日やっていたから、ちょっと飽きてきていたのだがもう少し続けてみようかなという気になってきた。だがもうすぐ二周年。身の振り方はその内容を見てから決めても遅くはないだろう。

 

 

その2日後、二周年のアップデートが来た。待ちに待ったツインターボミスターシービーの育成ウマ娘の実装、メジロラモーヌのサポートカード実装、スターホースとコラボした新育成シナリオ・グランドマスターズの実装と周年記念だけあって盛りだくさん。覚醒で習得する金スキルを一定の条件を満たすことで更に上位のスキルに進化できるようになったり、固有スキルや汎用スキルの発動タイミングと効果のバランス調整も同時に実施され、もはやこれまでの知識は通用しないくらいの大幅な変更が行われた。

 

こういうときのサポートカードはハズレがないのでここがガチャ回しどきだろ! と思って無償石30000を使ってラモーヌ完凸するまでやってしまったが、無料ガチャ120連が終わるまで待ったほうが良かった。だが久々にガチャを回すという誘惑に勝てなかった。SSRラモーヌの性能は最高レベルのトレーニング性能+最高レベルの技マシンといった感じでまぎれもなく現行最強の賢サポカと言って間違いないと思う。ただしスキルはマイルと中距離の汎用的なものばかりで、必須というほどのスキルは持っていない。

 

 

また新育成シナリオのグランドマスターズがかなりの曲者。サトノグループ(セガサミーかな…)の開発したVRソフトのサポートAIがウマ娘の三女神(トレセン学園の庭に建っているアレ)ダーレーアラビアンゴドルフィンバルブ・バイアリータークの三柱と同じ姿を再現してしまい、それがトレーニングのサポートをしてくれる……というウマ娘の世界観の深いところにちょっと触れる感じのお話。URAファイナルズに登場する桐生院・ハッピーミークやアオハル杯に登場する樫本理事長代理・リトルココン・ビターグラッセも絡んできて賑やかなシナリオである。ここまではいい。

 

 

育成システムはトレーニング・おでかけ・お休み・レースの全ての行動で知識の欠片と呼ばれるトレーニング効果を上げるものを入手し、8個までストックされる。知識の欠片は2個手に入るごとに合成されてさらに強い効果を持つ結晶へと変化する。欠片が8個集まった時点で、集めた知識の欠片や結晶の色に合わせて三人の女神の叡智のうちの一つが手に入り、使用すると大きな効果を発揮。その後また欠片を一から集め直しになる。女神の叡智は使用するごとにそれぞれレベルが上がっていき、育成中永続的に効果を発揮するようになる。

 

体力回復+やる気アップ+レースボーナス大、サポート全員を一回だけ強制友情トレーニング、トレーニングする全員のスキルヒント入手など女神の叡智は凄まじい効果ばかりだが、なかなか一箇所に集まってくれないので相当な運ゲーが要求される。何回か育成したがどうやればうまくできるのか全然わからない。年末に開催される特殊レースに合わせて赤女神の叡智を使えば能力値やスキルPがグンと増えるのでそれだけは狙うようにはしているのだが。なんだか先行き不安だが、一ヶ月やってみてから継続するかどうか考えようと思う。うーん、やり慣れたアオハルに戻りてぇ……。

 

 

『Do It Your Self!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』聖地巡礼(後編) 新潟・燕三条

 

五十嵐川新潟県三条市を流れ、信濃川へと接続する支流のひとつ。”いがらし”ではなく”いからし”だと知ったのは家に帰ってからだった。DIYアニメではすてっぷ①の冒頭、早朝の一新橋付近の風景が映し出されるシーンが印象的だ。他にもすてっぷ⑩でDIY部が土手に腰掛けてカネギのフルーツサンドや笹団子を食べるシーン、すてっぷ⑫でたくみんがジョブ子の乗った飛行機を見上げるシーンなどでこの付近の風景が使われている。

 

OPでDIY部が夕暮れの土手の上を並んで歩くシーンもこの辺りだ。後ろにあるビルが目印になっているおかげではっきりと分かるのだが、自分がこの前を通ったときは廃材を運ぶトラックが止まっていて、改装か取り壊しかは分からないが中で作業をしていた。もしかしたらこのビルがなくなってしまい、アニメと同じ風景が見られなくなるのもそう遠い話ではないのかもしれないと思い、少し切なくなった。

 

この辺を散策していたときは午前10時を過ぎ、人や車の交通も増えてきた。自分以外にも一人で周囲ウロウロしている男性の姿も見受けられる。多分、ご同類なんだろうな。特に言葉を交わすこともないが、確かにそう感じられた。いやだって不自然すぎるし。

 


TREEが開店する11時までの間、商店街を歩いてそれぞれの店に置かれているスタンディ(立て看板)をカメラに収めていた。キャンペーンに参加している全24店舗を、全6種類のスタンディが週替りで回っているらしい。まず最初にしーを寝具屋のワタソさんの店の中に発見する。スタンプをもらうついでに挨拶しながら中にいくが、一人の男が朝一で寝具屋に何の用があるというのか。店主に許可を取って写真を取らせてもらい、どこから来たのかと聞かれてちょっとした世間話を交わして店を後にする。快く迎え入れてくれるのはいいのだが、何の用もないのに店に入るのはこちらとしてはやっぱりちょっと気が引けるなぁ……。

 

次に和菓子屋のかつぼ屋さんの店先にぷりんがいた。せっかくなので店に入り、美味しいと評判のいちご大福を買って店を後にする。きもの屋の結城屋さんの前にたくみん、福顔酒造さんの店先にジョブ子、シューズショップ・イトーさんの前にくれい(部長)がいた。何も買わなくてスミマセンとついつい謝ってしまうことが度々あったが、わざわざ遠くから来て三条市を見ていってくれるだけで嬉しいと言ってくれたのは救いだった。

 

 

それにしてもせるふがどこにもいなくないか……? そう思って頑張って探したのだが最終的には諦めてしまった。だが後日TREEの隣にあるieスタジオという建物の中にあったらしいことが判明した。外に出しておいてくれ……。

 

その後カネギフルーツの隣にあるむじん商店という無人販売所に、DIYとのコラボ商品が置いてあったのでお土産として購入した。鉄珈琲、鉄饅頭、鉄アイスなどが売っていたのだが、鉄アイスは持ち歩いているうちに溶けてまいそうなのでちょっと無理だったので、鉄饅頭と以前ポップアップストアで一度買っている鉄珈琲を買った。

 

 

 

 

午前11時近くなりTREEに向かうと、開店を待つ人が何人か集まっていた。この時間になるとスタンプラリー目的と思われる人たちが商店街を行き交っていた。スタンプラリーの台紙はまずここで貰うんだよ、みたいな話をしていた家族連れもいて驚いたのだが、そういえば新潟ではDIYのアニメを日曜の朝にやっていたのだ。プリキュア・ライダー・戦隊・そしてDIYという順番だったはず。それなら家族でDIYを見ていてもなんら不思議ではないのか……。

 

 

TREEの受付でスタンプが6個集まった台紙を見せると、色紙は今切れているので後日郵送になると最初に断りを入れたうえで住所と名前を書くことになった。思ったより作品が人気みたいで嬉しいですよとこちらが言うと受付の女性もに笑っていた。TREEの社長が今回のイベントの発起人だけあって、DIYアニメのグッズがカウンターの上に並んでいる。許可を取って写真を取らせてもらいつつ、食事のために建物の奥へと進む。

 

アニメのすてっぷ⑫でツリーハウスが完成した後に用意された食事のひとつが、ここTREEのハンバーガーとそっくりなのだ。年代物の建物の中にキャンプ場を模したような内装で、店の中にはテントが張ってありテーブル席はアウトドア用の折り畳み椅子とテーブルという一風変わった店だ。ファストフードではなくいわゆるグルメバーガーだけあって多少値が張るのだが相応に美味い。

 


食事を済ませると12時を回っていた。そろそろ一ノ木戸商店街から離れ、次は北三条駅から西にある八幡公園を目指す。行くときの道はよく分からなくなったので、地図を見ると弥彦線の高架をまず目指し、その下の道を行くのが一番簡単に思えた。途中駅の近くを通り、ステージえんがわの中を確認したが、スパイス研究所はめちゃくちゃに混雑していた。まあ行くのは何も今でなくてもいい。そのまま線路下に沿って歩いていくと、やがて八幡公園が見えてくる。

 

八幡公園はアニメのすてっぷ④で、幼少期のせるふとぷりんの思い出の場所として登場した。すてっぷ⑧でカネギフルーツに寄ったあと、雨宿りしながらツリーハウスのイメージ図を広げていたのも多分ここで間違いないと思う。神社に隣接している、遊具が周囲を囲んでいる公園である。おっさんが一人でうろついているのはちょっと怪しく見えるのだが、アニメ放送以降はそういう人が多分増えたと思うので、近所の親子連れが在らぬ心配をしていないことを願うしかない。

 

 

八幡公園を後にして北三条駅まで戻ってくる。現在12時30分を少し回ったところ。天気予報を確認すると明日の新潟全域はどうやら一日雨らしい。今日しかできないことは今日中にやったほうが良さそうだなと思い、タクシーに乗り込んだ。向かうのは大崎山公園だ。地図を見ると北三条駅から大崎山公園までは、一ノ木戸商店街までの距離のだいたい三倍程度。一ノ木戸商店街までは15分だからその三倍、いや山を登るから多めに見積もって一時間くらいか。最初は徒歩で行こうと思ったが、駅前に停まっていたタクシーを見て考えが変わった。

 

タクシーの運転手にそんなところに何しに行くんですかと驚かれる。そりゃそうだ。本来大崎山公園は野外のスポーツセンターであり、今は二月で完全なるオフシーズン。行こうとするのはよっぽどのもの好きしかいないだろう。DIYアニメについて説明すると、日の丸タクシーが今コラボしてるヤツ…とようやく納得してもらえた。アニメの聖地巡礼という行為にはまだまだ馴染みがないみたいだが、最近タクシーの利用者がかなり増えているという実感はあるようだった。

 

地元民しか分からないような目立たない大崎山公園の入り口を抜け、タクシーが狭い山道を登っていく。街中には雪はほとんどなかったが、山の中に入るとまだまだ雪が残っている。初見で車で来るのは止めて正解だったなと思いながら、いくつもの急カーブのある山道を進んでいくとやがて山頂の広場が見えてきた。運転手の好意で少しの間タクシーを待ってもらい大崎山公園を散策する。写真を撮るんでしょ? 待ってますよ! とすっかりこちらの目的を理解している。ありがたいことだ。

 

 

山頂はまだ10cm程度の雪が積もっていたので、ようやくスノーブーツが役に立った。途中公園の管理者とすれ違って挨拶しながら、雪を踏みしめつつ年季の入った展望台へ向かう。山頂の広場には遊具などが置かれていたが、当然ながら自分以外は誰もいない。今の時期はちょっと寂しい場所だったが撮影するには逆に好都合だと言えた。

 

二階建ての展望台からの眺めは、すてっぷ①の冒頭やEDでせるふとぷりんが手を繋いで見ている景色ときっと同じなんだろうなと思うとこみ上げてくるものがある。誰も遊んでいないブランコも、幼い日にここに連れられてきた二人が、仲良く並んで遊んでいたのかもしれない……そんな想像をせずにはいられなかった。満足してタクシーに戻る。帰りはオマケしてくれたので往復4000円で済んだ。

 

 

北三条駅に戻ると時計は二時半に差し掛かろうとしているところだった。しかしここで突然の雨。あらためて予報を確認してみるがしばらく止む気配はなさそうだ。ホテルのチェックインは五時の予定だったが、予定を切り上げてホテルに行ってしまおうか……そんなことを考えた。駅で三十分待って弥彦線に乗り燕三条駅へ。コインロッカーから荷物を取り出し予約したホテルにチェックイン。少し休憩した後ホテルの近くにある燕三条地場産業振興センターへ行くことにした。

 

ここの物産館は広大な敷地を誇っており、お土産を探すのに最適らしいのだが……なんと2月20日まで改修工事のため休業中で、臨時で小さな売店をやっているだけであった。他の客が本当はこれの10倍はあると話しているのが聞こえたので、余計に残念な気持ちになった。駅構内にある燕三条Wingのほうがここより何倍も広いくらいだ。DIYコラボの鉄アイスがここでも売っていたので、三条の定番土産らしい六角凧サブレと一緒に購入した。

 

 

それ以外にもう一つ探したいものがあった。せるふのお母さんが晩酌で呑んでいる日本酒『緑川』である。燕三条ではなくて魚沼の酒なのだが、置いてあるのだろうか? そう思って近くの酒屋やイオンなどを覗いてみるも収穫ゼロ。肩を落として酒屋を出ると、眼の前にあったココイチの看板にカレーラーメンの文字が踊っているのが見えた。そういえばアニメのすてっぷ⑪の結愛家の夕食はカレーラーメンだった。せっかくだからここで食べていくか……。

 

ホテルに戻ってからひとっ風呂浴びた後、今日買ったものを机の上に並べた。するとありふれたつまらないビジホの一室が、途端に華やかなパーティー会場に早変わりするではないか。全部食べるのは無理だから残った分は明日の朝食に回すとして、鉄饅頭・鉄珈琲・鉄アイス・フルーツサンドにイチゴ大福と順番に手をつけていく。

 

 

釘の味がするという鉄食品は自分の味覚ではよくわからなかった。ちなみにアイスは時間が経って溶け切っていたので余計にわからなかった。この鉄食品のせいで翌朝のトイレが凄まじいことになったが、それは別の話である。フルーツサンドはたっぷりの生クリームがやはり美味い。あまり期待していなかったマンゴーの瑞々しさは半端ではなく、噛むたびに果汁が口いっぱいに溢れてきて極上の甘さで満たされる。イチゴ大福はあと10個くらい買ってもよかったと後悔するくらいの美味であった

 

翌日、朝から結構強めの雨が降っていたので帰ることにした。本当ならステージえんがわ、三条鍛冶道場、新発田城跡、弥彦山、野積海水浴場など行きたいところはまだまだあったのだが、心残りがあるくらいのほうがまた来る気にになるだろうと思って今回は見送る。たった一日だけだがDIYの世界にどっぷり浸かって楽しかった。今度来るときはもう少し暖かくなってからにしたいものだ。